オープン・ザ・トゥモロー
玉手箱は不気味な赤褐色を放っていた。見る限りとても宝物が入っているとは思えないように感じるが、まさかの出来事もあるかもしれない。
「では早速開けて見ましょう!!」
カメラを見やすい位置に置き、箱を開けようとするがつるつるして開けれない。固いというか開け口があるのかと思うくらい、引っ張ってもスライドしても意味がなかった。
「なかなか開かないですね~」
視聴者にとってはなお面白いと考えながら、箱の蓋を良く見るとシールが張ってあった。
「これですね」
一人で頷き、指に唾液を絡ませ、ゆっくりとシールを外す。この時自分の手が赤褐色に染まっていたのが分かった。
「オープン・ザ・トゥモロー」
ギィィという音と共に、タンスにカビが生えたような臭いがツンとくる。中から姿を現したのは銅製のカギだった。
「カギ……ですね」
コメントに困った。ブーイングの嵐がこの瞬間もの凄い勢いで自分に舞い込んでくるのがわかった。意地でもここから何かに繋げなければいけない、終わりにしてはいけなかったが、頭が真っ白になり、何も出来なかった。
結局何も話さず、ゆっくりとカメラの電源を切って、部屋へと戻った。
動画はチェックしていなかったが、僕の姿は幽霊のように影が薄かったかもしれない。