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リュボーヴィ クローリク  作者: 西瀬 零真


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28/30

第二十七話 「作戦会議?」

※本作はオリジナル作品です。

※BLゲーム世界が舞台ですが、女性主人公視点で進みます。

※次回も三日以内に更新予定です。

あれから白水はくすいは、数時間ほど私の話を真剣に聞いてくれた。

そのおかげで、私はすっかり気持ちが軽くなったまま帰路につくことができたのだった。

我ながら単純だとは思うが、

白水もそこまで悪い奴ではないのかもしれない、と少し見直してしまう。


ただ——問題は、どうやってそれをひばりのくんに伝えるかだ。

やり方を間違えてしまえば、

二人の関係に亀裂を入れてしまうかもしれない。

この前の様子を見る限り、

彼は、かなりみやびちゃんを嫌っているように見えた。

だが、単刀直入に幼い頃の話を伝えたとしても、彼が信じてくれるとは思えない。


……こればかりは、さすがに私一人ではどうにもならない。手一杯である。

申し訳ないが、もはや白水の頭脳に頼る他ないのだ。



「よし、寝るぞ」


「おやすみなさいませ、お嬢様」


「おやすみ、奈々」



私は一度考えることをやめて、

何事もなかったかのように眠りについた。


そして次の日。

今日は休みだが、白水と作戦を練るために会う約束をしている。

駅で待ち合わせをして、喫茶店で()()()()をする予定だ。


普通にどちらかの家で良いのでは?と伝えたところ……

「色々なことを想定しておいた方がいい」と白水に押し切られ、

結局こうして二人で出かけることになった。


駅へ向かうと、

女性たちが頬を赤らめ、ひそひそと騒いでいる姿があちこちで見られた。

そして——その視線の先には、白水の姿。

さすがである。

確かに、何も知らなければ、

ただの格好いい青年にしか見えない。

女性たちが興奮するのも、分からなくはない。


白水は私に気づくと、迷わず声をかけてきた。



「やあ、鈴乃すずの

それじゃあ、さっそく行こうか」



そう言って白水は優しく微笑み、私の手を引いた。

その姿はまるで彼女を待つ優しい彼氏のようであった。

そんな彼の姿を見た女性たちは、みな一斉に肩を落とした。



「なんだ、やっぱり彼女持ちか」


「見た?今、手繋いでた」


「はあ……残念」



などと好き勝手なことを言いながら、ぞろぞろと去っていく。

……絶対わざとだな。こやつ。

白水はモテる分、私をしれっと盾に使うことが多い。

だからといって、さすがに恋人繋ぎまでする必要はなくないか……

そう思いながらも、私は白水について行き、

お目当ての喫茶店へと辿り着いた。


そこはとても趣のある喫茶店だった。

まるで海外に来たかのような、小洒落た外観の店だ。

店内の一つ一つにも、風情あるこだわりが感じられる。

グラスや食器ひとつとっても、店主のセンスの良さが現れていた。



「とても趣のある良いところだわ」


「こんな場所を知ってるなんて、白水様はすごいわ」



私は思わず目を輝かせ、店内を見渡しながら子供のようにはしゃいでしまう。

そんな私の姿を横目に、白水はスッとメニューを差し出してきた。



「お前は甘いものが好きだろう?

ここは甘味が絶品らしい。好きなだけ頼むといい」



白水は照れくさそうに言った。

私は遠慮しないタイプなので、遠慮なくたくさん頼んだ。



「ん〜〜〜、美味しい!」



つい、口にも顔にも出てしまう。

ここのスイーツは本当に絶品だった。


今度は絶対、うゆくんとも来よう——

そう思いながらパクパクと口へ運ぶ。


そんな私を、白水は嫌な顔ひとつせず見ていた。

まるで親のように、優しく見守っているようだった。



「鈴乃が幸せそうで何よりだよ」



白水はそう言って、コーヒーを口へ運びながら微笑んだ。

私は思わず、んぐっと喉につかえそうになる。

だって、あまりにも彼らしくないんだもの……


もともと白水のことは、ゲームの中の彼しか知らない。

それでも——らしくないことくらいは、分かってしまう。

なんだか、私の方が落ち着かない気持ちになってしまいそうだった。

食事を終えると、私たちは喫茶店を後にした。


白水と、こんな風に出かける日が来るとは自分でも驚きである。


途中、可愛らしい雑貨屋を見つけた。

そこでも、あの白水が文句ひとつ言わず私に付き合ってくれた。


なんだかとても不思議な感覚だ。

けれど、どこか心地よく思っている自分もいる。


意外と()()()()()()()()()のだ。


不思議な気持ちである。

あんなに警戒していたのに、簡単に絆されている自分に呆れるくらいには。


そのあと白水は「行きたい場所がある」と言い、

私たちは展望台へとのぼった。

この街を一望できる展望台からの眺めは、とても美しかった。



「白水様も、景色を綺麗だと思ったりするの?」


「俺をなんだと思っているんだ……」


「基本的に俺は、上手くいかないことなどないが、

たまにこうして何も考えずに、ぼーっとしたくなる時があるんだ」


「あの白水様がぼーっと……」



私は、あまりにもいつものイメージと違う彼の発言に思わず笑ってしまった。



「その“白水様”っていうの、やめないか?」


「えっ、えーと……」


「そのまま白水って呼んでほしいんだが……」


「ぷっ……」


「なぜ、また笑う」


「わかりました。

これからは白水って呼びますね」



……なんだろう。

少しだけ、胸がくすぐったい。

これがメインヒーローの力か、と確信した。


あっという間に夕方になり、

白水は「送る」と言ってくれたので、二人で帰り道を歩くことになった。

日が暮れ、影が長く伸びる。

足音だけが静かに響く中、白水が声をかけてきた。



「今日のデートは楽しかった。

それで、これ」


「えっ……?」



差し出されたのは、

赤い宝石のついた目をしたピンク色のうさぎのぬいぐるみだった。



「これ……私にくれるの?」


「やる。

お前が欲しそうに見てたから……」


「別に……要らなかったら、捨ててもいい」


「ありがとう、白水。

大切にする」


「そ、そうか」



つい、勢いよくお礼を伝えてしまった。

驚きもあったが、それ以上に嬉しさが勝ってしまったからだ。

ぎゅっとぬいぐるみを抱きしめながら、

白水と一緒に私の家まで歩いた。


家に着くなり彼は私の方を向き、

意地悪そうに笑った。



「今日は、君が俺のことだけを考えてくれてるようで安心したよ」


「へ?」


「俺としては、お前が大切なことを忘れていてくれたおかげで、

普通のデートが楽しめて良かったって話さ」



何を言いたいのか分からず、

一瞬、理解に苦しんだ。

俺のことだけを?とは……


何か……忘れていること?


私にとって大切なこと……

オタク……活動……



「あっ……!!」



——思い出した。

家を出る時は、ちゃんと覚えていたのに……

そして、すっかり忘れてしまっていた自分を恥じる。



「どうやら思い出したみたいだな」


「覚えていたなら言ってくれてもいいじゃない!」



もとはといえば、自分が言い出したことだ。

自分が悪いのは分かっている。

それでも私は、少し涙目になりながら白水に訴えた。

すると彼は、人差し指で私の額を軽く小突く。



「また、学校でな」



ふっと微笑みながら、そう言い残し、

軽快な足取りで手を振り、去っていった。


……なんだか、とっても負けたような気持ちになったのだった。


ここまでご覧いただき、ありがとうございます。

よければ評価・ブクマ・♡で応援していただけると励みになります。

感想など頂けましたら泣いて喜びます…!


初デートのお話でした☺︎

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