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『ゴラン高原に吹く風』

 分類。すちゃらかファンタジー。


 この『ゴラン高原に吹く風』こそが、私が初めて「書いて、他人に見せた」物語でした。

 読者は、小学校時代の仲良し六人組のメンバー。

 ちなみにそのメンバーは私を含めて六人なので、読者は実質五人です。


 ちなみに「ゴラン高原」は中東に実在し、紛争の激戦地となっています。

 しかし、この『ゴラン』は、そんな深刻な国際問題とはほど遠い、とにかく徹頭徹尾「おバカ」な話でした。


 主人公は、大陸の半島に位置するゴラン王国のゴラン高原で、大きな農場をやっている少女「ブランちゃん」。

 本名はブラン・デイ。

 酒ですね。

 ごく普通の女の子ですが、とにかく環境適応能力が抜群です。


 そのブランちゃんの友達、五才娘(という設定だったが、どう考えても七、八才くらい)の「フォトちゃん」が、空にUFOの大群を発見するところから物語は始まります。


 そのUFOに乗り組むは、戦争で滅びた母星を離れ、新天地を探していた『渡星人とせいじん』たち。

 社会科で習った『渡来人』という言葉からついた名前です。


 渡星人たちは、徹底した「女尊男卑」の風習を持ち「完全菜食主義」で、なぜか「長く伸ばした髪の毛を意のままに動かすことができる」という不思議な人々でした。


 主だったメンツは、勇猛なる女皇帝「ノイアレス陛下」。

(ちなみにこの星の兵士は、全員が女性です。戦いという名誉ある仕事に参加できるのは女性だけなのです)

 皇帝の親衛隊を率いる双子の姉妹、「リリアン&イルアン」、

 皇帝の主席秘書官である「パルカ」など、いろいろおりました。


 ちなみにパルカは男なのですが、バリバリの女社会のなかで生き残るために女装してオネエ言葉を喋る、苦労多き青年でした。


 さて。

 この渡星人たちは、状況によっては地球人との共存も考えていたのですが、地球人たちが肉を食べているのを見て、


「うおっ! 肉を食べるとは、なんと野蛮な!? まさか私たちも食われるのでは!? ええい仕方ない、こうなったら力ずくで侵攻だ!」


 という、全くわけの分からん理屈で攻撃を仕掛けてきます。


 ブランの農場は『空に一番近いから』という、これまた完全に意味不明な理屈のもとに、軍事基地として改造されてしまい、渡星人に対抗するために、おかしな人々がぞろぞろやって来ることに!


 おちゃめなヒゲで大人気の将軍・ステッセルをはじめ、

 日本茶大好きな天才少年・シロク博士、  

 優秀な戦士だが、しじゅうケンカしている迷コンビ姉妹・エルガ&ミューラ、

《気功拳》の使い手にしてネコに変身したりもできる「修行者」の女の子・リーヤン。


 集結する戦力。高まる緊張。

 そしてついに、地球人VS渡星人、両者存亡を賭けた戦争の火蓋が切って落とされた!

 ――のですが、本来ならば地球人を簡単に蹂躙できる戦闘力を有する彼女らも、母星の二倍という地球の重力の前に、あえなく敗退。休戦交渉の場が持たれることとなります。


 そして、その休戦交渉の席に、なぜか突如墜落してきた飛空輸送船バカガラス――そのパイロット・クロトワ氏に、ノイアレス皇帝が一目惚れしてしまったことから、急激に両者は和解、平和共存の道を歩むのでした。


 ええ、まあ、ストーリーとしてはそんな感じなのですが……


 実のところ――というか、露骨に、モロに、明らかに、「クロトワ」と「バカガラス」という名前は『風の谷のナウシカ』からの パ ク リ でした!(喝!)


 今思えば、恥ずかしいのを通り越して清々しいまでにバレバレですが、当時、友人たちは、果たして気付いていたのでしょうか?

 別に誰もツッコミを入れなかったが、あれは気付いてなかったのか、それとも気にしてなかったのか、気を遣ってくれたのか……?


 しかも「クロトワ」だけでなく、「ノイアレス」「エルガ」「ミューラ」「シロク博士」という名前はすべて、当時の私が気に入っていた色々な物語からのパクリでした(喝ッ!!)

「ステッセル将軍」にいたっては、日露戦争時代のロシアの将軍! 実在の人物!


 小学校時代の私には、どうやら「キャラクターの名前を自分で考える」という力が乏しかったようですね……

 もはや、腹を切って詫びるしかない有様。


 まあ、人物の名称の件は、各方面に平身低頭お詫びするしかないとして、物語はまだ続きます。


 何の脈絡もなく墜落してきたかに見えたクロトワ氏ですが、実は彼、ゴラン王国と敵対するナントカ帝国(名前、ついてなかった気がする)の兵士なのです。

 彼は、新型輸送船の飛行テストにミスって墜落してきたのでした。

 それを知った一同は、脅したりすかしたり、とにかくクロトワ氏がノイアレス皇帝と親密になるよう必死の工作をします。

 何しろ、今の平和があるのは、ひとえに、皇帝が彼にホレているがゆえなのですから。


 しかし、彼はもともと敵国の兵士な上に、他人から指図されることが大嫌いな男。

 ノイアレス皇帝が怒ってゴラン王国との戦争を始めれば、それに乗じて自分たちの国が侵攻できる! という考えもあって、一同の必死の説得も空しく、彼は、迫る皇帝をはねつけるのですが――


「なかなかに気骨のある男だ。それでこそ私の夫にふさわしい!」


 と、余計に気に入られる始末。

 しかも段々、クロトワ氏も皇帝のことが気に入ってきて……

 と、ここから話はラブコメに傾き、一瞬ほんわかムードが漂うのですが、その平和は、クロトワ氏の祖国がゴラン王国に侵攻を開始したことによりぶった切られてしまいます。


 ここに至ってクロトワ氏は、祖国を裏切り、ゴラン側につくことを決意。

 彼らは互いに智恵を出し合い、何とか、全面戦争を避けて事をおさめる方法はないものか……と思案した結果、ついに、ひとつの作戦が立案されます。


 その名は《大陸大移動作戦》!

 渡星人たち、ゴランの人々、そしてクロトワ……

 いろんな人々の未来をかけて、ついに、未曾有の大作戦が発動する!


 ちなみに、その大陸大移動作戦というのは、  


「半島にあるゴラン王国を、大陸本土から切り離し、ずるずる引っ張って海に引き出して『島』にしちゃえば、帝国の陸戦部隊は侵攻してこられないよね!」


 という……もう……

 乱暴きわまりないというか、あらゆる意味でブッ飛んだ作戦でした。


 しかもネーミングは《大陸大移動作戦》なのに、移動してるのはゴラン王国のほうであって、別に 大 陸 は 移 動 し て な い という、痛恨のミスよ……(しかしそれが些細なことに思えるほどのダイナミックな展開であった)


 計画実行の際には、シロク博士の改造によりパワーアップしたバカガラスと、渡星人たちが乗ってきたUFOが大活躍。


 作戦は見事な成功に終わり、島国となったゴラン王国には、めでたく平和が訪れる……というところで、この話はエンディングを迎えます。


 ちなみに、非常に貴重な小学校時代の遺物である『青いキャンパスノート』には、当時、読者であった友人たちが描いてくれたゴランの人々の絵姿が、今なお残されています。

 たまに見返すと、たいへん懐かしいですね!



※この『ゴラン高原に吹く風』は、一部がデータとして現存しており、当初は数千字の「本文」をこの後に展示していました。

 しかし、やはり「既存の作品の名称を堂々とパクった文章を、そのまま載せる」という行為はマナー(どころか)違反すぎると思い、「本文」は削除いたしました! お恥ずかしい限りです……

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