冷血姫の誘い
「そ、それよりスノー、そちらの方々は?」ロイネットは、見るからに挙動不審だった。「私は、剣の国アニースの使者として参りました、レイヴ・フォン・マーリックと申します。こっちは従者のミオーレです」「貴方が、剣帝公と名高いレイヴ公爵でしたか。私は帝国軍少佐、ロイネット・ケリーノです」ロイネットが、丁寧に頭を下げる。
「ところでソフィア様。何故こちらに?まさか、ロイネット貴方、いくらソフィア様がお美しいからといって破廉恥な行為を強要したのですか!」「し、してませんよ」「それは、違うぞスノー穣。私がロイネット殿を誘っていのだ!」「はれんち!!」ユリウスがソフィア腕の中ではしゃぎまくる。「それは、どういう理由なので?」ミオーレが聞く。「よくぞ聞いてくれました。剣の国のご客人」ソフィアは、どこか誇らしげに答えた。「私は、仮にも東部の地方貴族の娘だ。貴族とは、子を生み家を繁栄する事こそ務めだと私は思うのだ」
レイヴとミオーレーの目が同時に点になる。「……えっと」「……はい?」スノーとユリウスが目をぱちくりしながらお互いを見つめ合う。「つまりは、優秀な子種が欲しいのだ!それに相応しい男こそ鬼才と謳われる。ロイネット殿だと思ったのだ。だから私はロイネット殿を誘惑しているのだ!」「子種!!」スノーは、ソフィアからユリウスを引き離す。「す、スノーお姉ちゃん」ユリウスが泣きそうな顔でスノーにすがりつく。
「だ、駄目よユリウス君。貴女にはまだ早いわ」「ロイネット殿!先程も言ったが、私の婿になれ、そしてムフフフ」ソフィアは、いやらしい目をする。「先程言いましたが、お断りします」ロイネットが、キッパリと断った。「何故だ!私の何が不服なのだ!胸だって凄いぞ!!」「そこではありません!」ロイネットは、茹で上がったように真っ赤になる。「では、何か?もしやロイネット殿は大きなお尻の方がお好みか?残念ながら私は、小さいお尻で申し訳ないが……」「は、話を聞いてください!私は、所詮はウィシュターニア公家の末席で養子です。貴女と釣り合わない」「それこそ違うぞ。私が望むのはウィシュターニアの血ではない。貴方の身体なのだ!」「何んて生々しい……」今まで黙っていたレイヴが呟く。「ス、スノー姉さんからも何か言ってください」
「ねーお手じゃま!!」目を手で隠されているユリウスをスノーは、にっこりとした笑顔で切り捨てた。「さあユリウス君、お姉さんとあっちに行きましょうねー」
「いやあああああ!!」ユリウスが泣き叫ぶ。
「レイヴ卿達もここからは、当人同士で話をしてもらいましょう」スノーは、そう言うと、ユリウスを連れてその場を立ち去った。「ね、姉さん!!」
「では、改めてロイネット殿」ソフィアがロイネットに向き直る。「貴殿は、ソフィア・フォン・フルシュタインと結婚し我が夫となる意志はおありか?」
ロイネットの顔が紅潮する。「い、いやその」「どうなんだ!」ソフィアが詰め寄る。「ぼ、ぼくは」
「はっきりしろ!このヘタレが!」「ヘ、ヘタレ!」「貴殿は、それでよいのか?私なら絶対に貴殿を離さないぞ。それとも」ソフィアがロイネットの顎を持ち上げる。「私では不満なのか?」ロイネットは、思わずときめいた。こんな綺麗な人にここまで言われたら……
「……あ……あの」「なんだ?」「ぼ、僕は、ソフィア様のような強くて美しい女性が好きです」
その言葉を聞いた瞬間ソフィアの顔が真っ赤になった。そしてそのまま二人の顔が近づき唇が合わさった。「……あ」ロイネットは、我に帰った。「す、すみません!」思わず離れようとするが、ソフィアが逃さない。そのまま二人は口づけを交わす。
「もう離さないぞ。私はお前の物だ!」そう言うと二人はそのまま崩れ落ちたロイネットをソフィアは押し倒した。そして二人が見つめ合う。「こ、こういうのは、もっと親しくなってからです!それに野外でなど!」「私は、野外も好きだぞ!」ソフィアは、そのままロイネットに抱きついた。「うおっ!!」ロイネットがバランスを崩して倒れ込む。
そのまま二人はもつれ合いながら倒れ込む。「ま、まずいです!誰かに見られたら!」ロイネットが慌てるとソフィアが耳元で囁く。「見せつければいい」そしてまた口づけを交わす。
「ああ……駄目です」「何がだ?」「……その……あの」
「はっきり言え!」「やはり!まずは、ご両親にご挨拶を!」「それもそか……では貴殿の中将邸に行くぞ!」「そっち!」ロイネットは、ソフィアに引きずられて行った。




