覚醒
「フィーシャ。後は任せて。」
目の前の敵を見据え、俺はそう放つ。
若白髪の青年、褪せた群青と、灰色の目のオッドアイで、焦点が合っていない。
死体だ。間違いなく、魔力で動いているだけで。
「火炎付与。雷電付与。威力上昇付与。速力付与高防御付与魔力増幅付与」
バフを重ね掛けしていく。基礎の底上げは大事だ。
なにより────パーティーメンバーがやられたのに出し惜しみはできない。
「"神級"」
「人造神兵器」
さっきまでと雰囲気が変わった。
空間はひりつき、周囲の魔力が楕円形に集約していく。
物質創造────その魔法には高い技術が求められる。この世界には無い物であれば尚更。
「核爆弾────だよな」
現代科学の化身。神の武器とも言える兵器がその場に現像する。それとともに、虚妄の魔術師の中の魔力が大幅に減ったような気がした。
相打ちになったとしても俺を倒したいのだろう。
「そんな事、させるわけはないんだけど!!」
「神級!!」
音速よりも速い速度だろう。ソニックウェーブを発生させながら核爆弾は弾丸のように俺に向かう。
立ち向かう様にして剣を構えた。
「龍刀断魔!!」
俺が"砂嵐"に与えられた力は二つ。
一つは、魔族殺しを無力化する力。
そして二つ目は───ドラゴンの力を更に引き出す能力。
俺は邪竜、ドラゴン族の力を万全に引き出した俺は
もはや人間に負けるはずはなかった。
「─────魔、王。」
核爆弾の爆発。そして放射線ごと切り裂く様に、魔力の斬撃は虚妄の魔術師の胴体を真っ二つに。
死に際、虚妄の魔術師が放った言葉はその一言だった。
「勝った、、、?」
背後にいたフィーシャが、震えるような手で俺にそう問いかける。
「勝ちましたよ。フィーシャ」
ホッ、と一息つくと、俺はそう返した。
虚妄の魔術師────撃破だ。




