第3話 貴族の男はめんどくさいです
第一魔法学校。
正式名称、魔界国立 第一魔族専門魔法学校
魔界で最も難しいとされる学校の一つだ。
日本でいうと東大あたりになる。
貴族、平民問わず受験することが出来る。
入学者はそれぞれEからSまでクラス分けされ、
Sクラスに入ったものは将来を約束される。
みな、Sクラスの狭き門をくぐるため、幼少期から努力してきた。
だが俺は…
「大きい…」
ひたすらに学校のでかさに驚いていた…
「そりゃそうよ、戦闘訓練もより本格的にできるように森を開拓して建てたんですから。」
「すごいね…私こんなところで学ぶのかァ…」
「あなたねぇ…まあいいわ、受験受付はこっちね、行きましょう。」
「あ、うん!」
そして、俺たちが受付に向かうと、何やら言い争っていた。
「ちょっと!割り込みしないでよ!私たちが先に並んでいたのよ!」
「り、リンちゃん…いいよ別に…」
「は!うっせーよクソアマ!先だろうが後だろうが一緒だろ?!さっさと譲れよ雑魚が!」
口悪!嫌な男だなぁ…いたなぁ…常に自分が上じゃなかったら気が済まないやつ。
…助けるべきか。いや、助けよう。迷ったら即行動だ。
「ちょっとそこの方々、割り込みはいけませんよ?」
「ち、ちょっとあなた!何してるの!?」
ルシルが驚いて声をかけてくる。
「いや、割り込みはダメだから注意しようと…」
「なんだお前ら?俺に指図しようってのか?」
「この男は貴族のアッシュベル様のご子息よ。」
へぇ…貴族の息子かぁ…。なんか、余計むかついてきた。
「俺の名はシン=アッシュベル。アッシュベル家の長男だ。」
「ご丁寧にどうも。私はハルです!」
満面の笑みを見せる。もちろんわざとだ。俺がこいつだったら余裕で惚れるぞ?ってくらい今の俺は可愛い。しかし…
「ふん!苗字なしか…平民ごときが俺と口聞いてんじゃねぇ!」
俺はこっそりさっきの二人のに話しかける。
「(ほら、今のうちに受付済ましちゃって!)」
二人は無言で頷くと駆け足で受付を済ませるために門をくぐる。ちなみに俺らは、受験受付終了前くらいなので行列は出来ていない。
「あ!待ちやがれ!…きさま…タダで済むと思って…」
「ほら、ルシルも行って!あ、それと外でいざこざがあったから友達遅れてきますって伝えといてね〜」
「あ、あなたねぇ!…はぁいいわ、すぐ来るのよ。」
俺はヒラヒラと手を振った。おや、忘れていた。
「さて、何でしたっけ?」
俺はまた笑顔を向ける。
「き、きさまぁぁぁ!どこまで俺をこけにすれば!!許さんぞ!」
「いやぁー怖いー(棒)」
「覚悟しろ!」
そう言って男は腰の剣を抜き、俺に斬りかかってきた。かなりいい動きだ。スムーズで体のブレも少ない。貴族の英才教育ってやつか。
だが、俺はその剣を素手で掴んでへし折った。
「なっ…!ば、馬鹿な…この剣はミスリル製だぞ!」
「おや、すみません。ですが斬りかかってきたのは貴方ですから、弁償は致しかねます。」
「き、きさまぁぁぁ!」
お前そのセリフ好きだなぁ。何回言うんだよ
「まあまあ、剣は私が今作って差し上げましょう。それを使ってください。」
俺は魔法「クリエイティブ」を使って剣を作り出す。
ええっと…確かミスリルの上って…わからん!
そして一本の剣が出来上がった。
「何だこの剣は…見たこともない…が、何故か美しい。」
出来上がった剣は日本刀だった。あれなら動画で作り方とか見たからな。大体の構造はわかる。
「その剣はわたしのオリジナルです。耐久性はわかりませんが威力は保証しますよ。では、わたしはこの辺で!」
「な、!待ちやがれ!」
「…はい?」
「おまえ、試しに斬られろ」
は?頭沸いてんのかこいつ?
「え…と。それはちょっと…」
俺は苦笑いを浮かべる。
「俺はこの剣が気に入った!だが試し斬りをしていない。お前、斬られろ」
馬鹿だわ…こいつはホントの馬鹿だ…上げなきゃよかった。
「そのような使い方は許しません。返していただきます!」
俺は一瞬で日本刀を男から奪い取る。
「な…!」
そのセリフもさっき聞いたよ。
「すみませんが、時間がありませんので!」
「ま、まて!」
今度は待たない。俺は一瞬で門をくぐり抜け、受付所にたどり着いた。
「うわ!びっ、びっくりした。」
受付のお姉さんが驚いていた。ちょっと可愛い
「受付お願いします」
「は、はい。では受験票を提示してください。」
俺はカバンに入れた受験票を取り出す。
「…はい、確かに。では奥へとお進み下さい。試験開始は30分後です。まずは筆記試験となります。」
「分かりました!ありがとうございます!」
俺はそそくさと学園の奥に進む。
すると、さっきの二人とルシルがいた。どうやら俺のことを待っていてくれたようだ。
「ごめーん!遅くなっちゃった!」
「あなた!何もされなかった?!」
「別に?剣で斬られそうになったくらいだけど…」
「え!?大丈夫なの?!」
「え、うん!このとうり!」
そう言ってくるっと一回転した。
「そう、ならいいわ。」
ルシルがちょっと微笑んだ。安心したらしい。
可愛いなやっぱ。
「あ、あの!先程はありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
そう言ってピンク色の髪の女の子が頭を下げる。
それに続いて青い髪の子も慌ててさげた。
「ええ!いいよいいよ!それよりあの男の人きちゃうよ!早く行こ!ほら!ルシルちゃんも!」
「え、ええ、教室は確か1-Bよ。そこで試験があるわ。」
「みんなそこなの?」
「いえ、受験票番号によって違うわ。あなたのは…同じね。私と一緒よ。ちなみにその教室は5000人が同時に受けることが出来るわよ。」
はぁ…相変わらず…めちゃくちゃだな。教室いっこがそれって…
「わ、私達も同じです!ね!ミラ!」
「は、はい!」
「そうなんだ!じゃあ早く行こ!」
次回、ついに入学試験です!