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EP:7 束の間の休息 ザックとダリア

——————数日後


「アリアさん、明日は何か予定ありますか?」

ブラッドが遠慮なくずけずけアリアに聞いている。やばい、俺も入り込まないと。


「ブラッド、明日なら時間あるぞ。」


「お前には聞いていないが。俺はアリアさんに聞いているんだ。」


「すみません。明日はシェリルさんと用事があるんです。」


「そうでしたか、それではお供しましょう。」

こいつはいつもそうやって自信満々に言えるよな。


「お供なんて必要ない。アリアと私の二人で問題ない。」


「はっ!!!」

後ろから感じる恐ろしい殺意を感じる。


「お前たち、時間もあって元気そうだから自主訓練でもしておくんだ。」


「先輩、承知しました。」


「あーあ、明日は暇になったな。」



—————翌日


「はぁ―――、オフに日になんでお前らと過ごさなければならないのさ。」


大きなため息をつきながら独り言を言っている。

街をぶらつく学院同期3名。俺とブラッド、ダリア。


「はぁ——————、何がお前らよ。それはこっちのセリフよ。どうせ冴えない休日を過ごすくらいなら、私みたいな女子とおでかけができて幸せじゃない。」


「あーはいはい、女・・・・子ね~。それはそうと、なんでエンバーにいるんだよ。」


「いや、その、建国祭から期間空いたし、あんたたちも元気かなと思って様子見に来ただけよ。文句あるわけ?こうして会ったんだし、今日は一日付き合いなさいよ。」


まあ、用事もないし、いいか。しかしこいつは容姿端麗で誰からも愛される愛嬌もあるのに、性格がぶっ飛んでいる。学院の時から変わってない。

俺たち3人は街中を歩き、食事をして、色んな話をした。なんだか、学院の頃を思い出す。こんな風に時間を過ごしていると世界に平穏が訪れたと錯覚してしまう。


「じゃあ、そろそろ俺は帰るわ。」

ブラッドが唐突に切り出す。


「どうした、パパかお兄様に呼び出されているのか。」


「まあ、そんなところだな。またな、ダリア。」

ブラッドはダリアに向かって、意味ありげに舌を出し、ダリアの顔を赤らめていたが、俺は気が付かなかった。


「ブラ・・ッド・・・バカじゃ・・・・。」


「なんか言ったか?」


「なんでも無いわよ。」


「じゃあ、夕飯で食べに行くか。良いところあるぞ。」


「うん、付き合ってあげるわ。」


二人で高台の景色のいい、レストランのテラス席で食事をした。まるで周りからは恋人に見えていたかもしれないが、俺たちは学院時代の友人に戻り、たくさんの話をした。


「なあ、パシフィスの部隊はどんな感じ。建国祭の時に会った感じでしかわからないけど、いかにもエリート集団って、オーラは出てたよな。」


「まあ、エリートってとこは間違いないわね。加盟国の第1国として他の国を引っ張っていく立場にある国よ。部隊員はみんな才覚もあって努力もしてる。でも別に同じ人間よ。みんなに個性があって厳しくも優しくもあるわよ。あんたのところは?」


「そうだな、それは隊長中心の家族のような仲間たちだよ。なんでも話せるいい雰囲気だよ。特に隊長は陽気で話しやすい。寛容で心も広い。でも俺たちのことなんかみんなお見通しって感じだよ。常に俺たちの思考の先を行っている。」


「隊長になれるということはそれだけの器ってことよね。うちの隊長だって厳しい人だけど、その厳しさには愛情もあるわ。」

ダリアは続ける。


「私たちも各部隊に配属されたんだから上とか下とかなく、頑張らないと。」


「そうだな。」


「私はパシフィスというエリート部隊に配属されているわけだし、とにかく早く世界が平和になるように努力するだけね。あんたも頑張りなさいよ。学院ではそれなりに優秀だったんだから。」

悪戯に笑いながら話してくる。


「それなりってなんだよ。」


ダリアもこんな表情で笑うんだな。新しい一面を見た感じがした。

満天の星空の下、時間を忘れ会話をしていた。二人は時間を忘れ、他愛もない話をたくさんした。

その時、後ろから声をかけられる。


「ザックさん!こんばんは。」

振り向くとそこにはアリアさんが。そしてシェリルさんも。


「こんばんは、今、帰りですか?」

急でびっくりしたが相変わらず天使のような笑顔だ。


「パシフィスのダリアさん・・・でしたよね、こんばんは。」


「あ、はい。建国祭の時はろくに挨拶もできず、すみません。パシフィスのダリア・ロナです。はじめまして。」


「パシフィスの幹部候補生として配属されるなんて優秀なんだな。」


「シェリルさん、光栄です。毎日毎日任務をこなすだけで精一杯です。シェリルさんのような評議会から認められる剣士になれるよう頑張ります。」


「ザックさんにはこんな優秀で仲のいいお友達がいらっしゃるのですね。」


「アリアさん、そんなことないです。こいつとは長い付き合いなんすよ。腐れ縁ってやつです。」


「そうなんですか~。いい雰囲気でしたよ。こんな素敵なお店で食事していたのに~。」

アリアは小声で言う。


「それはそうと、今日はシェリルさんとどこに行っていたのですか?」


「まあ、それはまた後日ね。今は、食事を楽しんでくださいね。」


「いや、もうかなり・・・・・。」

長いことアリアさんと話してしまった。その時、ガタっと、ダリアは突然立ち上がった。


「ザック、私、もう帰るね。」

そう言い残すと、シェリルさんとアリアさんに会釈した。


「私はこれで失礼します。」


そう言い残すと足早に出て行ってしまった。少しの間、呆気にとられたが、すぐに正気に戻り


「おーーーい、ダリア、ちょっと待てよ。」


聞こえているのか、聞こえていないのかわからないが、ダリアは振り返ることなく、立ち去ってしまった。


「よかったんですか、追いかけなくて。」

悪戯にのぞき込んでくるアリア。


「そういうんじゃないんすよ、あいつとは。」


「ふーん、ザックさんが大丈夫ならいいんですけど。まだ時間も早いし、もう少し一緒にいるのもいいのではありませんか。」

しばらくいろいろ考えてしまった。


最後のダリアの表情。1日中、連れまわしたし、疲れていたのか。アリアさんもこう言っているし、追いかけるか。俺は何でも直感で動くタイプだ。追いかけたいと思っているんだ。追いかけよう。


「すみません。俺もここで失礼します。」

アリアさんが満面の笑みで見送ってくる。


「シェリルさん、いいものですよね。」

アリアとシェリルはザックの背中を見送る。




夜のエンバーの街中を走って追いかけていく。何でって?理由なんかわからないけど、走り出したんだ。止まらない。

その後、ダリアに追いつき、もう少し一緒に過ごそうと声をかけた。案の定、ダリアに少しの悪態をつかれたが、その後、スイーツを奢り、ご機嫌を取りながら、学院の頃のようにくだらない話をたくさんした。気が付くと辺りは真っ暗になっていた。


「ダリア。送っていくよ。今日は楽しかったな。」


「何よ、改まって。たくさん話せて、私も気晴らしになったし、楽しかったわ。」

こうして束の間の休日も終わってしまう。

翌日、ニタニタ憎たらしい顔であれやこれやとブラッドに聞かれることになるが今はそんなことどうでもいい。



——————さらに翌日


「おい、ザック、昨日はどうだったよ?」


「は?なんのことだよ?」


「まあまあ。あいつとは楽しく過ごせたかよ。」


「まあな。普通だよ。別に何もないだろ。」




——————別室にて

「どうだった、ファビュラスは?」

サドラーズはアリアに尋ねる。

ファビュラスとはエンバーの隣国【レムリア】の国防省の隊長。加盟国で唯一の女性隊長だ。レムリアは加盟国の第3国となる。


「お姉様は何も知らないとのことでした。嘘は言っていないと思います。」

アリアは答える。


「月聖会で共に暮らしていたんだ、お前に嘘はつかないよな。」


「はい、間違いないと思います。昨日はわざわざ時間作って行ったわけではなく、月一回の拝礼日に合わせてお話したんで探りなんて思ってないと思います。」


「それに関してはお姉様に対して後ろめたいですが。」


「しかし、ファビュラス隊長も1国の隊長です。その辺の情報戦には敏感になっているとも考えられませんか?」

シェリルは私見を述べる。


「お姉様はその辺は策士なんで、微妙ですが。でもパシフィスとメラガ二アの西側への遠征に怒りを感じていたので。」


「西方大陸への遠征は基本加盟国でも禁止されてるからな。遠征できるのは世界評議会から直接命を受けた者のみだ。今のところな。」


「ちなみに今回の件、隊長はご存じだったのですか?」

アリアは恐る恐る聞いてみる。


「いや・・・」と小声でつぶやいたように感じた。

ふとサドラーズの顔を見上げると満面の笑みで心配するなとだけ伝えた。


アリアは感じる。何かが動き出している。

アリアはこの胸騒ぎが抑えきれなかった。


サドラーズやシェリルのようなに数多の死線を潜り抜けてきた人間とは違う。何か心の奥底から感じるものがあった。自分なりに何かしないといけない、強迫観念がアリアの心に襲い掛かってくるようだった。



——————その日の午後


「世界評議会より連絡。隣国レムリアに向け大量の白兎【ホワイトラビッツ】が侵攻。その数50以上のエネルギー反応あり。エンバーも救援に向かえるように準備するよう要請がありました。」

アリアは皆に伝える。


「よし、ザック、ブラッドは俺と来い。シェリルとアリアは何かあったときにエンバーを留守にはできないから残ってくれ。」

サドラーズは俺たちに伝える。


そしてレムリアに向けて出発する。


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