挨拶に行こうよ
街から帰ったスノーは、我に返った。「こ、ここは私の部屋ですか?」いつの間に帰ってきたのか覚えていない。弟がロイネットが、帝国淑女の憧れ女剣隊の統括隊長ソフィア・フォン・フルシュタインに求婚されていた。思わず放ったらかして帰ってきてしまった。「ああ……ロイネットが……」頭を抱える。恋愛沙汰で悩み事は、初めてだ。しかも相手はあの冷血姫と名高いソフィア嬢である。弟の貞操が危ない。
「た、助けに行かなきゃ」スノーが慌てて部屋を出ようとした時部屋に入ってきた者がいた。「どしたのスノーちゃん?」そこにいたのは、アリエルだった。「あ……」思わず気まずい表情を浮かべる。「何かあったの?何でも言ってね」
スノーは、少し躊躇ったが正直に話した。ソフィアに求婚された事や今ロイネットがどんな状況かを……そして最後に自分が逃げた事を。「ふーん。で、どうすんの?」アリエルが聞く。「ど、どうするって……」スノーは、言葉に詰まる。
「……まあそうだよねー。スノーちゃんは、恋愛とか疎そうだもんねー」アリエルはそう言うとため息をついた。「な、何よ!私だって恋の一つや二つ!」スノーが真っ赤になって言う。「それで、ロイネットくんは、どうするのかな?ソフィアちゃんと結婚するのかな?」アリエルは、ニヤニヤしながら聞く。「そ、それは……」スノーが言葉に詰まる。
「……いっそロイネットくんとソフィアちゃんをくっつけちゃえば」アリエルがとんでもない事を言い出す。「な!!」「冗談だよー。でも、このまま放置しておくのは良くないよね?」「うう……でも」「とりあえず私が一芝居うってみようか?」アリエルはそう言うと悪戯っ子のように笑った。
一方その頃、ロイネットとソフィアは中将邸の前まで帰ってきていた。
「ソ、ソフィア殿、まだ僕は心の準備ができていないのですが」
「心の準備?ここは貴殿の家ではないか」「そ、そうですけど」
「……うむ。では失礼するぞ」そう言うとソフィアは、ロイネットを姫抱きにして家に入った。そのまま屋敷の一室に連れ込むと扉を閉めた。「ここなら良いだろう?」「いやいやいやいや!!良くないですよ!!なんで部屋の場所とかわかるんですか!それに挨拶が先でしょうが」
「挨拶なら今からするぞ」そう言うとソフィアは、ロイネットに抱きついた。そしてそのまま強引に口づけをした。
「……ぷはっ……いきなり何をするんですか!こっちの挨拶じゃないですよ!兄上へのですよ!だいたい貴方は、バルトーニア公の寄子でしょうが。婚姻など勝手に決めていいのですか!」「む!今更何を言う。しかし貴殿の言葉もまた正論だな。そうだなまずは、貴殿の兄君に挨拶しなければな」そう言うとソフィアは、ロイネットの手を取り中将執務室まで連行される。「む!何から何まで逆らえん。でもなんで中将邸のことを色々と……」ロイネットは、しぶしぶと付いていくしかなかった。
「この前来た時、メアリー大尉に教えてもらった」「そうですか……」執務室の前に到着するとロイネットは、乱れた服装を直して咳払いをする。「聞きますけど、兄上ウィシュターニア公閣下と面識は?」
「ないが問題ない。私は人見知りしないタイプだ」何が問題ないかわからないが、ロイネットは、ソフィアの衣服を整えてから「くれぐれも無礼のないように。話は私がしますから」と念を押す。そして扉をノックする。「ロイネットです」「入れ」返答と共に2人が、部屋に入るとヴィスは、煙草を吹かしながら、書類と睨めっこしていた。
「閣下!ただいま戻りました」ロイネットが元気よく言う。「お、おお……リターニアまでご苦労だった」ウィズは色々言いたいことがあるがまずは労いの言葉を述べた「それで兄上にご相談があるのですが」
「……なんだ?」
「実は、ソフィア殿と結婚したいのですが……」「は?」ウィズが思わず咥え煙草を落としてしまい、聞き返した。「そ、それでご相談が」
「いやいやいや!ちょっと待って!」ウィズは思わずロイネットの腕を掴む。「相手はあの冷血姫のソフィア・フォン・フルシュタインだぞ!お前殺されるぞ!」
「兄上……その言葉そっくりそのまま返しますよ……」ロイネットも引き気味で言う。「失礼な方だな。私は戦場のみ冷血になる軍人だ。家庭に入ればちょっぴりエッチな女の子だぞ」「全然ちょっぴりじゃないでしょうが!さっきだって……」ロイネットは、ソフィアの言葉を慌てて遮った。
「……何の話だ?」ウィズは訝しげに聞く。「い、いや何でもありません!」ロイネットは慌てて誤魔化した。「まあ……とりあえずお前が結婚する気なら止めはしないが……」ウィズは腕を組みながら答えた。




