ノブレス・オブリージュリターン
イルマが手拍子を打つと音楽隊が演奏を始めた。
会場内の空気は一変し、華やかな雰囲気に包まれる。人々はそれぞれパートナーと踊り、食事や談笑に花を咲かせる。ユリウスは、ウキウキで美人のお姉さんの所へ行こうとするとエミリアに首根っこを引っ張られる。
「ユリウス、アナタは母といなさい」「なん〜で?」ユリウスは頬を膨らませ不満を露わにする。「アナタは、その歳で女性のお尻とおっぱいばかり追いかけて……みっともないですよ」「えっ……だって。女の人は可愛くて柔らかいんだもん」ユリウスが素直に答えるとエミリアの頰が引きつる。「アナタ絶対に将来女性関係で痛い目をみますよ?さぁ母と一緒に行きますよ」
「何でユリウスだけ!お姉ちゃん達は?」「あの子達には……まぁ周りに人もいますし大丈夫です」「なら、ユリウスも!!」「ダメと言ったらダメです!」エミリアがピシャリと言い放つ。
ユリウスは、渋々母エミリアの側につく。「ママ……僕、女の子と踊りたい……」「それは、もう少し大きくなってからですね」「でも、お姉ちゃん達は……」ユリウスは頬を膨らませる。
「ビオーネとユリナンテも子供なりに頑張っているのです」エミリアが諭すように言う。「……僕頑張るよ!」ユリウスはそう言うと母に抱きついた。「まったく……本当に誰に似たのかしら?」エミリアは苦笑いを浮かべながらも優しくユリウスの頭を撫でた。「ユリウス、アナタは、公家の男児です。先程も言いましたがここは戦場です。貴族としてのですがね。貴族は何よりも【繋がり】が大事なのです」「繋がり?」「そうです。繋がりです」エミリアはユリウスの目を真っ直ぐに見つめる。「アナタには、この舞踏会で貴族としての【繋がり】を作ってもらいます」「貴族の繋がりって?」
「それは、自分自身で探るのです。ウィズも、そうやって成長していったのですから。これから母は貴族や軍人と話をします。。その間アナタは、多くの方と話をして人脈を作りなさい。それが貴族としての勤めであり、アナタが背負う家になるのでよ」エミリアはそう言うと優しく微笑んだ。「まずは、あの方に挨拶しましょうか」エミリアは、壁際でひっそりとワインを飲む軍人に歩み寄り挨拶をした。「ごきげんよう。バルトーニア公」それは、エミリアとウィズの叔父にあたる帝国最強の騎馬隊【鉄騎隊】を率いる帝国軍大将メイビス・バルトーニアだった。「これは、公女エミリア。ご息災でなにより」「ありがとうございます。伯父上」エミリアは、ドレスの裾をつまみ優雅に挨拶する。
「バルトーニア公、お初にお目にかかります。ぼ、僕は、ユリウス・ウィシュターニアです」
「君がエミリアの子か……どことなくウィズの幼き頃に似ているね」メイビスは遠い目をしながらワインを飲む。
「はい。本当によく似ていますよこの子は」エミリアは優しく微笑むと、メイビスのグラスにワインを注ぐ。「夜は長い頑張りたまえよユリウス坊や」「はい!」エミリア達はメイビスと別れ次に進む。




