第二十五話 「ツンデレの極」
※本作はオリジナル作品です。
※BLゲーム世界が舞台ですが、女性主人公視点で進みます。
※次回も三日以内に更新予定です。
「おい、雅!
いきなり現れて、そんな言い方はねぇだろ!」
次の瞬間——
中庭の空気が少し張り詰めた。
「なっ!?」
「それに俺たちの婚約は“形”だけだ」
「そうだとしても……!」
野くんは突然姿を現した九条 雅に、随分と冷たい口調で言い放った。
「私は、ただ……!
お互い婚約者がいる身で、
ふ、2人きりで会うなんて……どうなのかしら、と思っただけですわ!」
野くんは呆れたようにため息をついた。
しかし、原作を知っている私は違う。
九条 雅。
通称、雅ちゃん。
——所謂、究極のツンデレである。
オタクとしては非常にありがたいキャラであり、前世でもかなり人気だった。
彼女が幸せになるルートを望む声が、ファンの間で殺到するほど支持を集めていた。
その理由は、二人の関係にある。
だからこそ今、二人の関係を修復しようとしている最中なのだが——
どうにも、良くない方向へ進んでいる気がする。
それに、キッと雅ちゃんに睨まれていては、日を改めるほかないのかもしれない。
「お前さあ……
思い込みもほどほどにしろよ……」
野くんは、やれやれといった様子で宥める。
だが、その矛先は私へと向かう。
当然ではある。
「いいこと!?
私は、ヤキモチを妬いているわけではないの!」
「婚約者として当然の配慮をするべきだと、伝えているだけなのだから!」
(い、言っちゃった……)
可愛いなぁ……
ヤキモチ妬いてたのか……
雅ちゃんのあまりの可愛さに、表情筋が仕事を放棄し始める。
「西園寺 鈴乃……
なによ、その表情は!!」
顔を真っ赤にして、ぷりぷりと怒っている姿もまた可愛らしい。
けれど、これ以上怒らせる訳にはいかないと口を開こうとしたその時——
「俺の婚約者が迷惑をかけてすまない」
まるで物語のヒーローのようなタイミングで、白水が現れた。
彼は、お得意の王子様スマイルで雅ちゃんへと謝罪した。
「いえ……
その……こちらこそ、声を荒げてしまい申し訳ありません」
「気にしないでくれ。
俺も君の意見には同意だな」
「鈴乃」
「……はい」
白水がここまで笑っている時は、間違いなく怒っている。
——普通に怖い。
「どんな経緯であれ、お互い婚約者がいる身だ」
「そんな男女が二人きりでいれば、何を言われるか——
言わずとも分かるだろう?」
「……はい」
「それに風音くんにも“伝えた”はずだったんだがな」
「白水さん、申し訳ありません。
僕の落ち度です」
「くれぐれも、今後は気をつけてくれたまえよ」
野くんにまで頭を下げさせてしまった。
……完全に、作戦は失敗に終わった。
張り詰めた空気の中、
白水は私の腕を軽く取り、そのまま歩き出した。
「それでは、俺たちは失礼させてもらう」
白水は振り返り、野くんと雅ちゃんへ視線を向ける。
「風音くん。九条さん。
今日は突然のことで驚かせてしまったようですまなかった。
あとは、二人でゆっくり話すといい」
二人は軽く会釈をした。
そして——
私は白水に腕を引かれるまま、中庭を後にした。
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ツンデレは正義なり☺︎




