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リュボーヴィ クローリク  作者: 西瀬 零真


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27/30

第二十六話 「歯車」

※本作はオリジナル作品です。

※BLゲーム世界が舞台ですが、女性主人公視点で進みます。

※次回も三日以内に更新予定です。


「で?

何故あんなことになった」



鋭い眼孔で私を睨みながら、ドス黒いオーラを放つ白水はくすい

私はだらだらと冷や汗が止まらず、青ざめた顔で萎縮した。



「ええと……

その、実は……」


「は?

あの二人は実は両思いだと?」



私は観念して、あの二人についての全てを白水に話した。

そう。

あの二人は……歯車一つさえ違えば、結ばれていたはずの二人なのだ。


遡ること——10年前。

これは、幼い頃のひばりのくんとみやびちゃんの話だ。

野くんは、それはそれは可愛らしい男の子だった。

けれど、野財閥として生まれた長男は嫌味なほどに優秀であり、その次男である野くんは当然のように比較の対象となった。

“長男に比べれば出来損ない”

そんなレッテルを貼られ、妬みや嫉みを持つ者たちから虐められていたのだ。


あるパーティでのこと。

いつも通り、野くんは虐められていた。

そこに現れたのは、まるで童話のお姫様のような少女——雅ちゃんだった。

彼女はいじめっ子たちを、見事に撃退してみせた。

その時、彼女はこう言ったのだった。



「あなたの涙は綺麗なんだから、あんな奴らのために流す必要なんてないのよ」


「どうか……負けないで」と。

その瞬間、野くんは彼女に心を奪われたのだった。

そして——雅ちゃんもまた。



「ありがとう……君は強くてかっこいいね」



泣きながら優しく微笑む彼に、雅ちゃんも一目惚れしてしまうのだ。


直後、二人の婚約の話が持ち上がる。

当然のことながら、雅ちゃんは喜んだ。

思い切って野くんに会いに行こうと決心し、野家を訪れた時のことだった。


その時、たまたま——

野くんと幼い私が二人でいる姿を目撃してしまう。

そして、彼が見せたのは。

自分には向けられたことのない、心からの笑顔だった。


その瞬間……雅ちゃんは()()した。


傷心のあまり、暴飲暴食。

つまり、やけ食いである。

失恋の傷を忘れるかのように、それはしばらく続いた。


さらに時は流れ、三年後。

改めて正式に婚約者となった野くんが、雅ちゃんに会いに来た。


けれど。

彼女はやけ食いのせいで、あまりにも太ってしまっていた。

そんな雅ちゃんの姿を見て、野くんは幻滅してしまう。

さらに追い打ちをかけるように、

野くんは好きな人がいる、と言った。


しかし、それは——

昔、虐められていた時に助けてくれた女の子だった。


雅ちゃんはぬか喜びし、それは自分だと伝えた。

けれども……

あの時の面影とは、あまりにもかけ離れていた。

野くんは、一切信じなかった。

それどころか——



「嘘つきのブタは嫌いだ。

二度と近づくな」



そう言い放ち、雅ちゃんを突き放したのだった。


そして、なんとも悲しいことに——

野くんは今でも……

あの時、助けてくれた少女を“私”だと勘違いしている。

やたら私に話しかけてくるのも、そのせいである。

原作でもそうだったが、彼は鈴乃を心から尊敬していた。


虐められて泣いていた彼は、

あの時、相手の姿をはっきり見ていなかった。

覚えていたのは、シルエットと雰囲気だけ。


だからこそ——

雅ちゃんがあの光景を目撃した、まさにその瞬間。


ちょうどその時、野家を訪れていた西園寺家の娘——

つまり、()()()()()()()()()を見て。

まあ、悪役令嬢同士だし……仕方ないのかもしれないが。

彼は、あの時の少女を“私”だと思い込んだのだった。


もちろん、彼女が今こうして美しくなったのは、好きな人に“ブタ”と言われたことが原因である。

私に攻撃的なのも、まあ……そのせいだ。



「……なるほどな」


「だからこそ、二人には誤解を解いて幸せになってほしいのよ!

分かるでしょう!?」



私はオタク全開で、白水に二人について熱く語ってしまった。

ここまで話してしまった以上、なりふり構っていられない。

この気持ちを誰かに分かってもらい、分かち合いたかったのだ。

それがオタクの性である。



「それで、お前はあんな行動に出たというわけか……」


「事情は分かった。

これからどうするつもりなんだ?」


「えっと……

実はまだ何も考えてなくて……」



えへへ、と誤魔化す私に、

白水は「はあ……」とため息をつき、私を見た。



「仕方ない。

俺も協力しよう」


「え、ほんと!?いいの?」


「お前一人では何をやらかすか、分かったもんじゃないからな」



ギクっ。



「それより鈴乃。

お前、口調がいつもとだいぶ違うぞ」


「えっっ、気をつけていたのに……」



白水は珍しく柔らかな笑みを浮かべ、

「俺はそっちの方が好きだがな」

と笑った。


少しだけ……

ほんの少しだけドキッとしたのは、私だけの秘密である。


ここまでご覧いただき、ありがとうございます。

よければ評価・ブクマ・♡で応援していただけると励みになります。

感想など頂けましたら泣いて喜びます…!


二人の過去が明かされました!!

この二人には結ばれてほしい☺︎

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