↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

書きたいシーン書くだけシリーズ

秋の山

掲載日:2026/10/07

平成? たぬき?

 読んでいた本を閉じて時計を見ると、もうそろそろ夕飯を作り始める時間になっていた。


 適当に積んである本の一番上に置きなおして、今日の献立は何にするかを考えながら買い物かごを片手に家を出る。


 面倒だがブーツを履いて外に出ると、三週間程度では踏み固められないほど柔らかな腐葉土の森。


 杉の乱立する中を歩いて十分程度で、印象的な黒い五重の塔が見えてきた。


 神主の好意で山域に住まわせてもらっているのだから、迷惑をかけないように周りを伺う。


 平日の昼でも観光客が居る人気スポットだから、山道に出る際には木の影で観察し山道に出る。


 社務所に向かって歩けば、これまた好意で止めさせてもらっている車に乗り込んで、そのままスーパーへ。




「一箇所に三週間も居たの、ここ六年ぐらいで初めてかもなぁ」


 比較的空いている道路を進みながら思い返す。


 剣握ったりナイフ握ったり銃撃ったりしている生活だと、どこかに定住するという事がなかった。


 次へ次へと、一人になる獲物を持っている間は何かを得ようとすると移動は必然で、それがこれまでの六年間にわたる移動時間だった。住所不定。


「無職みたいなもんだし、フラフラ遊んでる人みたいだ」


 一生懸命だったんだけどなぁとは思う。


 が、それがどうした。努力の量・質はさして意味がない。それは、自分だけの物で、他人の物じゃないからだ。他の人から見れば、住所不定、無職としか言いようがない。


「履歴書にも書けないこの中学・高校時代。意外と拠り所じゃ無くなると寂しいって感じるんだなぁ」


 今日はキノコが食べたいな、なんて考えて




 結局のところ、良いだけの妖怪なんて居ないんだ。座敷童がよく分かる。あいつが居る間は家も栄えて良いだろうさ。でも、そいつが居なくなったら家が滅ぶなんて、その人間からなら悪でしかない。


 それはその家の人間が悪に落ちて、その結果居づらくなった座敷童がいなくなっただけでは?


 それなら、どうして家が滅ぶ? まだその時点では滅ぶ滅ばないの話はしていない。人が悪性に落ちただけだ。悪の栄えた試しなし? 本当にそう思って居るのか? 憎まれっ子世に憚るとも言うぞ? それでも、座敷童がいると違う。あいつがいなくなると滅ぶんだ。座敷童を良い妖怪と思いたい人間がそういう、悪の栄えない話にしたいためにでっちあげたのか? 妖怪は教訓話なのか? 違う、現実に居る。なら、この話は過去の体験を後世に伝える話だ。妖怪には、良いだけの妖怪なんて居ないんだ。


 それは、人から見たら一面で、座敷童がいなくなるような家はどうしても滅ぶしかない程に落ちブレてるという話では?


 それも人間から見た欲望だろ? 人間は人間以外の存在に完全な一属性を求める。完全なる善、完全なる悪。


 そんなわけないだろ。妖怪も人と同じで考えてる、悩みもする。そして、人や妖怪に好意や悪意を抱く。人と変わらないんだ。善と悪の二性を持って生まれた、人間と容姿と能力が異相の、生き物なんだ。それを否定するなら、お前はどうして隣に立ち、彼は親しい隣人だなんて言える? 違うさ、お前は彼らの神性に魅かれて居るだけだ。それは、相手を神や悪魔と同じように自分では届かない領域への崇拝でしかない。それは隣人か? 神と信者だよ。そして、それは彼らを対等の誰かとは見ていない。上に見ようが下に見ようが、見られて居る相手が感じるのは疎外感だよ。




 隣を見る。そこに居る彼と、視線がぶつかった瞬間に逸らされた。


 気まずそうに、逃れれば良かったと言うように。




 だから、彼らは今では人間社会に嫌気がさして山に引っ込んでる。木々の向こう、山向こうであれば見えない。領土の七割が山間部である日本なら住みやすいだろうさ。平地から森が切り払われて追われた欧州の奴らも、今頃は日本に移住してるんじゃないか?


 不法移民だなと笑う。だか、


 良いんだ、別に。人は人だけ管理して生きてる。森でひっそり暮らす隣人は対象外だ。資源を食うわけでもないしな。


 だから、


 だから、人に関わらなければ、俺みたいなのは出張る必要ないんだ。分かるか? お前がもう一度山に戻り、人と関わらなければ何も無しだ。不法移民であっても、お前を裁く事は人間の法では出来ない。だから無罪放免。


 その忠告が守られない場合のみ、人間は法の外で行動する。


 つまりは、法衣を着ない、野蛮な野生。


 その装置が、どうやら多額の金を国から貰ってる俺らしい。……はぁ、どうしてこんな訳わかんない生活になったんだ。人生計画なんて考えても無かったのに、記入用紙ですらメチャメチャだわ

合戦? ぽんぽこぽん

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。