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リュボーヴィ クローリク  作者: 西瀬 零真


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24/30

第二十三話 「風音ルート」

※本作はオリジナル作品です。

※BLゲーム世界が舞台ですが、女性主人公視点で進みます。

※次回も三日以内に更新予定です。

この前のお茶会は、

うゆくんにとって——攻略への記念すべき第一歩だったに違いない。

あれは間違いなくスチル案件だ。

ゲームなら確実に回収イベントである。

……非常に良いものを拝ませていただいた。

まるで推しのライブ翌日のような幸福感に包まれながら、

私は教室で余韻を反芻していた。


——と、その時。

聞き慣れた声がかかった。



「鈴乃、おはよ!!」


ひばりのくん、おはよう。

相変わらず元気ね」



顔を上げると、そこにいたのは野くんだった。

彼もれっきとした攻略対象ではある。

……が。

直接的に私への影響がない分、警戒心が少し緩む。

むしろ、他の誰よりも話しやすい。


理由は単純だ。

野くんには、

ちゃんと風音かざねルートの()()()()が存在している。

つまり、私の出番は、ほぼ無いに等しいのだ。

——そう思うと、つい安心してしまうのだ。


ただ。

彼のルートに関してだけは、

まるで決められた筋書きに振り回される側の人間のように思えてしまう。

前世で何度も見た、あの展開。

どうにかならなかったのかと、ずっと思っていた。

そして今、私はここにいる。

ならば、

どうにか模索することだって、できるはず。


しかし——

肝心の“彼女”には、まだ会えていない。

風音ルートは、()()()()()()()()()()()()()()のに。

うゆくんが登場した今も、姿すら見ないということは……まだフラグが立っていないのだろうか。


正直なところ、野くんだけは私は後押しするつもりがない。

だからこそ、扱いが一番難しい。



「そういえば、この前の夜会で暴れ散らしたって聞いたぞ」


「えっ!?」


「暴れ散らしたわけでは……」


(てか、そんなこと言ったやつ誰よ)


「それはそれはすごい迫力だったって兄貴笑ってたぞ」


(おい。野くんの兄よ)

私は心の中で全力で舌打ちした。

全く失礼な男ね、と思いつつも野くんと話をするのは楽しい。



「でも、その背中は逞しくて綺麗だったって兄貴が言ってた。

俺もその姿、見たかったなぁ」



とても素敵な男性だわ、と思い直しつつも、

私は肩をすくめた。



「あ、あの時は必死だったのよ……

だけど、後悔はしていないわ」


「鈴乃は昔からそうだよな。

覚えてるか? 俺らが子供の頃、いじめられてた俺を助けてくれたこと」


(……やっぱり)


「そうだったかしら?」


「おい、忘れてんのかよ」



野くんは笑いながらも、少しだけ真剣な目をする。



「泣いてた俺にさ、

“あなたの涙は綺麗なんだから、あんな奴らのために流す必要ない”って。

“どうか負けないで”って」


「あの時の鈴乃、マジで強くてさ。

ちょっと心奪われかけたんだからな」


「………」



——知っている。


その台詞も。

その表情も。

そのイベントも。

全部、ゲームで見た。


けれど。

彼の“勘違い”もまた、

あの時から何ひとつ変わっていないらしい。

私が正したいのは、まさにこれなのである。

この誤解さえ解ければ、未来は変わる——そんな予感がしていた。



「あの、野くん……!」



バンッ。



「おはよう、鈴乃」


「……え?」



思いがけず、白水はくすいが私と野くんの間に割って入った。

机に手をつき、逃げ場を塞ぐように立っている。



「あ、おはようございます……白水様」


「白水さん、おはようございます。

それから、お久しぶりです」



私は一瞬、頭が真っ白になりかけたが、なんとか言葉を返す。

野くんも、どこか体裁の悪そうな顔で挨拶をした。



「風音くんか。久しいな。

君のお兄さんには、いつも世話になっているよ」



穏やかな声音だが、目は笑っていない。



「君にはなかなか会えないから心配していたんだが……

朝から鈴乃と随分楽しそうで、安心したよ」


(はぁ……その嫌味ったらしい言い方)

……ていうか待って。

その言い方だと、結構前から近くにいたことにならない?

普通に怖いんですけど。



「ただ、世間話をしていただけですわ」


「それならいいんだが。

少し“穏やかではない”言葉が聞こえてきたものでね」



キーンコーンカーンコーン。

予鈴が鳴る。



「もうこんな時間か」



白水は視線を野くんへ戻し、わずかに口元を上げる。



「まさか、とは思うが——

彼女が()()()()()だということは、くれぐれも忘れないでくれよ」



水を打つように静かで柔らかい声に、逆に恐怖を感じた。



「……もちろんです」


「そうか。ならいい」



白水は一瞬だけ私を見て、

「それじゃあ、また」と教室を出て行った。

わざわざ人の教室まで来るなっつーの!!

心の中であっかんべーを何度かしてしまった。

白水に遮られてしまったせいで肝心なことを聞けずじまいのまま、今日という日が終わってしまった。

私は——どうしても、さっきの続きを野くんに聞かなければならないのだ……。


ここまでご覧いただき、ありがとうございます。

よければ評価・ブクマ・♡で応援していただけると励みになります。

感想など頂けましたら泣いて喜びます…!


やっと野くん再登場です☺︎

白水が、なんかいやらしいのがポイントです。

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