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ウィシュターニア公戦記  作者: 上西日向守
帝国編(ベルモット・ワイズ)
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生と死と

「もっと踊ってけれよ」ベルモットはそういうと剣を振り下ろした。ウィズは咄嗟に避けるが左腕を斬られてしまった。「くっ!」左腕から血が噴き出すと同時に、激痛が走る……それでもウィズは諦めなかった。最後の力を振り絞り剣を構えた……するとベルモットは呆れたような顔でウィズを見た後、攻撃を繰り出してきた。その攻撃を間一髪で防ぐと、そのまま反撃に出た。しかしそれは簡単に躱されてしまう。その後も何度も攻撃を試みるが全て避けられてしまうのだった。そしてしばらく攻防が続いた後遂に決着がつく時がきた。

それは一瞬の出来事だった。ベルモットの剣がウィズの首に突き刺さる寸前、ウィズの剣もベルモットの首筋に触れるか触れないかの距離まで近づいていたのだ。

「ショータイムだ!!」そう言ってニヤリと笑うベルモットに対して、ウィズは静かに微笑むと言った……「あぁ」ウィズは一言だけ呟くと剣を振り上げた。それと同時にベルモットも剣を振りかざす!二人の剣は同時に振り下ろされ互いの体に食い込んだ。その瞬間二人は笑みを浮かべるとお互い同時に崩れ落ちた……。

「ベルモット・ワイズ!貴様は危険だ!」ウィズが叫ぶと同時に地面を蹴り上げると、一気にベルモットに向かって駆け出す。そして凄まじい速度で剣を振り下ろす!だがその攻撃は避けられてしまう。ベルモットはニヤリと笑みを浮かべると、ウィズに向かって斬りかかった。

ウィズはその攻撃を間一髪で避けると、再び攻撃を繰り出した。しかしそれも簡単に防がれてしまう。そしてカウンターを仕掛けられた。咄嗟に左腕を犠牲にして攻撃を防いだが、その腕に激痛が走る。痛みに耐えつつ距離を取ることに成功したものの状況は不利だった。「このままだとジリ貧だな……」ウィズはそう呟くと覚悟を決めるのだった。そして次の瞬間にはベルモットに向かって駆け出した。その動きは先程までとは明らかに違うものだった。目にも止まらぬ速さで攻撃を繰り出す。それはまさに神業とも言えるものであった。ベルモットもこれには驚いたらしく、攻撃を防ぐのが精一杯といった様子だった。しかしそれも長くは続かなかった。遂にウィズの攻撃がベルモットを捉えたのだ。「ぐぅ!」彼は苦痛に顔を歪めながら後退していく、するとウィズは剣を振るいトドメを刺そうとした瞬間だった。「【麒麟きりん】」ベルモットが叫ぶと同時に凄まじい斬撃が飛んでくる。間一髪で避けることに成功したものの、ウィズは驚愕の表情を浮かべていた。何故なら先程までとは比べものにならない程の威力だったからだ。

そしてベルモットは再び剣を構えた。その構えはまるで隙がなく、まるで獲物を狙う猛獣のようであった。「狩られる兎はどちらかな?」しかしウィズも負けてはいなかった。ウィズは剣を構えると攻撃を仕掛ける。そして二人の激しい攻防が始まったのだ。その光景はまるで舞っているかのように美しく、見る者の心を奪うほどの美しさがあった。だがそれも長くは続かなかった。

ウィズは膝をついた、左腕からは血が流れていた。悔しそうに唇を噛むとベルモットに向かって言った。「右腕が潰れて左腕もそれじゃあね」ベルモットはそう言うと剣を振り下ろした。しかしそれは簡単に受け止められてしまった。そして逆に反撃を食らってしまう。腹部に強烈な衝撃が走ると同時に激痛を感じたが倒れはしなかった。ウィズは震える手で剣を握りしめると最後の力を振り絞って攻撃を繰り出す。ベルモットもそれに対抗するかのように一撃を浴びせてきた。それは一瞬の出来事だった、二人の攻撃が交差した瞬間に決着がついたのだ。

「ぐはぁ!!」ウィズは血反吐を吐きながら倒れた。それと同時にベルモットも倒れる。二人とも瀕死の状態であった、だが生きていることが不思議だった。それほどまでに激しい攻防だったのだ。

しばらくするとウィズが起き上がり、ベルモットに向かって剣を振り上げる「斬り殺す」ウィズはそう言うと剣を振り下ろそうとした瞬間だった。ベルモットはニヤリと笑うと剣を振り上げ反撃に転じてきた。その攻撃を防ごうとしたウィズだったが間に合わず、剣を弾き飛ばされてしまう……そしてそのまま首を掴まれてしまった。「眠れ」ベルモットはそういうと首を強く握りしめる。ウィズの意識は徐々に薄れていった。薄れゆく意識の中で最後に見たものは勝ち誇った顔で微笑むベルモットの顔だった。そして遂に彼の意識は闇に落ちていった。ウィズがゆっくりと目を開くと目の前にはベルモットが倒れている。ウィズは笑みを浮かべながら立ち上がると、ベルモットに向かって歩き出した。その姿はまるで悪魔のようだった。そして彼は倒れたベルモットを見下ろすと、ニヤリと笑みを浮かべるのであった。

「あっはっはっは!!」突然笑い出したウィズに周囲の人々は驚いた顔で見ていたが、次の瞬間には恐怖の表情に変わることになる。何故ならばウィズがベルモットの首を片手で持ち上げると、そのまま握り潰そうとしていからだ。

「面白いこれが君の本性かい?」ベルモットは必死に抵抗しようとするが身動きが取れなかった。ウィズは狂気的な笑みを浮かべながら、容赦なく力を強めていく。「もっと見せてくれ君の狂気を」ベルモットが叫ぶが彼は聞く耳を持たない。「……」ウィズは黙って力を込めていく。そして遂に骨を砕く鈍い音が響き渡ると同時に血飛沫が上がった。

「あぁああ!!」ベルモットは絶叫を上げると同時に意識を失った。しかし、ウィズは止まらなかった。今度は心臓を貫こうと再び力を込めていった。

「足りないなぁ……」瀕死のベルモットは、手刀でウィズの肩を射抜く「君にはまだ私の領域には届かない」ベルモットはそう言うとその場を立ち去る。「あはっ!楽しいなぁ!」ベルモットは血塗れの服を脱ぎ捨てると、全裸のまま歩き始める。その姿は狂気に満ちていた……。

こうして、ウィズとベルモットの戦いは終わったのだった。ウィズの敗北で…。

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