22 真相(2)
「奥野が、血を流して倒れていた……打ちどころが悪かったみたいで……即死だった」
京介が、眉を寄せながら言った。
「もしかして、美香さんも?」
香が震えながら尋ねると、京介が息を吐いて言った。
「あの女は、脅してきたんだよ。ロープウェイで駐車場に行く時、偶然隠していたパラグライダーを片付ける俺を見たと言って……」
「脅しって……失礼ですが、美香さんに脅されるって……美香さんは、日本屈指のセレブだ。お金には困っていないし、旦那だっているんだ。スキャンダルは避けたいはずだ。君を脅すメリットが見当たらない」
巧の言葉は、もっともだと思った。
美香が、京介を脅して得られるメリットがわからなかった。
「外で男に抱かれたいと言っていた。室内だと快楽が得られないんだと……。その相手をするように迫られて……断ったら、しつこくて、腕を振りほどいたら……急いで確認したが……すでに息がなかった」
京介はそこまで言って、口を閉じた。
美香は、快楽主義者だったのかもしれない。しかも、外でないと快楽が得られないという半分病気のような性癖の持ち主だったようだ。
「京介……もしかして……釣りで使う電動リールのタイマーをセットして、布を動かしたのか? ここの料理にはこの辺りで釣った魚料理も使われている。釣竿はあるんだろう? あの木の後は釣り糸のようだったし……」
伊月の言葉に京介が頷いた。
「そうだよ……」
「そんな……京介!!」
香が、つらそうの京介に近づこうとした時。
「寄るな!! もう、俺は……」
そういうと、京介はポケットから何かを取り出して口に入れた。
「がはっ!!」
その瞬間、京介が口から血を吐き苦しんだ。
「くっ!! トリカブト系の毒か?!」
巧が、匂いを嗅いで悔しそうに声を上げた。
「いや~~~!! 京介!! 京介~~~~!!」
奥野が亡くなった時には顔色一つ変えなかった香が半狂乱で、京介に縋りついた。
すると、バタバタと館主が戻って来た。
「一体何が?!」
すると、巧が声を上げた。
「館主、トリカブト系の毒の解毒薬はありますか?!」
「解毒?! 解毒はできませんが、吐かせる薬はあります。それを使えば、運がよければ助かるかもしれない!! すぐに飲ませます!!」
館主が毒を吐かせる薬を飲ませた。
ぜぇぜぇと京介は口から吐き出したが、苦しそうなままだった。
「救急車を呼ぶ」と言って電話に向かった館主が電話を終えて戻ると、巧はすっと立ち上がった。
「館主、この土地で取れたどくだみと、クコ、キクイモ、スギナはありますか?」
「は、はい。その4種類は、絵にも描かれていて、隣の数字の書かれた月齢の日に採取して、必ず常備するようにと伝えられておりますので」
館主がこう答えると、巧がさらに言葉を続けた。
「温泉3種類は用意できますか?」
「できます」
巧はそういうと、カウンターの中に入ると、館主の取り出す薬草を土鍋に入れて煎じ始めた。
そして、完成した薬草を京介に差し出した。
「逃げるなんて、許しませんよ」
そう言って、薬草を飲ませた。すると、京介の呼吸が落ち着いた。
その後すぐに救急車が来て、京介は病院に運ばれ、一命を取り留めたと連絡があったのだった。




