23 巻き込まれた社畜のその後……
「結局、時戻草は、あの場所でなければ再現できそうにありませんでしたね~」
帰りの車の中で、伊月が残念そうに呟いた。
あの巧の作った薬草を煎じた物は、凄まじい効果があった。
あのお茶を飲んだ伊月は、全身輝く肌になり、疲れも全て吹き飛ぶほどの絶大な効果があった。まさに時が戻るほどの効果だった。
だが、あの土地で育った薬草と水で作ることが条件のようだった。
「まぁ、それがわかってよかったね。でも、効果は実感したから、いつか再現することも可能かもしれないし……なにより、伊月さんとのんびりと温泉に入れたしね」
普段の伊月なら、「仕事中に何言ってるんですか!」と言っていたかもしれない。
だが、伊月も巧の言葉に頷いた。
「そうですね……たまには温泉でのんびりするのもいいな~って思いました」
「じゃあさ、また行こうか。今度はプライベートで行く?」
巧が伊月にミラー越しに笑いかけた。
「そうですね。それもいいですね」
伊月が笑うと、巧が楽しそうに言った。
「じゃあ、来月はどう? それとも来週? それともこれから行く?」
「はぁ~~? 仕事しましょう~~~」
結局最後はいつもの2人に戻っていたのだった。
その後、伊月の元に京介から連絡が来た。
「へえ~。香さんもあの旅館で働くことになったんだ」
「そうみたいですよ」
伊月と、巧は顔を見合わせながら、微笑んだのだった。
【完】
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
またどこかで皆様にお会いできることを楽しみにしております。
たぬきち25番




