王都騒乱(1)
1ーa.訓練
対戦相手と向かい合っていると審判役の先輩騎士が合図を出し、手合わせが始まった。
戦闘が始まってしまえば、体格こそ似ているが速さに圧倒的に劣る俺では相手の剣をひたすら防ぐしかない。
相手が打ち込んでくる。剣がせまる。打ち込まれた剣をはじき返す。
力比べになれば相手に押し切られてしまう。
そうならないように相手の剣を一撃一撃、細心の注意をはらって弾き返す。
そうして10合ほど打たれると相手が少し離れたところで剣を休めた。
それと同時に相手の雰囲気が変わるのが分かった。先程までとは違う力のこもった目。全身から立ち上る「切る」という気迫。こちらの隙を伺っている。
一瞬でも隙を作れば切られるという恐怖を覚えながら意識を切らさないように集中する。
次の瞬間、相手の剣が消える。
頭に打ち込まれる寸前でかろうじて止めることができた。このまま競り合いになってはまずいと思った次の瞬間、再び剣が消える。
かろうじて右から斬り上げてくるのが見えた。
しかし、どうすることもできずガラ空きの脇へと吸い込まれた。
騎士の膂力でもって打ち込まれた真剣ー刃引きされたものとはいえーは防具の上からでも十分な大きな衝撃で、ひざをつかざる得なかった。
「そこまで」
審判からの終了の声がかかる。
さきほどまで手合わせしていたサキルはつまらなさそうに俺を見ているようだったが、目を向ける余裕はなかった。
「いいかげん、あきらめて新しく宝珠を購入したらどうだ」
先輩騎士がそう声をかけてくる。
なんとか呼吸を整えて、痛みでひきつりそうになる喉から声を出す。
「宝珠を買えるほど余裕もないですし、それにどうしても自分の力以上のものを使うというのが好きになれないんですよ」
「まぁ、無理にとは言わんが。だがお前ならきっと使いこなせると思うんだがな」
「ありがとうございます。でもすみません。」
そう言って俺は痛む脇腹をかばいながら壁へ寄り、座り込んだ。
先程の戦いでかいた汗が前髪を伝い落ちてくる。そういえば最近髪の毛を切っていないななどとどうでも良いことを考える。
そうして息を深く吐いてから鍛錬場を見回すとサキルがまた別の騎士と手合わせをしているのを見つけた。
その鍛えこまれた体が俺と戦った時よりも素早い足さばきで動き、鋭い一撃を打ち込んでいるのを見れば先ほどの俺との戦いでも手加減していたのがわかる。
そんなことをぼんやりと考えているとサキルが相手の防御をかわし一撃を加え、今日の訓練の終了が告げられた。
読んで下さりありがとうございました。
王道のファンタジーを目指して頑張りますのでよろしくお願いします。
よろしければ次話もお読みください。
本当にありがとうございました。