白馬の王子
「貴方は……それにここは」
フランネは、血塗れのウィズを見てギョッとする。「おっと、すみません姫様。お見苦しい姿を見せて。私はグラディウス帝国公爵、ウィズ・フォン・アルベルト・ウィシュターニアと申します」「帝国?公爵?ウィシュターニア?わくしには何が何だかわかりません」「それもそうですね。まずは、私の話を聞いてください」ウィズは、フランネ姫に全てを話した。「では公わたくしをお救いきださいましたナイト様なのですね?」
「はい。ですが、ナイトなど大層なものではありません」「あの……ナイト様、その傷は」フランネ姫がウィズの服から見える大きな切り傷を見て、心配そうにしていた。「ああこの傷は、男の勲章ですよ」
「勲章……ですか?」
「はい。それより姫様、お身体の方は?」
「はい。ナイト様のお陰でもう大丈夫です」フランネ姫は、ニッコリと微笑む。「それは良かったです。では王城で母上様がお待ちです」
「はい。ナイト様」安心してフランネは、ゆっくりと起き上がろうとした時、その目には疑わしいモノが映っていた。「驚いたよ。伝説の通り人智を超えた剣技だ。初代剣神アルベルト・ウィシュターニア」
「ベルモット!!」片腕をもがれ全身ボロボロのベルモットが不気味に笑う。「貴様!!」スノーが、フランネとウィズの前に立つ。「君達ともっと遊びたいが、今回は、この辺りで終演としておこう」「逃がすか!!」ウィズが斬撃を放つもすでにベルモットの姿は消えていた。「くそ!!」ウィズが、地面を殴る。「ナイト様」フランネ姫が、心配そうに見つめる。「大丈夫です。少し取り乱しました」
「兄上!!」遠くからエドの声がする。「フランネ姫、取り敢えず弟……増援の元へ行きましょう」
「はい」
「おお、無事?でしたか!!」エドは、ボロボロのウィズと無傷のフランネ姫を見て安堵する。「兄上……そのお姿は……」エドウィズの服に付いた大きな傷を見て驚く。「ああこれか?名誉の負傷だ」
「名誉って……」エドが呆れ顔で言う。「それよりレイヴ卿はどうした」「それが……」エドはウィズとスノーに先程の戦闘を説明する。「ベルモットの仲間……第一級犯罪者が集まって慈善活動をしているわけもない……かそれに奴の言っていたことも気になる……」ウィズは、胸ポケットから煙草を取り出すも自分の血がべっとりと付いていた。それを見て舌打ちをしてまたポケットに戻す。「それよりレイヴ卿を探さないと」
「……はい」フランネは、心配そうな顔でウィズを見つめる。「では私は、この事を陛下に報告する。兄上達は、レイヴ卿を」「わかった」
「ではまた後でな」それぞれ別行動を取ることにした。「フランネ姫、お身体は大丈夫ですか?」
「はい」フランネは、ウィズにお姫様抱っこされている。ウィズが、ニッコリと笑うとフランネは、頬を赤くする。「あの、ナイト様」
「はい。なんでしょう?」
「ナイト様は、その……お強いのですね」フランネは、ウィズの首に腕を回す。「いえ……私はまだまだです。もっと強くならなければいけません」
「そうですか。では、私も強くなりたいです」
「わたくしもお母様の様に強く気高い剣王になりたい」フランネは、尊敬の眼差しでウィズを見つめる。「姫様ならきっとなれますよ」
「はい!ナイト様の事も教えてください」
「私のことですか?」
「はい。ナイト様は、どうして強いのですか?何がお好きですか?趣味は何でしょう?」
「まるで、お見合いですね」スノーが言う。「お見合い?」フランネがキョトンとする。「姫様には、まだ少し早いですね」スノーが苦笑いをする。「姫様、少しスピードを出しますよ」「はい!」フランネは、ウィズの首に回す腕に力を入れる。
「では、行きます!!」スノーが一気に加速する。
「凄い!!速いです!!まるでお車や騎馬に乗っているようですわ!!」フランネは、楽しそうにはしゃいでいる。「気に入って頂けて光栄です」「はい!ナイト様、もっとスピードを出してください」
「いや……それは……無理ですよ。スノーが付いてこられませんからね」フランネは、頬を膨らませる。「むぅ、残念です」フランネは、拗ねてしまうが、その顔は笑顔だった。




