プロローグ
ーー気付いたら僕の手は血に染まっていた。もはや自分の血では無いかと錯覚するぐらいに。ふと見ると手だけでは無く身体中に血を浴びていた。少し乾いて来てへばりつくのが心地悪い。
身体は痛くも痒くも無い。身体には傷一つ無い。健康そのものだ。今ならオリンピックに出れるかもしれない。だがそんな気はさらさら無い。
今の僕はやることがあるーー
そう呟いた少年…いや青年の周りは火の海だった。更に良く見ると血の海もある。だがそれは自分の血では無い。全て敵であった者だ。周りには多くの死体と装甲車や戦車だった物の残骸が散乱していた。
さも青年のいる場所は地獄のようだった。だが青年は特に感情を動かす事無くこの惨状を見ていた。
その青年は微笑んでいたが目からは涙がこぼれていた。だが本人は気づいていない。そして心の中は深い闇に覆い尽くされていた。
その青年はゆっくりと歩き出した。
復讐をする為に。手に入れた力を使って。
奴が悪魔だろうが、何だろうがどうでも良い。既にこの世界には未練が無い。僕は復讐出来るならこの命を捨てても良いーー
そう強く誓うと、新たな獲物ーー敵を探し始めた。