新大陸アスクロリア
「ウミネコかな、」
穏やかな波に揺られる船の上、空で鳴いている鳥の声に耳を傾ける。
「やっとアスクロリアが見えてきたよ!」
フィーシャが疲れ切った声で皆に知らせた。
虚妄の魔術師を倒して数週間後、療養を経て俺達、勇者パーティーは大陸への航海へと切り出した。
「色々あったな───フィーシャ、メーナ。そして、タチバナ。」
航海中の波は酷く、皆は船酔いで昼夜問わず吐いていた。特に酷かったのはこの勇者だ。
何、旅の終わりみたいな雰囲気出してんだお前は。
「たかだか航海でそんな言葉を吐かないでくださ」
「苦痛を知らない貴方に、航海を語る資格はないわ、、、!!」
俺の言葉をメーナが遮って睨みつける。
俺以外の三人、船旅が大の苦手なのだ。
しかも大陸間の移動は基本的に船。圧倒的に冒険に向いていない。
「、、、そうですか。」
口を紡いで、押し黙る。
いいもんね。そんな事言うならお母さん喋りませんから!!
「島影が見えてきたな、、、メーナ、防御魔法を。」
俺達が降りる港は、アスクロリアの中でも有数の観光地、かつ治安が良い国だ。
遠くから見ても、その南国らしい美しい街並みは、冊子で見たフランスのナポリを連想させる。
「なんで防御魔法を?見るからに平和そうですけど、、、」
ふと、気になってメーナにそう問いかけた。
治安がいいのに防御魔法なんて、何かチグハグだ。
「いくら治安が良いと言っても、アスクロリア大陸に違いは無い───私達は見世物として高く売れる。この街のマフィアが襲ってくるとも限らないのよ。」
マフィアなんて物騒なの居たんだ!?この異世界に!
防御魔法を張ってくれてありがとうございます。メーナさん。
「タチバナ。剣を抜け。フィーシャは攻撃するな。」
と、思っていた矢先に、飛んできたのは銃弾。
────銃弾!?
「ちょっ、なんでナーロッパに銃弾なんて!?」
「何言ってんのよタチバナ、銃知らないの?」
銃弾はシールドに防がれては、甲板へと落ちる。
俺は指示通りに剣を引き抜いたが、、、銃に剣で敵うの?
「タチバナ。俺は左をやる。」
勇者も剣を引き抜き、バフ魔法を自分に掛けていく、いや、だから絶対無理だよ銃持ってる相手には!!
「────" 龍人化魔法 "!!」
新たに習得した魔法を試す。
龍人、つまりは単純な強化だ、しかも、それの便利な所は変装に上手いこと適応してくれるのだ。
だから、多分皆にはワインレッドのローブを羽織った姿に見えているはず。
「勇者パーティー御一行さん、歓迎いたします。」
船はまだ港に上がっていない。だが脚力で飛び越えて、船より先に陸上する事ができる。
───と、勇者と俺が上がった時、無数の銃口が向けられた。
「やっぱヤバいですよねこれ!?」
銃弾が放たれる、強化した俺は動体視力と速さで避けられる、、、けど勇者は普通の人間のはず、避けられるのか?
「────紅蓮咆!!」
相手の背後に回り込み、口から火球を吐いて相手を殲滅していく。
今さらですが、ドラゴンらしく火を吹けるようになりました。いや、なんで今までできなかったんだよ!!
「終わったか、タチバナ。」
「はい──ってどうやって回避したんですか!?」
目を離した隙に勇者の方も片付いていました。
どうやったのか教えてもらいたいわ。




