第六話 「結真の憂鬱と新たなる攻略対象 登場」
※本作はオリジナル作品です。
※BLゲーム世界が舞台ですが、女性主人公視点で進みます。
※更新は不定期です。
白水から足早に逃れ、私たちはまず職員室へ向かった。
そこで諸々の手続きを済ませている間、
うゆくんがそわそわとした様子で口を開いた。
「あの、さっきの婚約者の方って…」
あぁ、やっぱり……
あのお馬鹿さんが、わざわざ“婚約者”なんて言うから、気にしちゃっているじゃない……
実は私は、「白水×結真」か「逆ハーエンド」希望なのである。
なので正直、面倒この上ない話だが、
あのお馬鹿さんがやらかしたこの状況を、私がなんとかしてやらなければならない。
つくづく、手のかかる男である。
だがしかし、うゆくんの幸せのためならば致し方なし。
私はうゆくんの誤解を解くべく、必死に言葉を選んだ。
「うゆくん、勘違いしないで欲しいだけれど、
白水様は親同士が勝手に決めた、いわば形式だけの婚約で…
幸いお互いの経営は順調だし、私たちがわざわざ結婚する必要はないのよね」
「そう、なんですね。
鈴乃お姉様は……
先ほどお会いした、宝来様がお好きなのですか?」
「それは本当にないわね。心配しなくていいわ」
即答である。
(しかし、まだ他の攻略対象と出会ってないとはいえ、うゆくんは白水ルートなのかしら?
もしかして、さっきので一目惚れしたのでは——!?)
私としては少し心ときめく展開ではあるが、
だからこそ、ここで誤解を残すわけにはいかない。
すると、
うゆくんはほっとしたのか、満面の笑みで「よかった……」と呟いた。
もし白水ルートに入ったら、
自分の身の安全のためにも、少し警戒しておいた方が良さそうである。
うゆくんにならば、私は何をされてもご褒美に変換されるのだが——
万が一、万が一にも、うゆくんがバッドエンドを迎えた場合。
私は“あれ”と結婚しなければならない。
最悪の結婚生活である。主に私が。
何故ならば、彼はうゆくんと結ばれなかった場合、
うゆくんに似た浮気相手を複数人囲う、
最悪中の最悪なバッドエンドを迎えるのである。
主に私が。
そもそも、“うゆくん”は唯一無二であって、
似ているだけでは何の意味もない。
それが分からなくなるほど狂った末に、私と結婚してしまう未来など、まっぴらごめんだ。
——そんな未来とおさらばするためにも、彼には早急に、““婚約破棄””を検討していただこう。
私とうゆくんは同じクラスだったが、
先生から色々説明があるため、私だけ先に教室へ向かうことになった。
ちなみに白水は別のクラスだ。
そして、ある重大な事実に気づく。
うゆくんは前の方の席になるため、
授業中、堂々とガン見してもまずバレないのである。
——私にとっては、文字通りの大歓喜だ。
そんな邪なことを考えていると、
背後から聞き慣れた声が話しかけてきた。
「よう!
鈴乃、おはよ!」
「あら、野くんおはようございます」
「今日は転校生がいるらしいな」
「ふふっ、もうそんな話が広まっているの?
実は私の義弟なの。
だから、よければ気にかけてくれると嬉しいわ」
「そっか、お前の弟か!
あとで挨拶しておくな!」
元気で溌剌とした彼の名は、野 風音という。
彼の生家である野財閥、
宝来 白水が属する宝来財閥、
我が西園寺財閥、
そしてもう一つ——
この世界には、計四つの大財閥が存在している。
そして、ここ御伽学園は、
富裕層の子息令嬢のみが通う、歴史と格式を誇る名門校。
…まあつまり。
野 風音もまた、例に漏れず攻略対象なのである。
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新キャラ登場回でした☺︎
まだまだ学園編の予定です〜!




