表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/23

語り部は、夢に遊ぶ ②

 こちらは、かつて一時期つけていた「夢日記」の内容の一部です。

 私は「夢を見る」ことに異様に凝っていた時期があって、その時には、

「夢の中で『これは夢だから!』と強引にストーリーを変更できる」

「夢を見ていて途中で起きた場合、すぐに二度寝すれば、それまでの続きを見ることができる」

 といった謎の技を使いこなすことができました(今は、もうできません)。

 いつも、物語のことばかり考えていたからか、夢の内容も、けっこうドラマティックなものが多かったです。

 もちろん、意味不明なものも、多々ありましたが……

 8月20日の夢。


 今日の夢は、家族そろって和風なテーマパークに遊びに行く、というような内容だった。

 まず覚えているのが、実家の近くの店の前に、我が家の車が停まっていて、みんなで乗り込むシーン。

そこでいったん話が飛んで……

 テーマパーク内か? 和風な花壇のあいだを、土の道が通っていて……向こうには、丸太でできたフィールドアスレチックみたいなやつがあって……何か、建物もあったような……

 ううむ、あまり覚えていない。

 何か、誰かの呼び出し放送があったような気がするのだが、定かではない。


 次にはっきり思い出せるのは、吊り橋だか、ダムの上だか、とにかく下を凄い勢いで水が流れている場所にいる場面。

 目の前に『トリニティ・ブラッド』のフランチェスコが立っている。

 で、彼が、誰か女の子を人質に取った……?

 私は、彼の敵らしい。

 私は、アベル・ナイトロードなのか……?  

 そのへんがいまいち、記憶がはっきりしない。

 ただ、何かがあって、フランチェスコが下の水に落ちて――彼は、手近な橋脚につかまりながら、こちらを見上げて恐怖に引きつった顔をしていた。

 私は、よほど恐ろしい格好をしていたらしい。

 多分、「クルースニク」になっていたのではないかと思うのだが……


 で、ここからは、はっきり覚えている。

 私はやはり『トリ・ブラ』の、ユーグ・ド・ヴァトーになっている。忙しいな!

 で、場所は、どこかの建物の中。

 全体的に、照明がほの暗くて、青っぽい。

 室内のはずなのに、なぜか真横に温室があった。

 そして、私の目の前には、青い髪の男が立っている。

 ラドゥ・バルフォンか……!?

 今回の夢は『トリ・ブラ』全開! 寝る前に読んだからだろう。


 ともあれ、青い髪の男は私の敵だ。

 しかし私には、今日のところは彼を殺せない理由がある。なぜかは忘れた。

 私は、いきなり剣を抜いて跳ぶ!

 無意味に宙返りなど決めつつ、凄い勢いで剣を振り回して、すたっ、と着地して剣を収める。

 と、隣の温室のガラスがことごとく砕け散り、黒い鉄の枠もばらばらに切れて落ちる。

「俺の剣は鉄も切り裂く。気をつけるんだな」

 渋く決めた私に、しかし、相手は余裕ありげ。

 にやりと笑ってこちらを指差し、

「お前、胸を見てみろ」

 と一言。

 見下ろすと、私の服――つまりユーグの黒い僧衣――の胸元が、ばっさりと切り裂かれている。

 どうやら、私が抜いたと同時に相手も抜いて、攻撃を仕掛けていたらしい。

 しかし、私は慌てない。

 にやりと笑い返して相手を指差し、一言。

「お前もな」

 はっ、と相手が自分の胸元に目を落とす。

 私の服についているのと同じような傷が、彼の服をばっさりと裂いている。

「おのれ……」

 こちらを睨みつける青髪の男。おお、動揺しとる動揺しとる。  


 ここで夢は終わったのだが、最後の場面がやたらとカッコよかった。

 私が・・思いつかない・・・・・・くらいのカッコよさだ。

 夢の中では私=ユーグのはずだったのだが、ユーグの肉体が勝手に動いたり喋ったりしている感じで、私の意識が追いつかなかった。

 私は、相手がこっちの胸を切ってたことも、自分が相手の胸を切っていたことも知らなかった・・・・・・からな!

 私は、単に温室を切っただけのつもりだった。

 今日の夢は、ずいぶんと謎な体験をさせてくれたものよ……


 8月21日の夢。


 私は、黒い軍服を着た将校(男)になっている。

 自分で言うのもなんだが、若くて身体も引き締まっているし、金髪碧眼の整った顔立ちは完璧だ。

 私には、少し年上の先輩がいる。

 その人もすごくカッコいいのだが、性格は傲慢でサディスト。

 しかし、私はその先輩に心酔していて、命令されれば何でも言うことを聞く勢いだった。  

 ある日、私は先輩に誘われて、高級な娼館に行く。  

 先輩は一番の美女を指名して、豪華な部屋に入り、まあ色々とあるわけだが――  

 私はなぜかその部屋の入り口に直立不動で待機し、開けっ放しのドアから、先輩と女性の様子をじーっと見守っていた。  

 そして「いいなぁ……」と思っていた!

 一段落すると、先輩はベッドの上からこちらを振り向いて、にやっと笑い、一言。

「お前もやるか?」

 どきどきしながら、私は答えた。

「はい」


 煩悩だなぁ……(しみじみ)

 夢とは本当に不思議なものだ。

 時によって女になったり、男になったり――どうなってるんだろう!?

 そして、こんな夢を見る私の精神状態は、いったいどうなってるんだろう。

 ちょっと、寺にでもこもる必要があるかもしれない……


 8月22日の夢。


 舞台は……何か、すごく高いビルなのだが、内装の工事が途中で、上から下まで全部ぶち抜きになっているという場所。

 私は、一人のおっさんと仲間で、何かから逃げていた……?

 何か、あまりよく覚えいないのだが、とにかくそのビルの内側の吹き抜けを、トロッコのような乗り物に乗って、上から下へと猛スピードで疾走し――

 トンネルのような場所を通り抜けて――


 そして、唐突に話は変わって、私は、海上にかけられた橋を渡って走る電車に乗っている。

 外は気持ちよく晴れている。

 何かこう、埋立地を開発してます、という感じの景色が広がっている。

 ドームのようなものがあったり、大型ショッピングセンターのようなものがあったり……

 そして私は、クラス委員長・Fさんとともに電車の座席に座り、何か話をしていた。

 最終的には、どこか、白っぽい壁の、パイプ椅子と折りたたみテーブルがある部屋で、同窓会が開かれていた。


 そして、またまた話変わって、舞台は、がらんとした倉庫。  

 私の妹が、中身が白く表面が黒い板を削り、版画のようにして絵を描いている――というか、彼女が描いているところを直接見たわけではないのだが、とにかくいくつかの絵があって、妹が描いたものだな、と分かる。

 色々な作品があったが、どれもわりと上手い。  

 そのうちの一枚に、マンガっぽいお化けのイラストがあって――そいつは、右手に何か(ロウソクかペン?)を持っていて、しかし、左手はぼんやりとかすんだようになっている。

 そして、それを見た父上が、

「左手もちゃんと描かんと、値打ちがないな」  

 とコメントする。――何故だろう?

 

 そして! さらに話は変わって、舞台は、デパートのエスカレーターの横。  

 ものすごく混み合っている。ほとんど、建物の中の「祭の縁日」状態。

 そして、そこに、H先生の「グリセリン屋」がある。

 ――グリセリン屋って、何だっ!?

 私はどうやら学校の授業でグリセリンを使う何かをすることになっているらしく、グリセリンを買いにきたわけだ。

 グリセリンが要ることは、だいぶ前から聞いていたのだが、今まですっかり忘れていたらしい。

 それで、やっと買いにきたのだが、時、既に遅く、グリセリンは売り切れていた。

「どうして今頃買いにくるんだ」  

 と、H先生が怖い顔で怒る。私は、

「えーっと、何か、家で使うみたいなんですけど……」  

 と、わけの分からん言い訳をするが、

「嘘つけ、忘れてたんだろう。みんな、とっくに買いに来て、もう売り切れたぞ」

 と怒られる。うっ、バレたか……

 それにしても、H先生は本来、こんな怖い人ではないんだがなぁ……?

 まったく関係ないが、H先生のグリセリン屋の隣は、黒豆を量り売りする店だった。


 8月23日の夢。


 今日の夢で、私は、どこかの大学(多分海外)の研究員になっていた。

 で、そこの図書館で、誰かと共に、一冊の本を探している。

 本の題名は『THE AMISTAD』だったか? つづりが間違ってるかもしれない。とにかく『アミスタッド』という本。

 確かそれって、反乱が起こった奴隷船の名前じゃなかったっけ……? よく分からんけど。

 とにかく、その本を探しているのだが、なかなか見つからない。

 全然関係ない『くらしの大事典』とか置いてある(笑)

 やがて、何とか目当ての本が見つかる。

 しかし持ち出し禁止? か何かで、私は、服の下に本を隠して、こっそり持ち出すことにする。

 そして……そこで、私は、床に指輪が落ちているのを見つける。

 それは、伝説の《七つのナントカの指輪》で――フルネームは忘れた――、金でできていて、ツタの葉を何枚もつなげたようなきれいなデザイン。

 何か、強い力を持ってるらしい。

 私は、それも服の下に隠し、階段を下りて、図書館の出口のほうへ向かう。

 途中で同僚に「あ、おはよー! ところでさぁ……」などと話しかけられ、本と指輪を持ちだそうとしているところだから、「あ、あ、また後で――」と冷や冷やしつつ、どうにか、図書館から出ることができた。


 その後、私は大学、というよりも、塾の講義室のような場所を通り過ぎる。

 そこではテストが終わったところらしく、生徒たちがぞろぞろと廊下に出てくる。

 一人の男の子がテスト用紙を前に出しにきたとき、講師が、その男の子に「期待してるぞ」というようなことを言う。

 私はなぜか、その講師が、その生徒にテスト問題を漏らしていることを知っているので「ははーん……」と思う。


 ――と、ここで、まったくもって話は変わり、私は、小学校時代の下校ルートをたどっている。

 そして、なぜか私は『トリニティ・ブラッド』のエステル・ブランシェになっている。

 一緒に歩いているのは吸血鬼の少年、イオン・フォルトゥナ。

 イオンは、自分の胸についているバッジを得意げに見せてくれる。

 円を1/4に切ったような形のバッジで、2つあって、赤いのと黒いの。

 そのどちらかが監察官カマラーシュの印で、もうひとつが、ナントカ……とにかく、イオンが新しく任命された、名誉ある役職の印。

 その役職の発音は忘れたが、日本語に直すと『皇帝の電話番』。

 それ……ホントに名誉ある役職なんだろうか……!?

 しかし、その「電話」というやつが、タダモノではないらしい。

 なんと、どこにいる誰とでも瞬時に通話ができるというアイテムで、それを、イオンが預かっている、と。

 どうやら、この人事はまだ本決まりではないらしいのだが、そこで突然、私の脳裏に、本の一節のようなテロップが流れる。

『――帝国の法が改定され、官職は自由任命制になる。

 そうなれば、必ず自分が○○○○(皇帝の電話番)を取れると信じているのだ。』

 ……はあ、そうなのか。イオンくん、すごい自信。

 と、イオン、不意にそのすごい電話(?)を、私――つまりエステルに渡してくる。

「え? こんなもの、いただけません」

 というエステルだが、イオンはそれを押し留め、いきなりニコーッとびっくりするほど人懐っこい笑みを浮かべて、

「エステル……決して死んではならんゾ、え?」

 と念を押してくる。

 いざというときはこれで助けを呼べ、ってことか……?

 てな疑問を抱く私だが、そのとき、不意に、ものすごく嫌な予感がする。

 振り向いて、車道をはさんだ反対側の歩道を見ると――

 そこに、ものすごーく面白くなさそうな顔でこっちを見ている男が一人。

 あんまり見覚えのない男ではあるのだが、誰かは分かる。ディートリッヒだ……! エステルたちの敵、《騎士団オルデン》の《人形遣い》―― 

 あの邪悪な感じ、間違いない!

 私はイオンを振り返る。

 しかし、彼は既にディートリッヒの術中にはまってしまったらしく、宙を見つめてボーッとしている。

(こりゃいかん) 

 と思った私は、彼を置いて先へ進む。

 しかし、操られたイオンは、手術用のハサミという凶悪な武器を振りかざし、私に襲い掛かるのだった。

 いや、そのときは、私がイオンになっていて、エステルのほうが襲ってきたのか?

 よく覚えていないが、とにかくが襲われたことは確か。

(うわちょっと待て! ハサミはいかんだろハサミはっ!?)

 と焦った私は、逃げの手を打つことにする。

 いつものように、

(目覚めろ、自分――) 

 と念じるのだが、焦っているせいか、スッと起きることができない。

 夢に囚われている状態だ。ハサミが迫る!

 ぎゃー、怖いッ! 早く起きろ自分~ッ!!

 私はそこで『肉を切らせて骨を断つ』作戦に出ることにした。

 わざと相手のほうに手を突き出し、ハサミで親指をバチンと切らせる。

「痛ってぇ――ッ!!!」

 その痛みの衝撃で、私は、ようやく目覚めることができたのだった。


 起きてからも、何か痛いような気がして親指をこすっていた。

 くそう……どうして、ああいう凶悪な敵が出るときに限ってイオンとエステル!? よりにもよって弱いキャラ……

 セスさんとか、せめてアスタローシェさんやトレス氏あたりなら、ディートリッヒなど粉砕してやったのに。悔しい!

 いつか、リベンジのチャンスが来るといいのだが……


 8月24日の夢。


 今日の夢では、何か、大勢に追いかけられていた……?

 デパートというか大きな雑居ビルというか、そんな感じの建物の階段を駆け下りて、階ごとにフロアに逃げ込むのだが、そこでも見つかって、追い回されて、また階段を降りて――という繰り返し。

 途中、配線の点検をする小さな扉の中に隠れて、しばらく休んだが、結局そこも見つかって……

 最終的には、地下駐車場まで追い詰められる。

 私は、駐車場の奥のほうへと逃げていく。

 後ろから敵がぞろぞろと追ってきて、絶体絶命!

 と、そこに、一台の巨大なトラックが停まっている。

(よっしゃあああっ!)

 私は名案を思いつき、猛ダッシュでトラックの運転席によじ登る。

 なぜかドアは開いており、キーもないのにエンジンもかかる。

 火事場の馬鹿力というか、気合でどうにかしたらしい。さすがは夢。

「おりゃああああああ!」

 私は全速でトラックを発車させ、追いかけてきていた奴らの真っ只中に突っ込んだ!

 右に左にハンドルを切り――実際はかなり重いのではないか? と思うが、そこも気合で軽々と――、追っ手をガシガシ轢き潰す!

 冷静に考えると、相当エグいことしてるな……阿鼻叫喚。


 そして、まったく話は変わり、どこかの山の中の、街道。

 かなり昔のイメージ。

 その街道ぞいの峠に、金の長い髪をした裸の女性がいて、男の旅人を髪で絞め殺す……? 何か、そんな話だった。妖怪か?

 その女性の姿が、イメージとして私の頭の中に浮かんでいたのだが、なにやらその人、横になって、苦しそうな顔をしていた。

 で、そのときなぜか「ホワイト、ホワイト」という書き文字が、女性の上の空間に浮かんでいた。

 ホワイト……って、誰? それとも、何?

 よく分からない夢だった。


 8月25日の夢。


 今日の夢の最初の舞台は、月と星が美しい夜の教室。

 といっても、小学校や中学校の教室ではなく、幼稚園という感じ。

 床には、薄茶色のフェルトのじゅうたんがしいてあって、壁やら窓やらに、画用紙で作った動物の顔が貼ってある。

 そこには、私と、あと何人か、人がいて……確か、母上もいたように思う。

 そして、ここで「何かを思い出す」というエピソードがあったような気がする。

「ああ、そういえば、そんな物語があったなぁ!」

 というような感じの……うーん。いまいち定かでない。

 で、ここで、さらに何かがあって――ここ、絶対何かがあったのだが、思い出せない――、窓のカーテンやブラインドを全部閉めなくては! という話になり、私が閉める。

 誰かが、

「その、ライオンの窓も閉めてな」

 と私に言う。

 私は、言われたとおり、画用紙で作ったライオンの顔が貼り付けてある窓のブラインド――というか、観音開きの、白い鎧戸を閉めようとするのだが、なぜか戸の長さが足りず、真ん中にでっかい隙間が開いて、ちゃんと閉まらない。

 てなことをやってると、いきなり、教室の後ろのドア(開いてた)から、強い光線が差し込んでくる。

 何かと思えば、汽車のヘッドライトだ。

 なんと、廊下を汽車が走ってきたらしい。

 皆がびっくりして見つめるあいだに、黒い鉄の堂々たる車体が教室の後ろにゆっくりと乗り入れてくる。

 そして、皆、それに乗り込むことになる。

 私は、いつの間にか『200円』と印刷された券が二枚つづられたものを持っている。

 乗るときに、これで足りるのか? と心配になるが、ちゃんと足りたらしい。

 乗り口の壁に、赤っぽいプラスチックの看板が貼り付けてあって、そこに、黒い文字で、料金に関することが書いてあった。

 『子供』とか『婆さん』という文字が見えていたような気がする。

 確かなのは『400円』と書いてあったことだ。

 車内は、オレンジ色っぽい照明に照らされて、古めかしいバスのような感じになっていた。床は板張り。

 私は、通路左側の、前の方の席に、仲間(誰だったか忘れたが、とにかく非常に親しい人。家族だったかもしれない)と一緒に座る。

 私の隣に、小学校時代の友人・Oさんが乗っていて、ニコッと笑いかけてくる。

 で、斜め前の席には、Yさんが座っていて、やはり振り向いてニコッと笑っていた。

 なにか、ものすごく懐かしい感じのする空間だったなあ。

 で、発車の瞬間は、やたらと揺れていた。

 私は、前の座席の背もたれについている持ち手にしっかりとつかまる。

 その汽車は、空中を進む。

 隣の友人と喋っていたとき、窓の外に、地上の明かりがはっきりと見えていた。

 そして……その瞬間、なぜか私は『魔女の宅急便』の「キキ」になっていたような気がする。

 何か、空を飛ぶ関係の話をしていて、友人が非常に驚いていた。

 

 次の瞬間、話は突然『天空の城ラピュタ』に変わり、夜空に、海賊の飛行船「タイガーモス号」と、巨大な空中戦艦「ゴリアテ」が現れる。

 私は、その様子を第三者的に見ている。

 ゴリアテが、後部噴射口を赤く輝かせ、ものすごいスピードで何かに向かって飛んでいく。

 それを、タイガーモス号が追う。

 ゴリアテは、何かの上に船体をのしかからせて落とそうとしているらしい。

 ひょっとして、さっきの汽車か?

 そしてタイガーモス号は、それを下から支えて食い止めようとしている。

 しかし、パワーと質量の差で、タイガーモス号は負けた。

 ガス嚢の部分が、ぐしゃっという感じで潰れる。

 乗組員たちは、すばやくフラップター(あの、ぶーんって飛ぶ奴)に乗り込んで脱出の準備を整える。

 しかし、船長のドーラだけは、船のタイガーモス号の舵を握り続ける。

 彼女は、乗組員が全員フラップターに乗ったらしいことを確認すると、

「どうやら、いけたらしいね」

 というようなことを呟く。

 次の瞬間、タイガーモス号は火を噴きながら墜落してゆく。

 フラップター部隊は、その一瞬前に飛び出していた。


 場面変わって、しかし、話は続いている。

 タイガーモス号の乗員たちが、ドーラを埋葬しようとしている。

 辺りには、白っぽい土がどこまでも続いていて、空は、白みがかった青というか紫というか、薄暗いようなほの明るいような、不思議な色合い。

 このとき、私は、乗組員の一員になっていたらしい。

 地面に掘られた浅い穴に、ドーラの身体が横たえられる。

 ドーラの顔には、青紫色の化粧が施されている。

 あるいは、顔の色そのものかもしれない。

 この場面で、最もはっきりと印象に残っているのは、長くてウエーブのかかったダークヘア、下はぴったりしたズボン、上は肩を出す服を着た女性が、沈痛な面持ちで長手袋をはめ直していたことだった。

 なぜここがそんなに印象に残ったのか、よく分からないが。


 乗組員たちは、ドーラの身体を、赤っぽい砂利のようなもので覆ってゆく。

 私も、すごく寂しい気持ちで、彼女の足元を砂で覆う。

 誰かが、

「失って初めて、あなたがどれほど大きな存在だったか分かりました」

 というようなことを言う。

 一同、さらに哀しく寂しい気持ちになる。

 と、不意に、

「……まったく」

 と、ドーラが、目を閉じて横たわったまま喋りだす。

 一同は一瞬、硬直して、私はとっさに、

(あ、きっと、死後硬直が解けたんだな――)

 という感想を抱く。しかし、

「そういうことは、生きてるうちに言ってほしいね!」

 などと言いつつ、ドーラは目を開けて、大儀そうながら、笑ってむっくりと起き上がる。

 なんとびっくり、彼女は今になって、息を吹き返したのだ!

 乗組員たちはもう、死ぬほど大喜びする。

 私も一緒になって、やったぜやったぜ! と跳びはねながら、嬉しさのあまり、思わずこんな一言。

「うわぁ! すっげぇ! (ラピュタに)こんなシーン、なかったんちゃうん!?」

「なかったよ!」

 と、誰か。

 跳びはねて喜んでいるわりに、冷静すぎる発言(笑)

 しかも、さらに誰かが叫ぶ。

「すげーよな! ここ、月だし!」

「月!?」

「ああ! さっき歩いてきたとこが、あれか、あの海か!」

「そうそう、『静かの海』!」

 などという会話が、大興奮のうちに交わされる。

 私は、

(そうか、ここは月だったのか!

 さっきからの不思議な光景は、そのせいだったんだな!) 

 と感動すると同時に、

(けど、月って、素じゃ呼吸できんやろ。

 ……いや、まあ、そんなことはイイよな! お話なんだから!)

 と、一人で内心ツッコミ&納得。

 やはり、変なところで冷静な私であった……


 という夢だった。

 まだ、何かあったような気がして仕方がないのだが……

 今ちょっと、これ以上は思い出せない。残念!




 


 ……ここで唐突に「夢日記」は終わります。

 日付から推測するに、多分、夏休みの観察日記的なノリでつけて、8月が終わってゆくとともに終了したのでしょう(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ