表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

EP:8 ダリアの葛藤 

今回は今後大きな役割のある重要人物が登場します。

エンバーの隣国レムリアでは無数の白兎の襲来を受けていて街並みはかなりのダメージを負っているが俺たちが着いたころには街は静かになっていた。


「様子がおかしい。」


サドラーズは周囲を捜索しながら進んでいく。

周囲にはレムリア国民がケガを負って倒れているが放置されている。


「ザック、ブラッド、周囲に白兎の反応はない、あの方たちの救護に当たるんだ。」


「了解です。」


俺たちはケガしている方の元に向かい、救護に当たる。


「大丈夫ですか?今、止血しますね。」


「ありがとう。私たちは大丈夫です。ファビュラス様が救ってくださるから。」

ファビュラスは加盟国唯一の女性隊長だ。


「大事に至らず良かった。」


「そんなことより、私たちを救おうとしてくれた女の子が上官に殴られて連れていかれてしまったの。あの娘は大丈夫かな。国務庁のほうに向かったけど。」

一通り救護活動を続けてレムリアの国務庁に向かうことにした。


レムリア国務庁内。

二人の人間が口論している。そのうちの一人は俺たちがよく知っている奴だった。ダリアだ。


「一般人がどうなろうと関係ない。白兎を捕縛する。ただそれだけだ。この任務を邪魔するなどもってのほかだ。そんな人間を救う必要などない。」

男は淡々とダリアに言う。


傍らには大量の囚われた白兎たち。二人でこの数を片付けたっていうのか。

ダリアは口から血が流れている。明らかに殴られている。


「わかります。理解します。しかし、我々の仕事は国防です。その意味は国民を守ることでもあるはずです。任務を優先し、見殺しにするなど、国防省員のすることではありません。」

ダリアは言い返す。これには俺も同感だ。


「何回も言わすなよ。白兎の捕縛、引き渡しが任務だ。余計なことは考えるなよ。一般人がどうなろうと知ったことではない。」


男から出てくる言葉はとても国を守る人間の言葉とは思えない。あまりの怒りに飛び出そうとしたが、ブラッドに制止される。


「なんだよ。」


「ちょっと待て、あの二人はパシフィスだろ。俺たちが口出しできることなのか。」


ダリアの顔が紅潮していく。怒りが込上げてくるのがわかる。


「私はそんな考えで国防に向かっていません。任務がどうあれ目の前で救える命は救います。」


「俺たちは第1国パシフィスの一員だ。そんな甘い考えで任務に向かうな。国民の犠牲などにいちいち感情を向けるな。お前にとって何が重要なんだ。国防とは、白兎を捕らえ、評議会へ引き渡すことだ。お前はここにいるべき人間ではない。この仕事に向いていない。消えろ。」


ダリアはその言葉に限界を迎え、男の頬を殴る。


「ダリア・ロナ、この行いが何を意味するか分かるか。お前は上官である俺に手を挙げた。パシフィスの規律は教えたな。上官に手を挙げることは死に値する。それがパシフィスの規律だ。」

男の手にアウラを感じる。氷のエネルギーがどんどん大きくなっていく。


「覚悟はいいな。」


そのアウラは槍の形に形状を変え、ダリアに向け放たれる。

眼を瞑るダリア。

俺は無意識に2人に向かって飛び出していた。


「ったく、しょうがねえな。」

ブラッドも俺に続く。

俺はアウラの出力を最大にして氷槍とダリアの間に入る。そして氷槍を受け止める。物凄いエネルギーだ。それは今までにないくらい重く、強大な力だ。軽傷は負ったもののなんとか防ぎ切った。


「おい、ダリア大丈夫か。」

ブラッドはダリアを保護する。


「なんであんたたちがここに。」


「誰だ。お前ら。」

男はこちらを見る。


「誰だか知らねーがやりすぎだろ。ダリアはお前の仲間だろ?」


「仲間?なにか勘違いしているのか、お前たち。俺たちに仲間意識なんてない。勘違いするな。俺が信じているのはバトラー隊長のみだ。使えない部下は邪魔なだけだ。」


「バトラー・・・。」

その名前を聞くと心の奥底からいろいろな感情が溢れ出してくる。


「お前たちがどこの所属だか知らんが、こちらの邪魔をするなら同様の制裁が下ることはわかるな。」

この男は再び氷槍を生成し、戦闘モードに入る。


「フェリックス副隊長、やめてください。彼らはこの件には無関係です。」

ダリアの必死の訴えにも耳を傾ける気など無さそうだ。


フェリックス・ミラー 第1国パシフィス国防省副隊長。


「覚悟はできているよな。俺の邪魔したんだよお前は。」


あまりにも強大なエネルギー。さっきのものとは明らかに違う力。俺も覚悟する。さすがに止められそうにない。

強大なアウラを纏った氷槍がザックに向かって放たれる。

全てを受け入れ覚悟する。



周囲を探索していたサドラーズはザックたちが何者かと口論しているところに出くわした。


「ザ―――ック―――、おい!何してんだよ。」


ザックの耳にサドラーズの声は届いていなかった。そうこうしているうちフェリックスが攻撃態勢に入る。まずい距離が遠すぎる。このままでは間に合わない。

その瞬間、サドラーズの横をすごい勢いで一人の人間が通り過ぎていく。



フェリックスから放たれた氷槍がザックに襲いかかる。鋭利に伸びた氷槍の刃がザックの体一直線に向かっていく。もうザックの体を貫かれると思ったその時。刺さる寸前で粉々に砕ける。

ザックの目の前に一人の男が現れる。


「ふぅ~、間に合った。」

その謎の男が口を開く。



「お~痛っ~。手加減ができねぇのか、お前はよ。」


目の前に現れた男は話し続ける。なんだこの男は。その口から出てくる言葉は軽いがあれだけの攻撃を片手で消したこの男は何者?そしてこっちを振り向き、その蒼い目でこちらに視線を向ける。その眼力に俺たちは体が硬直する。


「お前たち・・・相手を見誤るなよ。死んだら終わりだ。自分の力を自覚しろよ。」

と厳しい口調で話したかと思うと・・・。


「普通、その可愛い子連れて逃げるだろ、バーカ。」

一転、銀髪の男は俺たちの緊張感とは裏腹に陽気に喋っている。


「いや~久々に本気で動いちゃったよ。相変わらず、すげぇ威力だな~。」


そう言うとその男はダリアの上官に向かって歩き出した。


「なあ~。今回は引き下がってくれよな。」

軽口を叩きながらもその眼光は鋭かった。


「シシバ、いつ帰ってきた。」

そう言うと再び氷槍を生成し始めようとする。


「まあ、そう言うなよ、フェリックス。なあ。」


言葉こそ軽いが、そのシシバという男はフェリックスという男の手を掴む。フェリックスは顔を歪める。


「俺の部下たちが迷惑をかけたな。まあ、ここは俺の顔に免じてな。頼む!同期じゃねーか。あとでバトラーさんには話しておくからよ。」

と肩をポンポンと叩きながら話し続ける。


二人はお互い眼を逸らさず、向かい合っている。

二人の強大なアウラに俺たち三人は動くこともできなかった。


「ダリア、俺は一足先にパシフィスに戻る。捕縛したこいつらも評議会へ引き渡しておけ。」

そう言うとフェリックスはパシフィスへ帰還した。


俺達三人は脱力してその場にへたり込んでしまった。しかし、冷静に見れば、この男、ダリアの上官に対し、全て片手で対応している。モノが違うのでは。



俺たちはそのシシバという男に頭をポンっと小突かれる。

「お前たちな~、自信があるのはいいんだけどな、無茶するな。フェリックスは非常な男だ。任務のためなら何でもする。見た目はお子様だがな。」

シシバは明るくよく喋る。


「それはそうとあなたは?」

俺たちは単純な疑問を投げかける。


レムリア国民の救護に向かっていたサドラーズが戻ってくる。


「ようやく戻ってきたか。シシバ。」

サドラーズは俺たちに紹介する。


「紹介する。遠征任務に就いていて留守にしていた、シシバだ。」


「エンバーに問題児が帰ってきたのか。」

気が付けば背後に女性が立っていた。


ファビュラス・ラ・フィン 第3国レムリア国防省隊長

「我が国の国民を守ってくれてありがとう。」


「いや~気にしないでくれよ。俺とお前の仲だろ。いつだって頼ってくれていいぞ。いつだって任務から外れてきてやるよ!」

シシバは調子よく喋っているが・・・


「お前には言ってない。気安く話しかけるな、男の分際で。そちらのパシフィスの娘に言っているのだ。」

ファビュラスはシシバを一蹴しダリアに感謝の意を述べる。


「いえ、私は当然のことをしただけです。それより自分の上官の振舞には憤りを感じています。本当に申し訳ありません。」


ダリアはファビュラスに向け頭を下げる。目からは涙が流れているようにも見えた。

ファビュラスはダリアの肩を抱き、黙ってすべてを受け入れている。



「ファビュラスの男嫌悪は相変わらずだが・・・お前も何かあってここに来たんだろ。少し話そう。」


「まあ、少しね。あいつの耳にも入れとかないと。」


「何か用か?話があるならサドラーズ隊長と同席で来るんだぞ。単身で私のところにはくるな。」


ファビュラス隊長の異様なシシバへの感情も感じたがそれより、あのシシバの力。そう明らかに桁違いの強大なアウラを纏っている姿を。サドラーズ隊長やシェリルさん、バトラー隊長とも違うこの強大で不思議な力を忘れることはできない。むしろあれは俺たちに見せていたのではないかとすら思う。


「まあいいや。それでは後輩君たちこれからよろしくね。」

シシバは俺とブラッド、ダリアに向けて言った。



「隊長、ところで・・・。」


「待ってたぞ、いろいろ話したいこともあるしな。」

サドラーズはシシバの肩をポンっと叩いた。


「ちなみにあれが以前話していた・・・。」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ