Shall we ダンス
馬揃えがおこなわれた後帝城にて、舞踏会が開かれることになった。お子様三人衆は、様々なドレスに袖を通して、お子様ならではのはしゃぎっぷりを見せていた。
「 ユリウス、カッコイイ!」
「私のも可愛いわよ。どう?」
「……シャキッとしてる」
自分の衣装を自慢し合う三人の後ろからは、エミリアが声をかける。その後ろには、大量のドレスが積まれていた。
「皆さん。そろそろ準備をお願いしますよ」
母エミリアの呼びかけに、三人は勢いよく振り向く。そして口々に話し出す。「ママ!ビオーネ可愛い?」
「ええ、食べちゃいたいくらいです」ビオーネがクルクルと回る。「ママ!ユリナンテは?」「とてもキュートですね」ユリナンテは、わ〜いと飛び跳ねる。「ユリウスは、ママ?」「とても勇ましいですね。流石はウィシュターニア公家の男子ですね」エミリアは、屈んで3人を抱きしめる。「ビオーネユリナンテ……今日の舞踏会では、とびきりのレディを演じてちょうだいね。貴女は、私の自慢の娘なのですから」エミリアは優しく2人に囁く。「もちろん!」
「……うんっ!ママ」2人はは満面の笑みを浮かべた。「ユリウス。貴方はウィシュターニア公家の男児です。母に甘えてばかりでは立派な貴族にはなれません。今日は、母としてではなく公女エミリアとして貴方を導きます」
「は、はいっ!」ユリウスは緊張し顔を強張らせる。
「ふふっ。そんなに緊張しなくても大丈夫よユリウスくん!」ビオーネが優しく微笑む。
「さて、では行きましょう」エミリアが先頭を歩き、3人は、それに続いた。
舞踏会の会場は、高級軍人、帝国貴族たちで埋め尽くされていた。ドレスに身を纏った女性もいれば軍服の男性もいる。音楽隊もおり優雅な演奏が行われているが会場内の空気は重い。そんな中でユリナンテが背伸びをしながら言う。「す、すごい人だね」「ユリナンテ。あまりキョロキョロしないの」エミリアが優しく注意する。
「でもママ、みんな怖い顔してるよ?」ユリナンテは不安そうな表情を浮かべる。
「それはね、ここは戦場と同じだからです。アナタ達はまだわからないと思いますが、油断してはダメですよ」ビオーネもユリナンテに微笑みかける。「うんっ!」ユリナンテは元気よく返事をする。「ユリウスくんもですよ?」
「はい!ママ上!」ユリウスは背筋をピンと伸ばして返事をする。「まぁ……少し言葉遣いがおかしいですが、いいでしょう」
会場内の空気は重いままだが3人は、堂々とした態度で入場する。すると、エミリアに気づいた帝国貴族達は一斉に道を開けるように壁際まで後退する。「来ましたね。姉上」クレアとアリエルと腕を組みながら胸に多くの勲章を付けた、ウィズがエミリア達の前に現れた。
「両手に花ですか?ウィズ」
「私には勿体ない限りですよ姉上。しかし、その衣装とてもお似合いですよ」ウィズは3人のドレスを褒める。
ユリナンテは嬉しそうに微笑むとクルリと回る。ビオーネもスカートの裾を掴み軽く持ち上げる仕草をする。「ビオーネ、ユリナンテも立派な帝国淑女だな」「僕は!」「ユリウス、お前もだぞ。末は大将、大臣だな。あまり女の子の尻ばかり追いかけるなよ」
「はっ、はい!」ユリウスは緊張しながらも姿勢を正す。「ふふふっ」クレアが微笑みながらユリウスの頭を撫でる。
「こほん……姉上、そろそろイルマ陛下からの挨拶が」
その時、招待客が広間に集まると中央の扉が開き摂政イルマが姿を現した。
傍らには、帝国の重鎮達が並ぶ。
「お集まりの皆様。まずは、馬揃え見事でした。帝国摂政として、アナタ方を誇りと思います。昨今神聖国、傭兵国家、諸国連合との戦闘が激化し、皆様も不安を感じている事でしょう。しかし、我々には、アナタ方帝国国民がおります!我が帝国は、不滅です!」
イルマの演説に会場内が歓声に包まれる。「そして本日は皆様を労う為の舞踏会を開催いたします。どうぞ心ゆくまでお楽しみください」イルマが一礼すると拍手が巻き起こる。
「では皆さん、踊りましょう!」
こうして帝国舞踏会が開催された。




