運命の子
大陸歴423年9月26日
ウィシュターニア地方アルベルト高原の近くの集落にスノー率いる部隊が、今回の戦争で神聖国軍によって小競り合いが多発していた。その最中焼かれた村の調査をおこなっていた。「酷いものね……」スノーは、その現状に言葉を漏らした。「確かに……見てて気分のいいもんじゃないですね」そのスノーの呟きに反応したのは、公軍第三大隊所属スフィルド・ファルゲン少尉だ。彼もまた、この現状を見て苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。「でも、これは必要なことよ。この現状を私達がしっかりと把握し、次代に活かす。それが私達の仕事よ」スノーは、そう言うとスフィルドの肩をポンと叩く。「……はい」スフィルドは、そう短く返事をする。「それに、この惨状を作り出したのも私だもの……私が一番に受け止めないとね」スノーは、そう言って悲しげに微笑んだ。
「さて……そろそろ戻りましょうか」スノーは、そう言うと踵を返して歩き始めるとどこからか、赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。スノーは、その声のする方へと歩いていく。スフィルドも、それに続くように歩いていくと赤ん坊が泣いていた場所を見つけることが出来た。その赤ん坊は、母親とはぐれてしまったのか1人で泣いているようだ。スノーは、優しく微笑むとゆっくりと赤ん坊を抱き上げる。「よしよし……怖かったわね……」スノーは、そう言うと優しく赤ん坊をあやす。すると、さっきまで泣いていたのが嘘のように泣き止んだ。「隊長……」スフィルドが部屋の奥を確認してからスノーに耳打ちする。「わかってるわ。……この子の両親は、もう……」スノーは、そう言うと目を伏せる。スフィルドは、それを見て複雑な表情を浮かべる。
スノーは赤ん坊を抱えてスフィルドと隊舎に戻る。「隊長……その子は、どうするんですか?」スフィルドは、スノーに質問する。「そうね……とりあえず、私が引き取って育てるわ」
「え?隊長がですか?」スフィルドは思わず聞き返す。
「ええ。何か問題でもあるかしら?エドワードもメアリーにロイネットも、もとは拾い子なのだから……何も問題ないでしょ」
「……反対はしませんよ私はね」スフィルドは、慌てて首を横に振るとそれ以上何も言わなかった。
スノーは、自室に戻ると赤ん坊をベッドに寝かせつける。すると、赤ん坊がスノーに向かって手を伸ばす。スノーは、その手を握ると優しく微笑んだ。「安心して、貴方は私が必ず守るから」スノーは、そう言うと赤ん坊の頭を優しく撫でた。
翌朝、スノーは赤ん坊を連れ添って自室を出ると廊下を歩く。すると、前から姉であるメアリーが歩いてくるのが見えた。「スノー……その子は?」
「実はね……」スノーは、メアリーに昨日の出来事を説明した。
「そうなの……」
「ても、大丈夫なの?貴女はただでさえ忙しいのに」
「大丈夫よ。姉上だって私達を愛を注いで育ててくれたもの。それに……この子を放っておくわけにもいかないわ」スノーは、そう言うと優しく赤ん坊の頭を撫でる。
「可愛い子ね。まるで赤ちゃんの頃のロイネットみたい」「……この子は、女の子よ」スノーは、そう言って微笑む。
「それで、その子の名前はどうするの?」メアリーがスノーに質問する。
「そうね……」スノーは、そう言うと考える素振りを見せる。そして、何かを思いついたように笑みを浮かべると口を開いた。「決めたわ」
「なんて名前にしたの?」メアリーは興味深そうに尋ねる。
「……この子の名前はね……『モードレッド』よ」スノーは、そう言って赤ん坊を優しく抱きしめると愛おしそうな眼差しを向けるのた。




