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ウィシュターニア公戦記  作者: 上西日向守
海洋国家アトランティス編
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帰路

「俺は……一体?」ミカヅキが言うとウィズが言う。

「起きたか、心配させやがって」と彼は少し安堵したかのような表情を浮かべた。

ミカヅキは自分の体を確認するかのように起き上がる。すると包帯でぐるぐる巻きにされた自分の姿が見えた。

「全く無茶をしましたね。ミカヅキ殿」と言うとため息をつくウィズだったが、どこか嬉しそうだった。「ウィズ殿達のお陰でこの国も救われました。貴方達には感謝しかありません。それよりウィズ殿こそ大丈夫なのですか?」ミカヅキが言う。「肋骨と足の骨を折りましたが……まぁ大丈夫ですよ」ウィズが笑って答える。

「本当に心配したんだからね」とアリエルが言うと彼女の目には涙が浮かんでいた。そして彼女はウィズに抱きつくと泣き出してしまった。そんな彼を優しく抱き留めると頭を撫でるのだった。

そんな様子を微笑ましそうに見つめるミカヅキだったが、彼もまた安心しているように見えた。彼はミカヅキたちの様子を見て安心したのか再び眠りについたのだった……。

「ウィズ殿、入りますよ?」とミカヅキは医務室のドアを開ける。そこにはベッドで横になっているウィズの姿があった。怪我の具合は少しずつ良くなっているようだが、まだ歩くことは難しいらしい。彼は本を読むところだったらしく本を閉じると、こちらを向いた。

「今日は何を持ってきたんだ?」と彼が聞くのでミカヅキが答える。「お見舞いの果物です」と言うと手に持っていた籠からリンゴを取り出してウィズに手渡した。すると嬉しそうに受け取った彼は早速食べ始め煙草に火を付けた。

「ウィズ殿……ここは病室ですよ?」白い煙を天井に向けて吐きニヤリと笑う。「細かいことはなしにしましょう」2人は笑いあった。特使一行は帝国より書簡を持ってきた、使節団と入れ替わりで帝国に戻ることになった。

「ウィズ殿……貴方には感謝してもしきれません……」「ミカヅキ殿これからも、変わらぬ友情を誓いましょう」2人は握手する。そして、4人の特使は、帝国海軍艦隊の戦艦【クロード】で大陸に戻ることになったが、ウィズは、船酔いと疲労でゲロを撒き散らし散々な目にあっていた。

「だらしないな、ウィシュターニア公!航海もまだだというのにもう吐くとはな!」海軍総帥エレラルド総督が、甲板でゲロを吐くウィズの肩を叩く。「や、やめろオロオロおろ」「もう!エレラルド総督は雑だよ!大丈夫ウィズくん?」アリエルがエレラルドを押しのけて背中を摩る。「なんだ、甲斐甲斐しくしおってせっかく海軍総帥儂自らが貴様らを迎えに来てやったのに」エレラルドがガイゼル髭を撫でながらタバコの煙を吐く。ロイネットがウィズに薬を飲ませる。「ロイネット!海に戻ってこんか?」「僕は、ウィシュターニア公にお仕えしています。海には戻る気はありませんよ閣下」エレラルド総督が不機嫌そうに髭を撫でる。「陸に上がらずいたら今頃は、艦隊の指揮官だっとろうに……惜しいな」「閣下!そろそろ、出航の時間です」と海軍士官が呼びに来た。「わかった、今行く」とエレラルド総督は、士官と共に船内に戻っていったのだった。

帝国に戻った特使一行を出迎えたのは公女エミリアだった。「お疲れ様でしたね。私の可愛いウィズ」船酔いで、ヘロヘロになったウィズは、抱きしめられる。「大丈夫?ウィズくん?」アリエルは、背中を摩る。「私……吐きそう……です姉上」とウィズが青ざめた顔で言う。「少し休みましょうか」エミリアが肩を貸しウィズを連れていく「報告は私がするよ」と言ってウィズをベットに寝かせアリエルが部屋を出る。「全く情けないわね」エミリアがため息をつく。「すいません姉上……」

「いいのですよ。気にしないで休んでなさい」とウィズは、ベッドに横たわるとすぐにいびきをかいて寝てしまうのだった。その様子を見て微笑むエミリアだったが、どこか心配そうな顔をしていたのだった。次の日ウィズのお見舞いに来たイルマが部屋に入る。「話は聞きました。相当無理をしたようですね大丈夫?」「はい……イルマ陛下にご心配されるなど帝国軍人の誉です」ウィズは、ベットに横になっていた。顔色もだいぶよくなっているようだった。「良かったですよ。死神と呼ばれるお人でも弱点はあるのですね」とイルマが微笑む。「面目ありません……」とウィズは、イルマに頭を下げた。「冗談ですよ」とイルマが笑う。ウィズも頭を下げるのをやめた。

「冗談です」と再び彼女は笑って言う。ウィズは、なんだか懐かしい気分になっていた。それはまるで子供の頃に戻ったかの様だった。

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