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北の聖母

かつて、大陸北部を治める大貴族にして、四公の1人に名を連ねた女傑がいた。「帝国に女傑有り剣のアステス知のマリア」と謳われた先代リターニア公女アステスは、10年程前に娘のアリアに家督を譲りリターニア公家の支城であるウォレス城で自由気ままに幼い子供達と暮らしていた。そんな時、娘のアリアが男にうつつを抜かしているという噂を聞いた。アリアは、自身の父譲りの天才科学者であり、リターニア地方を農村地帯から帝国の科学を発展した土地にした。アステスにとって誇りだった。しかし恋愛、惚れた腫れたは別問題だ。アステスは、貴族社会で育った貴族第一主義者だった。なので平民出の男と公女アリアは不釣り合いである。そう考えたアステスは、アリアの想い人を調べた。その男の名前はジレーガン・ピックマン。平民出の軍人で士官学校を首席卒業し異例の速さで中尉まで昇格した男だが、やはり平民は平民。アステスには「人は血こそ全て高貴な血筋が国家を動かす」という思考があった。アステスは、アリアがジレーガンと婚姻を結ぶ前に別れさせようと思い立ち、夫である現バルトーニア公の弟でもあるナルミスと共にリターニア城に向かった。しかし、アリアの返答はこうだった。「お母様がなんと言おうとジレーガンくんと僕は結婚するよ」アステスは、その言葉に怒りを覚えた。「なら!別れなさい!」「なんで?」「平民と貴族では釣り合わないわ!!」「それは、お母様の考えでしょ?僕はそう思わないよ」「このわからず屋!!私は貴女のためを思って言っているの!」「僕のため?自分のためでしょ?」アステスは、その一言に激昂した。「よくも!!母親に向かってそんな事を!」アステスは、怒りに任せて手を上げた。「ママこそわからず屋!!」アリアは、出ていってしまった。

それからアリアがウィシュターニア公と共に帰ってきたのは、3日後の事だった。

「あーアステス様、ナルミス辺境伯爵。ご無沙汰しております。ウィズ・フォン・アルベルト・ウィシュターニアでございます」アステスは、眉ひとつ動かさず、ナルミスは、ひたすらペコペコしていた。

「お、伯父上そんな私ごときに頭をお上げください」「いえ、甥とはいえ四公を継がれたお方に馴れ馴れしくなど出来ません。それにアリアが何か粗相をしたのでしょ?」「いえ、そのようなことはありません。しかし頼み事をされまして……」「ウィシュターニア公」声を掛けたのは、ナルミスではなくアステスだった。「外で話すのはなんですので城の中へどうぞ」「いえ、外で構いませんアステス様、私は気にしませんよ」「我々が気にするのです。ウィズ・アルベルト」ウィズは、笑顔だが実際はアステスの圧に当てられる。

「ではお言葉に甘えて……」と城へ入っていった。

ウィズは、城門の前でアリアの想い人のジレーガンと会いアリアがジレーガンに頼み事を聞いてもらったことを聞いた。「そこの平民も来なさい」ジレーガンは、緊張しつつ城の客間に入った。「ウィシュターニア公、この男がジレーガン・ピックマン。アリアが惚れている男ですよ」アステスは、ジレーガンの顔色を窺いながら紹介をした。

「はじめまして、ジレーガンと申します」「ウィズ・フォン・アルベルト・ウィシュターニアだ。この度のことは、私の従姉弟のアリアが迷惑をかけたな」「いえ、そんな……滅相もございません」「そんなに緊張することはない。君の今の立場は最近私も味わった」「恐れ入ります」「さて本題だが、君は公女アリア殿と恋仲とか?」「はい、その通りです」

「しかし、母君であられる、アステス様がその仲を引き裂きうとしているとか」

「そうなんだよ!アルベルトくん」

「アリア」アステラは、物凄い圧を放つ。「何故、ウィシュターニア公を巻き込むのですか!これは、貴女と私のリターニア公家の問題です!」「だってママは、僕が何を言ってもダメダメダメ!て、言うもん。僕はジレーガンくんと一緒になりたいんだもん!ならどんな手を使っても認めさせたいと思うじゃないか!!」「それは、貴女の我儘です!リターニア公女である以上に貴女は大貴族の当主なのですよ」

「じゃあアリアはジレーガン殿と別れるのかい?」「嫌!」父ナルミスは、困ったように溜息をついた。「アリアは、ジレーガン殿と添い遂げる覚悟はあるのだな?」「もちろんだよ」

「なら、父から言えることは1つ。結婚を認める条件として、ジレーガン殿をリターニア公軍の将官に推薦する。アリアもちゃんと四公会議に主席して帝国軍の為に動くなら私も応援しよう」

 「本当!パパ!大好き!」

「アナタ!!」「アステス。もう平民など貴族など血なんて有って無いようなものなんだよ」アステスは、拗ねたように頬を膨らませる。「もう1人……」アステスが何か呟く。

「もう1人子供が欲しいです!!」

「な、もう7人もいるじゃないか!!」「子供は、どれだけいても構わないのです!」ウィズとジレーガンがその場にズッコケる。「ママ、僕がジレーガンくんとの子供を産んであげる!」

「アリア」「ダメかな?」「負けました。そんな可愛い顔されたらダメなんて言えないわ。でも、貴女はリターニア公女よ。ちゃんとお世継ぎを産んでもらわなきゃ」「うん!頑張るよ!」ウィズとナルミスが頭を抱える。

その後、ウィシュターニア公の取り成しにより結婚の許可は出てアリアとジレーガンは結婚し、後に5人の子供が出来きアリアが【北の聖母】と呼ばれるのは先のはなしである。

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