サングリア・ワイズ
「それより、アリエル姉様は、何のお話をしてたの〜」「まぁ色々とですよ」
「色々って?」アリアが首を傾げる。
「それは……今の貴女に話してもわからないでしょ?」アリアも酔っ払っているせいか、いつもより砕けた口調になっている。「え〜僕もう大人だよ!」アリアは頰を膨らませる。
「貴女本当にどれだけ飲んだのですか?親衛隊は、何をしているのです」「ぐへへへへへしんえ〜たいはねぇあそこだよ!!」アリアの指差す方には、酔い潰れて、ダウンした親衛隊カーミラを含む4人がテーブルに突っ伏していた。
「まったく、情けない。親衛隊にまで飲ませたのですか?」アリエルが溜息をつく。
「うふふ……あははははは!!!僕が飲ませました!!」突然アリアが笑い出す。
「女神ローズマリア様がこの醜態を見たらさぞ嘆けかれることでしょうね」アリエルは、アリアを冷たい目で睨む。
「ローズマリア様ならきっと許してくれるさ!」アリアがヘラヘラ笑う。
「あ!巨乳おっぱいちゃんは〜けん!リターニア戦車連隊突撃!!」
アリアは、千鳥足で走ろうとするも転倒。
「リターニア戦車連隊突撃は、我らが女神リターニア様の御心のままに、敵兵を粉砕する軍隊精神を讃えろ!」
「こらっ!いい加減にしなさい!」アリエルも流石に怒った。
「や〜なこった!僕はもう大人だからお酒も飲めるし〜おっぱいだって大きいんだよ〜」アリアはそう言うと、自分の胸を両手で持ち上げようとしたが、実際にはそこには、豊満な膨らみは存在しない。それに気づいてアリアは、落胆して膝から崩れ落ちる。そこにユリウスが近ずいてきてアリアの肩に手を置く。「なくしゃめてくれるの?」涙目のアリアが神を拝むが如くユリウスを見る。「ふっ」ユリウスは、鼻で笑ってアリエルの元に戻った。「あ〜ん!ユリナンテのばかぁ!!」アリアは、泣きじゃくった。
「アリア、貴女は、もう寝なさい!あとこの子はユリウスです!」アリエルの命で親衛隊とアリアは従者達によって寝室に連れて行かれた。
「ユリウス……あんなのになってはいけませんよ?お酒は控えなさい。あれは人を堕落させますからね」「はい、ママ上」
「あとその呼び方ぜったいに変ですよ」「ごめんなさい」
「可愛いからいいですよ」
「アリア嬢にも困ったものだ」
「あら、貴方も来ていたのですか?サングリア卿」男はユリウス達に一礼する。
「お久しぶりです。公女エミリア様」「ママ上、この人だ〜れ?」エミリアの足下から顔を覗かせるユリウスが聞く。
「そうですね、紹介しますわ。この子は私の可愛い息子ユリウスです」
「おっとご子息殿でしたか。私は帝国第十師団団長を務めるサングリア・フォン・ワイズ少将です」「僕は、ユリウス・ウィシュターニアです」
「ユリウス殿はいくつですか?」サングリアが聞く。
「4歳です」「そうですか、この歳で社交界デビューとは、この子を跡継ぎに考えているのですか、公女殿下?」「詮索無用ですよ」「これは失礼致しました。そんなに警戒なさらぬとも。私は兄のように謀反など考えていませんよ。ただの世間話ですよ」「兄のようにはどういう意味ですか?」サングリアは、バツが悪そうな顔をしてユリウスの目を見る。「それはね、私の兄がベルモット・ワイズだからさ」「えっ」ユリウスは、驚愕のあまり声が裏返った。
「そうさ、我一族は、たった一人の汚点の為に伯爵から子爵まで落とされた貴族さ。お陰で嫁も来ないよ」サングリアは、苦虫を噛み潰した様な顔になる。「いやいや、お子様にはわからないことでしょう」サングリアは、豪快に笑う。
「ユリウスもわかりましたか?人の出自を詮索するのはよくありませんわ。この話はお終いです」「はい、わかりました」ユリウスは、少し不満げだった。「では私はこれで失礼致します」サングリアは、一礼して去っていった。「ユリウス。貴族とは、自分一人のモノでは、ありません1つの過ちで滅んでしまうかもしれません。アナタも公家の一員なら覚えておきなさい」「はい!」
「それと」エミリアは付け加えるように言う。「サングリアが結婚出来ないのは、ただ単にあれが、女好きで嫌煙されているだけですよ」
「けんえん?」「嫌いってことよ」
「でも、僕あの人好きだよ!」
「同じ穴のムジナですかね……」
エミリアは、苦笑いした。




