表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一筋の光  作者: 水村陽
2/6

王都騒乱(2)

「ただいまもどりました。」

 玄関ドアを開けて入ると奥の部屋でゴソゴソという音がする。

「ドーラ、どうしたのですか?」

 とフードをとり、からまった長い金髪の髪を振りほどく。そして上着を脱ぎながら奥の部屋に進むと入ってきた私にようやく気づいたドーラが応えた。

「ああ、サリー。良かったです、何か変なことはありませんでしたか」

 と立ち上がり慌てた様子で聞いてくるので戸惑いながらも特に何もなかったことを伝える。

 それに安心したカーラが息を吐いた。私はドーラの短く切られた髪が少しばかり乱れているのに気がついた。気を取り直したカーラから告げられた一言で私の時が止まった。

「あの者がついに動きます。」

 私は背後で暗闇が蠢いたような気がした。いつかこの日がくることはわかっていたが、いざとなると衝撃は隠せない。常にうごめき続ける殺しても殺しきれないほど憎い存在。しかし同時に私が今ここでこうして暮らしていられる理由でもある。

息を飲み込み、私は問いかける

「では」

「ええ、逃げなければなりません。あの方のためにもあなたは死んではならないのですから」

 言われ続けた言葉だ。

 その言葉に従い逃げなければ。

「準備はしておきました。ひとまずカロリングにお行きなさい。そこでカロリング伯に会うのです」

「分かりました」

 そう言って、荷物を確認し逃げるための服装に着替え始めた。動きやすいように街の男の子達が履くような麻のズボンを履き、日に焼けていない白い肌を暗闇に隠すように黒い厚手のローブを着込む。護身用に習った手に馴染みのある短剣を持ち、鞘から抜き出し刃を確かめる。

 その時、ドンドンと戸を叩く音がした。ハッと思いドーラと顔を見合わせる。

 私が出ます、とドーラが向かう。

 見つからないように玄関からは見えない位置に立つ

「逃げなさい!」

 とドーラの叫びが聞こえた。

 それを聞くやいなや私は裏口を目指し駆け出した。

 闇が迫ってくるの感じながら。


読んで下さりありがとうございました。

王道ファンタジー目指しさらなる精進をします。

次話もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ