剣の国へ
大陸歴423年11月1日
ウィズは、自分の剣を見てボヤいていた。剣は連戦によって刃こぼれし、曲がっていた。
「何見てるの?」「うわぁ!ユリナンテいつからいたのだ」
「お兄ちゃんが、剣を持った時から!」つまり最初からだ。「まぁいいが……これはなそれはそれは大切な剣でな皇帝陛下から賜った由緒ある剣なのだか……」
「曲がってるよ?」「やはり、曲ってるか?」
「うん!」ウィズはため息を吐く。
「直すにしても……なぁ」
「どうするの?」
ウィズは少し考える。そして、決断した。「よし、剣の国に行くぞ」
なんの事かわからないが、ユリナンテは、嬉しくて踊りだす。
剣の国……それは、初代ウィシュターニア公アルベルトが生まれた地であり現在は、アニース王国という。アニース王国は数多くの剣豪が集まる国であり名工も多く在籍している。そして今現在、ウィズとユリナンテとエドそれにスノーが馬車の揺られアニース王国に向かっていたのだった。他の子供達といえば、ビオーネは最近クレアとアリッサにベッタリでユリウスもジーク爺さんに引っ付いている。なので、ユリナンテだけが、ウィズに引っ付いて来たのだった。
「お兄ちゃんお腹空いた!」エドがユリナンテの口にお菓子を詰める。「エド……甘やかすなよ」「そうですよ。は〜いユリナンテ、リンゴさんが剥けましたよ」ユリナンテは、スノーからリンゴを受け取り幸せそうに頬張っている。今回は、別に危険地帯に行くわけではない。
だから、子連れでも大丈夫だろう。「お前達なぁ」ウィズがため息を吐く。
「兄さんもあ〜ん」釣られるように口を開けたウィズは、我に返る。「子供扱いするな!」スノーがしゅんとしたので、仕方ないと頭を撫でる。「スノー、俺もあ〜ん」「貴様はコレでも食ってろ!」ウィズのパンチがエドの顔面を捕らえた。
「お兄ちゃん……どうしたの?痛いの?」ユリナンテが心配して、エドを見ている。
「いや、なんでもない。ほらちゃんと食え」ユリナンテの頭を撫でると、嬉しそうに笑った。
しばらく進み休憩をする事にした。場所は見晴らしのいい高台だ。見下ろせば湖が広がり奥には海が広がっているのが見えた。その絶景に皆が思わず息を呑んだのだった。ユリナン、初めてみる海に興味深々だ。「お兄ちゃん!海だよ!凄い大きいよ」ユリナンテは、手をバタバタさせて興奮している。
「そうだな。ユリナンテは、船に乗った事はあるのか?」
ユリナンテは少し考えて「ない」と答えた。どうやら見た事もないらしい。私は貸し船屋を見つけるとそれを見てユリナンテが歓喜する。船に乗りたくてウズウズしていたのだが「私は乗らんからな」
「なんで〜?」「何でもだ」ウィズがユリナンテの頭を撫でる。
「船酔いで、ゲロ吐くからじゃないですか?」エドの発言に対してウィズは猛ダッシュで蹴りをお見舞いした。「誰から聞いた……殺すぞ」「アリエル姉様から聞きましたよ」
エドは、蹴られたお腹を抑えている。
ユリナンテが船に乗りたいと言っているので私は、仕方ないなと船に乗る事にしたのだった。
「ユリナンテ来い!」手を差し出すと小さな手が私の手に重なる。少し力を込めるとユリナンテを抱き上げ船に乗せた。ユリナンテは楽しそうに足をバタつかせている。「お兄ちゃんありがとう」微笑む姿が可愛く思わず抱きしめてしまう。「お前は……本当に可愛いな」ウィズは再び抱きしめた。そして奴の気配を感じて船の後方でゲロを撒き散らす。やはり乗らなければよかったとウィズは思う。船から降りて馬車に戻り、先を目指す。ユリナンテは、余程嬉しかったのかウィズの膝の上で眠ってしまった。そんなユリナンテを優しく撫でると「いいな〜」と羨ましがる声が聞こえたので振り返るとそこにはスノーがいたのだった。そして、何故か落ち込んでいるエドがいる。
「兄上に蹴られたお腹……痛いです」どうやら強く蹴りすぎたらしい。ウィズは、今度から尻を蹴ってやろうと思った。
それから二日後アニース王国に到着したのだ。アニース王国は、アニース湖があり湖に面して建てられた城が特徴的だ。そして、現在その城門を潜り抜け入城しようとしている。
「お兄ちゃん!凄いよ!大きいね」ユリナンテは、私達の周りを走り回っている。「おい!落ち着け!」私が注意するとユリナンテはピタッと止まると涙目になった。どうやら走るのを止めて欲しかったらしいのだが、どうすればいいかわからないようだった。
ウィズはユリナンテを抱き上げて肩車してあげるとやっと理解したらしく満面の笑みを浮かべる「高いよ〜凄いよ〜」ユリナンテは、ウィズの上ではしゃぎまくっている。肩車をしてあげながら、城の中に入ると街が広がり賑わっていた。「お兄ちゃん……凄いね」ユリナンテが目を輝かせていた。




