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1話 決意

目が覚めるとそこは真っ白な世界だった。

誰もいない、そもそも人がいてはいけないと言っているかのような。

果ての見えない地平線すらない、ただ白い世界だった。

今まで何をしていたのか、どうしてここにいるのか、思い出そうとすると頭痛がする。

そんなときだった、頭の中に直接声が響いた。


『もう意識はハッキリしているかな?』


その声は男のようにも女ようにも聞こえ、子供のようにもお年寄りの声にも聞こえる不思議な声だった。


(それよりも、今のに返事をした方がいいのだろうか?そもそも僕に向けた言葉なのだろうか?)


『そう君に向けた言葉だよ。君以外に誰もいないでしょ?』


まるで心を読まれているかのような返事?が帰ってきた


「それもそうですね…」


『意識はハッキリしてるみたいだね。それじゃあ、どうして君がここにいるのか、分かるかい?』


(うーん さっきと同じで思い出そうとしたら…頭が!)


『無理に思い出そうとしなくていいよ。今思い出させてあげる』


誰か分からないが、不思議な声がそう言うと頭の痛みが引いていき思考がクリアになっていくのがわかった。

そして思い出す、どうして自分がここにいるのかを。



・・・・・



あれは、医学部のある大学の受験の日。

叔父に車で送ってもらっていた。


話が変わるが僕の夢は前の話で分かると思うが、医者になることだ。

僕は両親を小学生のときに亡くした。

父は三年の時、母は5年の時、両親共に(がん)だった。

そして、一人っ子だった僕は叔父夫妻に預けられた。

その時には既に僕の将来の夢は決まっていた。

自分と同じく早くに親を亡くす子を少しでも減らすため、勉強に勉強を重ねた。

高校は自転車で通える範囲で最もレベルの高い公立の高校に入学し、その中で上位の成績をキープし続けた。


そして話は戻り、医者になるには最も大事な大学の受験だ。

これまでは順調に将来の夢に向かって階段を登ってきた。

このまま大学まで受かってしまいたい。


そんなことを考えていた少年の耳にパトカーのサイレンの音、そしてこちらに近ずいてくるその音に不吉だなと思いながらも、音のする方を見れば、車がこちらに突っ込んでくる様子だった。


車と車の当たる音、それが僕の最後のきおくだった。



・・・・・



『思い出した様だね… 君は夢を叶えられなかった。本当に同情するよ。君だったらあの大学も受かっていただろうに』


(何を偉そうに!!何が同情するだ!!ふざけるなよ!!ていうか誰なんだよ!!)


少年は見た目は静かに怒りを爆発させていた。

あと少しで夢に大きく近ずくはずだった、大学も自分でも受かる本当は思っていた、それを逃した、あと少しで、あと7.8年もすれば夢が叶ったのに、と。


『あぁ、言ってなかったかな? 私は神様さ』


(はぁ?神だと?それなら俺を蘇らせてくれよ!!後、あと少しだったのに!!)


『元の君の体のまま蘇らせることは出来ない、だが君がいた世界と異なる世界になら蘇らせる、いや違うな…

転生させることなら出来る』


(異世界? それってあの、えぇと、1度中学のとき友達から読んでみろって言われた… 確かライトノベルとかに出てくる…)


『あぁ、そうだ』


(……)


『大分落ちつたようだな。それと、そろそろ自分の口で喋ったらどうだ?』


(あれ?そう言えばずっと声に出してないんだったか。会話が成立していたからすっかり忘れていたよ)


「あーあー う゛う゛ん! これでいいのかな?」


『あぁそれでいい。人の内面を見るのは疲れる。さて、私がしたかった話題に話を移そうか』


「わかった」


『さっきとの差が凄いな…』(←小声)


「何か?」


『いや、何でもない。それでは話を始めようか。さっきも似たようなことを言ったように君には異世界に行って貰いたい』


「それはなぜ?」


『君の夢を叶えさせてあげたかったからだ』


「異世界で医者になれると?」


『異世界には医者はいない。その代わりに、魔法で怪我も病気も治せる』


「それなら、その世界では寿命を殆どの人が(まっと)う出来るじゃないか」


『いいや、それは違う。怪我も病気も治せるような都合のいい魔法が使える人がその世界の病人全員にかけれるほどいると思うかい?』


「それわ…」


『そこで君に異世界に行って貰い、君の夢、子が親を亡くさないようにってのを叶えさせてあげる。そしてこちらは、その世界の人口の減少を抑えられる。これぞまさに一石二鳥!』


「何で異世界の人は減少しているんだ?」


『それは魔王とその部下の魔族と言われる存在に人が襲われているからだ』


「もし仮に僕が異世界に行ったとしても、その魔法を使えなかったらどうするんだ?」


『君が魔法を使えないっていう可能性はない。なぜなら、異世界にはステータスがありスキルもある。そして君には魔法系のスキル全てを授けることによって君はどんな魔法でも行使(・・)する(・・)ことは(・・・)出来る』


「そのスキル?は異世界に行っ手からでも獲得できるのか?」


『できる』


「転生と言ったが、赤ん坊として生まれるのか?」


『そうだ』


「う〜ん」


少年は迷っているのか頬ずえをついて唸っていた。

2、3分たったぐらいの頃に少年は決意を宿らせた顔をしていた。


「僕を異世界にいかせてください!」


『わかった。3つ注意と言うか助言をしてやろう。1つ目、魔法には魔力を使う。その魔力は日々使えば使うほど増える。2つ目、ステータスは7歳の時に貰える。が、魔法はスキルがなくては使えない。そして3つ目、魔力は魔法以外の方法でも使える。例えば、ただ体の外に放出する、とかだ。ちなみに魔力がどういうものなのかは向こうの世界に行けば多分分かる。分からなかったら7歳になるまで待て。説明はこの位にしていいか?』


「あぁ。わかった」


『それじゃあ、行ってらっしゃい』


そう言われると、体が暖かくなってきたと思うと光だした。

そして次の瞬間には大きな産声を上げていた。



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『世界最強の職業はなにかって?そんなの厨二病に決まってるだろ!!』も宜しければご拝読下さい。

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