表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界保険機構 ―命に価値を、契約に魔法を―  作者: のびろう。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/17

第八章 守るべきもの、失うもの

その夜、町は巨大な咆哮に包まれた。

巨大な三つ首ドラゴンが町の外れに姿を現し、地鳴りと咆哮が町を震わせ、人々は恐怖に凍りつく。


「総員、外壁へ!非戦闘員は中央広場へ避難!」

ギルドの号令のもと、冒険者と騎士が総動員される。



ジロウは仲間たちと合流し、ギルド団体保険の魔法証書を再配布しながら声を張り上げる。


「この町の命運は、みんなの“誓約”でつながっている!信じろ――“保険”は俺たち全員の絆だ!」


アスカが剣を構え、先陣を切る。

「やるわよ、みんな!油断したら一瞬でやられる、全力でいくよ!」


カナは素早く町の子どもたちを安全な場所へ誘導し、

ユイは森の精霊を呼び出して防御の結界を張る。

レムは負傷者の回復と後衛の支援に回った。



決戦が始まった。

アスカ率いる精鋭がドラゴンの一首に斬りかかり、ギルドの魔法使いたちが遠距離攻撃を重ねる。

ジロウは戦場を駆け回り、各班に声をかけて“誓約”を再確認させる。


最初のチャンスは早々に訪れた。

アスカと仲間たちの連携で一首を切り落とすことに成功し、町の冒険者たちは勝利の歓声を上げかける。


だが――


「ギャオオオオッ!」


残る二首が凶暴さを増し、

暴走した炎のブレスが町の壁を崩壊させた。

中央広場への道が瓦礫で塞がれ、避難していた住民たちが逃げ場を失う。


さらに一首がカナたちの子供たちのもとへ迫り、もう一首がアスカとジロウを弾き飛ばした。



「ぐっ……まだ倒れないのか!」

アスカは傷だらけになりながらも立ち上がる。


レムも魔力切れ寸前で、それでも必死に仲間の傷を癒やす。

ユイは精霊たちに呼びかけ続けるが、防御結界が今にも破られそうだ。


カナが咄嗟に子供たちを庇い、「ジロ兄、助けて!」と叫ぶ。


「もう一歩……このままじゃ町が……!」


誰もが追い詰められる中、

ジロウは瓦礫の陰で息を切らせて立ち上がった。



(これまでの“安心”は、日常のためのものだった。でも今は――町と仲間の全てを守るための奇跡がいる!)


ジロウは、今まで契約した全ての“誓約”を思い出す。

町のみんなの「守りたい」という気持ち、仲間たちの「信じ合う」力――


彼はペンダントに込められた“ユニークスキル”の最後の制約に手をかけた。


「ここが正念場だ……! 

 女神ミーティア頼むぞ、これが俺の“切り札”だ!」


ジロウは全ギルドメンバー、町民との“団体特別誓約”を一斉に発動させる。


「制約・誓約・成約――すべてを今ここに!」


彼の手から眩い光が溢れ、

契約証書の幻影が町中の空へ広がる。


「守るべきものを守りたいと願う全ての者たちよ――

今だけは、この町の仲間だ!」


町中の契約者たちが一瞬でリンクされ、

彼らの思いが一つになる。


ユイの精霊魔法に、町中の“命の灯”が注ぎ込まれる。

レムの癒しが全冒険者と町民に拡散し、

アスカの剣が誓約の力で黄金色に輝く。



「今だ、アスカ!」

ジロウの声に呼応し、アスカは渾身の力で跳躍。

「これが、私たちの“絆”の剣――絶対に倒す!」


黄金に輝く剣がドラゴンの最後の二首を一気に断ち切る。

町の上空に契約の光が炸裂し、

三つ首ドラゴンはついに崩れ落ちた。


静寂――


崩れた町、泣き叫ぶ子どもたち、崩れ落ちる冒険者たち。だが誰もが命をつなぎ、仲間と家族の手を強く握りしめていた。


ジロウもアスカも、疲れ果てて倒れ込みながら、お互いに笑い合う。


「……勝ったな」「うん、ギリギリだけど」


ヒロインたちも、町の誰もが涙と笑顔でジロウのもとに集まった。



「これが俺たちの“保険”――安心の証明だよ」


この夜、“保険”という名の絆は、

町の新しい歴史として深く刻まれたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ