3話 5歳になりました。
今日、5歳になった。
1歳からの4年間で大きく変わった事が3つある。
1つ目は、剣の鍛錬が4歳と半年ぐらいから2日に1回のペースでやるようになった。
内容は剣の素振りを100回をしていると、その都度父であるアドルクがアドバイスをくれる。
少ないと思うが、年齢を考えてみれば丁度良い量だろう。
2つ目は、剣の鍛錬がない日にある文字の読み書きだ。
こちらの世界に来てから言葉は分かったので文字も何となく読めるかな〜と、思っていたら全然読めなかった。
見た事のない字が平仮名帳のようにズラリと書かれたボードを母であるエストリアに渡され、それを見てひたすら覚えた。
文法は日本語と同じ感じだったので比較的簡単にだった。
文字を覚えてからは、世界の一般常識などなどを学んだ。
勉強の時は、幼馴染みのメリーと一緒に勉強をした。
3つ目は、神様が使えないと言っていた魔法がつかえたのだ。
あれは4歳になって大分たったある日、寝る前に魔力を消費使用と思い、魔法の呪文を延昌した。
いつもだったら何も起こらず眠気が襲って来るのだが、その日は手の先にライターの火程度の火の玉が現れたのだ。
だがその後直ぐ火は消え、眠気が襲ってきたので見間違えかと思っていたが、次の日も火がつき、前の日よりも火が灯っている時間が長くなっていた。
しかし、最長で1分だった。
それ以上の時間、火をつけようとしても、魔法の発動時に火の玉が大きくなり、持続時間が伸びることは無かったからだ。
スキルを手に入れれば何か変わるのかもしれないが、それは2年後までのお楽しみだ。
5歳になった今は、5歳児の拳サイズの火の玉が出来る。
火の玉だけでなく水の玉も、作ることができ、これのサイズも火の玉と同じ大きさだ。
そして今、日が沈みだし太陽が空を赤く染め上げている。
アレイ宅では誕生日パーティーがささやかながらも行われていた。
この世界では、5年置きの誕生日を祝うならわしがあるらしく、こちらの世界に来て初めての誕生日パーティーだ。
机にはいつもより、豪華な料理が並んている。
いつもは、黒パンにスープ、サラダ、デザートに果物って感じだが今日は、いつもより具沢山のスープに鳥っポイ奴の丸焼きがある。
「アレイ、この鳥はねぇ、あなたのためにって、お父さんが捕って来てくれたのよぉ」
ここは子供らしく返事をしておこう。
「本当!?ありがとう!お父さん!」
最後にスマイルを忘れてはいけない。
「どういたしまして。しっかり食べて大きくなるんだぞ!」
「うん!」
「それじゃあ、いただきましょう」
家族3人で楽しく夕食を食べ始めた。
「そう言えばアレイ」
「なに?お母さん」
「もうすぐ7歳でステータス貰うじゃない?」
「そうだね」
「将来は何になりたいのかなぁ?って」
「魔法使いになりたい!」
「魔法使いかぁ、スキルがないと厳しいわねぇ」
「そうなの?」
「えぇ、そうよ。スキルが無くても使おうと思えば使えるけど、魔力消費が半端じゃないのよ」
「へー」
スキルがないと、魔力消費が半端じゃないか…
「私は魔法系スキル一切持ってないけど、ある理由から魔力が多くあるから魔法が使えるの」
「ある理由って?」
「何があっても驚かない?」
「うん!」
「ならいいかな!」
と言うと、指を鳴らした。
すると、エストリアの影から黒色の毛に所々白の斑点の付いた犬のような物が座った状態で出てきた。
「ジャジャーン!私の契約している影狼の変異個体のガウちゃんでーす!」
「ガウッ!」
「へー。魔物をテイムしたら魔力が増えるの?」
「違うわ。テイムした魔物と魔力を共有するの。私の場合ガウちゃんが大量の魔力を持っていたから、ガウちゃんの魔力を使って私も魔法が使えるの。って、ガウちゃん見ても驚かないの!?」
「驚くも何も見ため犬じゃん。しかもよく見れば可愛いし」
「えぇー、怖がらせないようにって、ずっと影の中にいて貰ってたのに無意味だったか〜」
「ていうかさ、テイムもスキルがなきゃ出来ないよね?」
「そうよー。まっ、この話はここまでにして、お父さんからプレゼントがありまーす!」
食事が終わった頃を見計らい、エストリアが話を切り出した。
「あぁー、なんだ…その、さっきの話の流れで申し訳ないが誕生日プレゼントだ」
そう言われて、アドルクが刃渡り50センチぐらいの剣を渡してきた。
「小さい頃から剣を教えて欲しいって、言ってたから、騎士にでもなりたいのかなぁと、思っていたけど違ったんだな」
何故かちょー凹んでんだけどー!
フォローしといた方がいいかな?
「き、近接戦闘のできる魔法使いになりたいんだ!」
「そうか、それだったら剣をプレゼントした甲斐があったな」
こんな感じで僕の5歳の誕生日がおわった。
お読みいただきありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。