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裏庭の玉手箱  作者: 林 秀明
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納屋へ

「古い家なので廊下が長いんですよー。子供の頃もっと長く感じたんだけどなー」

自分の部屋から裏庭の納屋までゆっくりとカメラを回しながら歩く。視聴者は物事がパッと起こるよりも、ストーリー仕立てにして雰囲気を醸し出す方が面白いと感じた。そういう意味ではこの古い家は何かが起こりそうで良かった。


玄関を出て裏庭へと回る。いつもよりシャカシャカと草の音が聞こえると思ったら、昨晩雨が降っていたか、先っぽから滴が垂れかかっていた。どの草よりも背が低く垂れさがっているその草は、今の自分のように見える。でも今日でそれは終わりだ。


「ジャジャーーン、納屋でーーーーす」

カメラを低く下げ、納屋を大きく見せるようにした。木で作られた引き戸に南京錠がかかっているが、もう外している。屋根から雫が垂れていて、そっと地面へと落ちていく。

「おじいちゃん世代からあったんですよ」

少し自慢気に古くからありましたとアピールしたかった。引き戸をズズっと開け、奥の棚へとゆっくりと向かう。初めて入りましたという臨場感が大切だ。


「あっ、ありましたよ」

生き物が逃げないようにアナウンスするような声の大きさで、僕は玉手箱に指を差した。


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