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第一話「ちくしょう。転生だ!」

あまりにも他作品の評価が低いので媚びてみました。これで人気出なきゃ泣く。


略称は『まじかるっ!』でどうですか出版社さん。

「お疲れ。君もう帰っていいよ。」

 背後から聞こえるそんな声に俺は背伸びで返事をする。その声に自分を労う気持ちが含まれていないことは三日続いた徹夜で荒みきった脳では理解できず、ただ額面通りに捉えることしかできない。

 深夜のオフィスビル。何人か残った残業組も帰り支度を始め、ポツポツと消え始めたPCモニタのブルーライトだけが網膜を刺激する。

 連勤十七日。終わらない仕事を片付ける為に費やした時間である。最後の三日間は文字通り一睡もせずに立ち向かった仕事への達成感を胸いっぱいに感じながら、エナジードリンクの最後の一滴を音を立てずに飲み干した。

 俺は一通りの帰り支度を終え、駅まで伸びる大通りの歩道を通過する。いくら大都市と言えど、この時間では人影もまばらだ。交差点にストレスを感じることもなく、目的地の駅までの道のりを歩く。

 いつもの様に改札を通過し、いつもの様にホームのベンチで地下鉄を待つ。終電にはなんとか間に合ったようだ。ほっと胸をなでおろす。

 無機質なアナウンスが響き、自分と同じようなスーツを着たサラリーマンと共に立ち上がる。車体に近づき、いつもの様にドアを潜ろうとする。

ドンッ

 背後から何者かに押されたような衝撃を感じる。俺の身体はふわりと宙に浮き、頬に冷たい枕木の感触がじわりと広がる。

疲れからか思考は停止し、脳内物質の流れが止まる。

 最後に感じたのは、引き裂かれるような痛みだけだった。


 目が覚めた時俺が視認したのは、一面真っ白な世界にポツンと佇むひとつの部屋である。

「此処は……?」そんな独り言ともつかない質問に返事をする者はいない。狭くはない横長の部屋で今は一人だ。

「次の方、どうぞー?」その声と共に、景色は再び変わり始める。

 〈町役場の住民窓口〉。足りない頭で必死に形容した景色はこうだ。記憶の片隅に残るそんな景色を前に、カウンター越しの男は俺の名前を呼んでいる。

「……ナカムラさーん?ナカムラマコトさーん……?」

 確かに俺の名前だ。こんなありふれた名前なんてどこにだってあるだろうが、周りに人影はない。つまり男が呼んでいるのは俺だ。

「此処はどこなんですか……?そもそも俺はどうなったんですか?」

「ナカムラさんですね。こちら『公共人生安定所』です。私たちが貴方の有意義なセカンドライフを応援させていただきます!」

 意味がわからない。なぜ俺の名前を知っている?公共人生安定所?有意義なセカンドライフ?俺の質問に納得出来る回答すらも貰っていない。

「転生先、どうなさいます?最近はどこも受け入れ態勢が足りなくて……。嫌な世の中ですよね?」

 転生?コイツは何を言っているんだ?にこやかな表情を崩さずに話を進める男に対して、俺は徐々にイライラが募っていた。

「すいません、ちょっと何を仰ってるか……?」

「ごめんなさい!突然の出来事に何が起こったかわからないみたいなお顔ですね!」

 見事に当たっている。少しムカつくが、俺のこの状況を明確に説明できるのは今のところコイツしかいない。

「まぁ端的に言うとですね。貴方は残念ながらお亡くなりになったんですね。」

「……ハァ!?」

「貴方の死因は轢殺……明らかに電車に轢かれてミンチですね。」

「ミンチ!?」

「そんなわけで今から『生まれ変わって何になるか』のプランニングを進めていきましょう!」

「ちょっ、ちょっと待ってください!俺にはやらなきゃいけない仕事も楽しむべき人生もまだたくさん残ってるんです!!なんで生まれ変わらなきゃいけないんですか!?」

「そうなんですか?じゃあ、電車に轢かれて死ななかった場合の貴方の人生をちょっと見ていきましょうか。」

 男はそう言うと、カウンターに置かれたTVモニタの電源を点けた。一面砂嵐の画面が映り、その後見覚えのある景色に映り変わる。


 俺が死んだ直前だろうか。ベンチで電車を待ついつもの光景だ。そしていつもの様に帰宅しいつもの様に眠る。ローテーションのような生活である。そして朝が来て、画面の中の俺は驚愕する。解雇予告だ。

元来仕事一筋の無能な俺は、雇ってもらった会社に感謝していた。才能がないなら精一杯努力すればいい、そう思っていた。元々趣味などもなく、仕事が趣味で生き甲斐のようなものだ。そんな俺が……解雇?

画面の中の俺も動揺を隠しきれないのか、狭いワンルームの部屋で独りで泣いている。泣いて泣いて泣いて……画面の中の俺は首を吊った。

「ちなみにここで解雇されてなくてもどっちにしろ過労死でしたけどね。さて……どうなさいます?」

 畜生、どう足掻いても絶望かよ……!!俺は半ばヤケクソになる。

「わかりましたよ!!生まれ変わりでもなんでもやってやりますよ!!」

言ってしまった。男は笑みを絶やすことなく、

「ではこちらが手続き用紙になります。」俺に用紙を手渡す。そして資料をパラパラと捲ると、

「候補は……ディーク、サラマンダー、マンドレイク……。」と呟く。

 サラマンダー?俺は一昔前に流行ったウーパールーパーを思い出す。

「あの、普通の人間とかでいいんですけど……。」

「人間ですか?最近は転生先のハードルも上がったしなぁ……。あっ、一件ありましたよ!」

「じゃあそれでお願いします。」

「えーっと……。これは『研修』付きですね。半年。」

 研修?転生にもそんな条件があるのか……。俺は心の内でそう思うと、渡された用紙にサインした。

「で、転生なんですがね……。ランダムで能力が一つ付くんですよね。時間を止めるとか生命を生み出すみたいな感じで……。『強くてニューゲーム』って言うんですか?」

 男はそう言うと、カウンターの下から福引きの抽選器を取り出した。ガラガラと呼ばれるものだ。俺がそれを一回廻すと、大きな音を立てて白い珠が飛び出した。

「あー?これは……『身体中の汗腺を操作し、汗の量を操る』能力ですね!」

「はっ!?そんな自律神経で何とかできそうな能力でいいんですか!?」

「ハズレ能力ですね。まぁ頑張ってください!」

男はそう言い切ると、指をパチンと鳴らした。

「それでは!一名様転生ご案内〜!」

 身体中が光り輝く中、俺が最後に見たのは男の胸元に書かれた『異世界課』の文字だった。

評価されなきゃ更新しない一発ネタです!




最近のなろう小説の異世界転生趣向ははっきり言って異常だ。

ランキング独占されすぎだと思います。『マリオメーカー問題』みたいに表面化されるべきだって!

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