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ウィシュターニア公戦記  作者: 上西日向守
海洋国家アトランティス編
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海洋国家アトランティス

青い空、青い海。帝国では、お目にかかっれない景色だ。そんな美しい風景を見ながら私は……ゲロを吐いていた……。

時は遡る……3日前大陸歴423年10月22日

「私が、特使にですか?」帝国の摂政イルマに呼ばれたウィズは、そう聞き返した。「そうです。外相、エミリア公女より強く公を推すものですから」「それで、どこの国なのですか?」イルマが答える。

「海洋国家アトランティスです」

そして、私、ロイネット、メアにアリエルが特使として、船に乗り、現在私はゲロを撒き散らしている。

「海が、こんなに塩の香りがするなんて、初めて知りました……」メアが言う。「私も、船に乗るのは初めて乗るが……馬とは違う……」

私は、袋から薬を取り出し胃の中の物を吐き出した。「アリエル、すまん。水をくれ」アリエルが袋から水を出し、ロイネットが私に水を飲ませた。

「しかし……まさか、貴女が付いてくるなんて……」メアはそう言うとアリエルを見る。「私はクレアちゃんより、ウィズくんをサポートしてって言われてるからね!」そう言って胸を張る。「船酔い、大丈夫?」アリエルが優しく微笑んでくれた。

私は、アリエルの優しさに感動して涙が出た。

「うわ!なんで泣いてるの!気持ち悪いよ!」優しかったアリエルが私を蔑む。

すると、海の向こうから汽笛が聞こえた。船が近づいてきたのだろう。

「あれがアトランティスの船?」アリエルの質問にメアは答える。

「ええ、あの白い帆が目印です」

メアの言葉に私達は船の到着を待った。暫くすると船は到着したようだ。黒塗りの船が近づいて来た。

「あれか?」ロイネットが呟いた。

「そうだわ!」アリエルも叫ぶ!私は、海で船を見るのは初めてだったのでよくわからなかった……。

船から梯子を降ろして、私とロイネトは先に渡り、後からメアとアリエルが付いてきた。梯子は意外と長い。何度も折り返していた。

私は、中腹まで登った所で力尽きた……そしてまたゲロを吐く……情けない……。

私のゲロに汚されながらロイネットは先に進んだ。

「大丈夫?」アリエルが私を気遣ってくれた。

「大丈夫だ……」私は、よろよろと立ち上がる……。

船の甲板で一人の男が立っていた……目深にフードを被っており顔が見えない……その男は私を待っていたように呟く。「貴殿らがグラディウス帝国の使者か?」

私の後ろからは次々と部下達が登ってきた。

「そうです」ロイネットが答えた。男は何か考える素振りをしてから再び口を開いた。「では、貴殿に託された書状を貰おうか?」

私は懐から、イルマの手紙を取りだし男に渡した。男はそれを確認すると、部下に何か指示を出すと、部下が動き出し船内へと入っていった。そして暫くすると船員が、縄梯子を持って戻ってきた。「これを登って来たまえ。そうすれば、アトランティスの宰相と面会できる」

私は縄梯子を登った……胃の中の物が戻ってくる感覚が襲い、喉がヒリヒリする……。

登りきると男がフードを脱ぐと、若い好青年が現れた。

「ようこそ!我がアトランティスに!」その若い男は礼儀正しくお辞儀をした。そして私達は船内へと案内された。

中に入ると豪華な部屋が私達を待っていた!船員達は、私達を歓迎しているアリエルが言う。

「では、こちらに」男がそう言うと、私達は別の部屋に向かった。

その部屋は執務室のようだ。

「わざわざ遠い所からお越しいただきありがとうございます!」その男は丁寧な口調で話すと頭を下げた!そして自己紹介を始めた。

「私がアトランティスの宰相を任されているミカヅキです!」男はそう名乗った。「貴方が……」私が驚いていると、アリエルが、「名前を聞いて驚いてるの?海を渡った使者なんだから偉いに決まってるでしょ?」と私に耳打ちする。

私は頷いた。私は改めて自己紹介をする。

「グラディウス帝国から特使として参りました。外務省参事官ウィズ・アルベルトと申します……ウプ」オロオロー!名乗ると同時にゲロを吐く!それを見て宰相ミカヅキは苦笑いし私達に椅子に座るように促した……。

「それで、交渉の内容は?」ミカヅキは話を切り出す。

「イルマ様の書状に書かれているように、帝国と同盟を結んで下さい」私は勇気を振り絞って言葉を紡いだ。……うっ!また吐き気が……私は袋から薬を取り出して口に入れる。

「ちょっと!大丈夫?ウィズくん」アリエルが心配してくれたので、私は笑顔になる。

ミカヅキはため息をつくと、暫く考えてから口を開いた。

「……申し訳ありませんが、それは難しいです」

ミカヅキはそう答えた。私は怒りに震える……。

「理由をお聞かせ下さい」

ロイネトが冷静に問いただす。ミカヅキは淡々と理由を語る。

「我が国には、かつて栄えたアトランティスの遺跡があります!帝国と同盟を結ぶと言うことは、その遺跡を盗られることを意味します」

「ならば!我が国と戦争をすると?」私が激昂する。

「……そうです」ミカヅキは冷静に答える。

「私達は、その遺跡を手に入れても興味ありません!」アリエルも激昂する。「しかし、我が国に同盟を結んでも良いことはありますまい。食料の供給もままなりませんから……帝国とは友好的にやっていきたいと考えております」ミカヅキがそう答えた。

ロイネトが私に目線を送る。私は頷いて返事をした。そして、口を開いた……。

「それでも良い。同盟を結びたい。帝国としても海からの安全保障が欲しいのです」ミカヅキは少し考えてから口を開いた。「わかりました」

私達は喜んで、握手をする。それを見たアリエルは安心したのか胸を撫で下ろす。

「帝国に書状を送りますので、返答が来るまでお待ち下さい」ミカヅキはそう言って書状を書くと、部下に渡した。

「わかりました……ところで」私はミカヅキに聞くことにした。

「その遺跡はどんな物なのですか?」私がそう聞くと、少し考えた後に答えた。

「……行けばわかりますよ」

そう言うと私を見るので私は首を傾げた。

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