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第1話 誕生
ぎしぎしと音を立てて、重たい砂のような闇が押し寄せてくる。そこにあったのは強烈な飢えだった。
私の記憶は飢えから始まる。
もちろん、その時のワタシには、それが飢えだとは分からなかった。幽かな記憶を思い出そうとすると、恐怖に近い飢えが閃光のように突き刺さる。
だから、もう思い出すことはあきらめた。
私は、ただ、自分自身を取り戻したい。いつから、どうしてこうなったのか。私にも分からない。
ああ、渦を巻いて濃厚な闇が私に突き刺さり突き刺さり、私は闇とひとつになり、そこに産声を上げた。私の母は、あなただ。