序章
この星には、かつて人間は存在しなかった。
代わりに耳の長い長寿の種や背が異様に小さく手先が器用な種が既に住んでいた。
その星の大地に人間が足を着けたのは偶然だった。
その星に、空から巨大な船が火を噴きながら不時着した。
先住民たちは、それが宇宙船だとは知らなかった。
その後、戦争などとは無縁だった大陸は、複数の民族と国に分かれて争うようになっていった。
それが、ようやく安定したのがおよそ千年前。
先住民が『エルフ』、『ドワーフ』と呼ばれ、移住民が『異邦人』と呼ばれるようになった頃だった。
人間達は、かつての技術を失い、エルフやドワーフは大陸中に散らばっていた。
そんな中、大陸に共存と共栄を説く国、『ノーブレス』が大陸中の国々の意思を集約する会議を提案した。
諸国家は、その会議により一応の平和を手に入れた。
そして、諸国家は共同で古代人たちの遺産、魔道金属そして、超自然エネルギーであるマナの研究を行っていくことになる。
この時、戦争終結を記念して年号を『ノルン歴』とした。
時はそこからさらに流れ、ノルン歴159年。
大陸は再び戦乱に包まれていた。
かつての戦争終結の立役者、ノーブレスの崩壊。
新興の軍事国家『ブラッククロス』の台頭。
それに伴う周辺国家の軍備増強と小規模な戦闘。
その後、大陸では10年間に渡り、戦争が続くことになる。
だが、その状況は一変する。
ノルン歴169年。
歳の頃、約18、黒目・黒髪の青年。
名前は『アース・グラム』と呼ばれている。
どこにでもいるようなこの男が、大陸の命運を左右することになるとは。
まだ、この時は当人以外は知る由もなかった。
現在、2作品目になります。
処女作とほぼ同時期に考えていたものです。
むしろ、こちらのほうが考案期間が長かったです(-_-;)。
読んで下さい。