第二十二話 「変態は進化する」
※本作はオリジナル作品です。
※BLゲーム世界が舞台ですが、女性主人公視点で進みます。
※次回も三日以内に更新予定です。
みなさん、どうもこんばんは。
もしくはこんにちは?おはようございますの方もいるのかな?
そして、初めましての方は初めまして。
草葉の陰から怪しく見つめている私こと、
西園寺 鈴乃でございます。
さて。
現在、何が起こっているかと申しますと……
推しカプ激アツのキス未遂(ほぼ確)シーンが、目の前で繰り広げられております。
はい。
さっきまで言い争っていたはずの二人が、
気づけば距離ゼロ。
息が、触れているんですけど?
どうしてこうなった。
恐らく言い争いの内容は——
白水
「一体なぜ、俺があれほど君を気にかけているのに、素知らぬ顔をする」
うゆくん
「それは……僕の自由ですから。
それに、あなたは鈴乃姉様の婚約者でしょう?」
白水
「……わかっていて、そういうことを言うのか」
うゆくん
「意地悪なのは、あなたのほうですよ」
そして——
白水はゆっくりと立ち上がり、
結真の顎に指先をかけた。
そして、逃げ場を奪うように——ぐい、と持ち上げた。
その距離は、息が触れるほど近い。
どちらも、熱い視線を逸らさない。
白水
「……言ってくれるな」
——大体、こんな感じだろう。
(尊……)
ここは誰も見ていない。
ゆえに私は、全力でニヤけながら観覧している。
そして、興奮のあまり危うく赤い汗を噴きそうになるのを、私は全力で抑え込んだ。
二人の様子に、さらに聞き耳を立てる。
……ドンッ。
どうやら、うゆくんが白水を軽く突き飛ばしたらしい。
「……なしてください。
こうやって……にも、無理矢理……」
む、無理矢理ですって!?
それは白水さんダメですよ。
オタク的にはアリですが、リアルではノンノンですよ。
「……が煽ってきたんだろ」
あおっ……。
ぐはっ。
「元……言えば、あなたが……」
——バシッ。
手首掴んだーーーー!!!
白水さん、白昼堂々大胆すぎる。
思わず両手を広げて顔を覆う。
もちろん目は、指の隙間からバッチリとフィルムインである。
話し声はやや聞き取りづらいが、
そこはご愛嬌ということで。
なにやら言い争っている様子で、
白水が、今度はうゆくんの顔を手で鷲掴んだ。
つ、ついに——!?
その瞬間、興奮で足元がふらつく。
体勢を立て直そうとしたが、
どうやらスカートの裾を踏んでいたらしく盛大に転んだ。
ガサガサガサッ——!!
「いたた……」
恐る恐る顔を上げる。
……バッチリ。
二人と、目が合ってしまった。
「あっ……」
「鈴乃、大丈夫か!?」
「鈴乃、大丈夫ですか?」
声が、綺麗に重なった。
「あ、えと……私は大丈夫、です。
スカートの裾に引っかかって、よろけてしまっただけだから……」
そう言いながら立ち上がろうとすると、
二人が同時に一歩前へ出て手を差し伸べてきた。
「そ、それより二人こそ大丈夫?
なにか、話し込んでいたようだけれど」
その瞬間——
二人は、あからさまに目を逸らした。
……あっ。やっぱり。
恐らく、私に二人がイチャイチャしているところを目撃されてしまったからだろう。
何も、そんなに照れなくとも良いのに。
「特に何も問題はなかったんだが。
少し話し合いに熱が入ってしまってな」
何をいけしゃあしゃあとおっしゃってるのかしら。
あれだけ距離を詰めて、
吐息が混ざりそうな近さで見つめ合っておいてからに。
それを“話し合い”と呼ぶとはあっぱれである。
「というか……何故、君はあそこに?」
(ギクっ)
痛いところを突かれ、思わず視線を泳がせる。
「えーっと……少し道に迷ってしまいまして……ははは」
「鈴乃、おっちょこちょいなんですね」
相変わらず、うゆくんは天使である。
そして今日も世界は平和だ。たぶん。
「そうか。それは俺の配慮が足りなかったな」
「えっ、いえ……お気になさらなくても大丈夫ですわ」
白水が私に対して、そんな“気遣い”のようなことを言うなんて。
あまりの珍しさに、私は本気で驚きを隠せなかった。
白水は小さく咳払いをし、ほんの少し頬を赤らめる。
「その……
お前の好きな菓子を用意するから……
また、一緒に茶を飲まないか」
「え……?」
一瞬、心臓が跳ねた。
けれど。
「僕たちで良ければ、ぜひ。
いつでも誘ってください」
にっこりと、屈託のない笑顔でうゆくんが答えた。
……びっくりした。
一瞬でも、自分が誘われているのかと勘違いしてしまいそうになったではないか。
白水は、なんとも言えない微妙な表情を浮かべ、それ以上何も言わなかった。
こうして。
ほんの少しだけぎこちない空気を残したまま、
お茶会は静かに幕を閉じたのだった。
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鈴乃の妄想炸裂は止まらないッッッ!
今後さらに増えていくことでしょう☺︎




