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リュボーヴィ クローリク  作者: 西瀬 零真


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11/14

第十話 「気づき」

※本作はオリジナル作品です。

※BLゲーム世界が舞台ですが、女性主人公視点で進みます。

※更新は不定期です。

私のこれからの人生計画について念入りに練っていると、部屋の外がやけに騒がしいことに気づいた。


少し気になり、部屋を出て様子を窺う。

するとそこには、泣き崩れているうゆくんの実の親らしき人物と、私の父、

そしてうゆくん本人が——

どう見ても穏やかとは言えない空気で向かい合っていた。


そういえば。

そもそも、なぜうゆくんは

「義弟」として、西()()()()()()()となったのだろうか。


原作のゲームでも、

この点については一切触れられていない。

理由も、事情も、何ひとつ明かされないままだ。


跡取りの問題だとするなら、

私には()()()()もいる。

今さら、“血の繋がらない義弟を迎える必要はない”はずだ。


やはり、何か。

私の知らない、深刻な理由があるように思えた。

私はしばらく様子を見ることにした。


うゆくんはやはり、実の親の元に戻りたいのだろうか…

などと考えていると、

お父様が何かを告げた途端、

うゆくんの親らしき人は、まるで逃げるかのようにすぐさま屋敷を後にした。


その後も、お父様とうゆくんは何かを話しているように思えた。


——しかし、その瞬間、

うゆくんの“初めて見る表情”に言葉を失い驚愕した。


それは、

これまでたまに感じていた冷たさとは、まるで違う。

全てを諦めたかのような軽蔑や嫌悪とも取れる、ぞっとするほど冷酷な表情だった。


人の事情に首を突っ込むのは良くない。

頭では分かっている。


けれど——

私は、どうしても何があったのか、気になってしまった。


迷った末に、うゆくんに直接聞いてみることにしたのだが、どう切り出せばいいのか分からず、

結局、全くタイミングが掴めないまま数日が過ぎてしまった。


ぼけっとしながら庭の花に水をやりつつ、

どうやって、うゆくんに事情を聞こうか考えていると——



「わっっっ!! 冷たい…!」



(推しに似た、可愛い声…)


うっとりしながら、徐に視線を向けると、

本当に、推し本人に冷たい水をかけてしまっていたのだった。



「!?

うゆくん、ごめんなさい!」



大慌てで、うゆくんの手を引いてお風呂場まで駆ける。

彼には先にお風呂に入るよう伝え、

私の専属メイドである奈々が、着替えを持ってきてくれた。


うゆくんは、もうお風呂に入っているものと思い、私は勢いよく扉を開けてしまった。


そこには、まだ着替え途中の、半裸のうゆくんが立っていた。


(…推しの、はだ…か……)


そう思ったのも束の間、

彼の背中に、()()()()()()()があることに気づいた。

それが“偶然”できたわけではないと分かるほどの。


私の大切なうゆくんに、こんな“仕打ち”をした誰かへの、計り知れない怒り。

そして、これまで彼が、

どれほど嫌な思いをしてきたのかという、耐えがたい悲しみ。

それらが一気に押し寄せ、言葉が出てこなかった。



「……お姉様は、軽蔑しますか?」



哀しそうな目で、

すべてを諦めたかのように、うゆくんは呟いた。



「僕、醜くて、汚い子なんです」


「……れよ。

そんなことを言って、貴方を傷つけたのは」


「え……?」


「貴方に、そんな酷い言葉をぶつけたのは、誰なの!?」



いつもなら我慢できるはずの感情が、

怒りと悔しさで抑えきれず溢れ出した。

気づけば、頬を伝う涙も止まらなかった。

うゆくんを困らせてしまうと分かっていても、

前世で、私は何度も彼に救われた。


だからこそ、

彼を傷つけた人間を、心の底から許せなかった。



「……お義母様かあさまです」



ぽつり、と。

絞り出すような声だった。



「僕は、“実父が他所よそで作った子供”なんです。

だから…」



一度、言葉を探すように視線を落としてから、

彼は続けた。



「醜くて、汚くて……

()()()()()()()()()()なんだって……」


「ずっと、そう言われてきました」

 


小さく息を吸い、

唇を引きつらせるようにして、うゆくんは笑おうとした。



「けど…」


「お姉様が、あんなふうに僕のために怒ってくれて…」


「…そんなこと、今まで一度もなかったから、すごく嬉しかったんです」



気づけば、私はうゆくんを抱きしめていた。


まだ出会ってそんなに時間が経っていないから、こんなことをされて“気持ち悪い”と思われるかもしれない。


それでも——


ずっと、嫌な思いを心の奥に押し込めて、必死に耐えてきた彼に、

今だけは「よく頑張ったね」と伝えたかったのだ。

うゆくんは一瞬、驚いたように体を強張らせてから、

そっと、抵抗するのをやめた。

私の服の裾をぎゅっと掴み、

声を殺しながら、子供のように泣いていた。


私はその頭に、静かに手を添えた。

そして、()()()()()()()()()()()()を決して許さないと覚悟を決め、

——私はお父様の元へ向かった。


ここまでご覧いただき、ありがとうございます。

よければ評価・ブクマ・♡で応援していただけると励みになります。

感想など頂けましたら泣いて喜びます…!


うゆくんの過去編です☺︎

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