巡り合わせ
その教会は奥の壁には大きな十字架があり女神アクエリアスの像が中央に置かれている。クレアはその美しさに言葉を失っていた。「おや?誰かいらっしゃるのですか」奥の扉から男性が顔を覗かせる。「おやおやこれは、お客さんなんて珍しいですね。観光の方ですか?」「い、いえ私は……」神父らしき人物は、クレアを見て微笑んだ。「申し遅れました。私はこの教会の神父を務めているヨハネ・ヘルシングという者です」「私は、クレア・ウィシュターニアと申します」
「ウィシュターニア?それは確か帝国の四大貴族の家名でしたか?」
「はい、左様でございます」
「そうですか……」神父ヨハネは、クレアの身分を聞き考え始める。「軍事国家の剣であるウィシュターニア公家の方が何故この国に?」
「実は、私は……その旦那様を救いたいのです!」その言葉にヨハネの表情が変わる。
「それはどういうことです?」
「実は……」クレアは、自分の事とウィズの事を全て話した。そして自分が今どういう状態なのかも。するとヨハネは驚いた表情を見せた。「なんと!まさかそんな事態になっていたとは……女神の加護とはなんと神秘的な」「それで……その旦那様を救うには、初代剣神アルベルト様のご加護が必要との事でして」「ほう、それは興味深いですね」ヨハネは興味深げにクレアを見る。「しかし、何故それを私に?」「それは……」クレアが言いかけると再び光に包まれ赤ん坊のリアが現れた。『パパをたすけるには、めがみさまのけんとれいしゃおねえちゃんのちからがいるの』「これは!」ヨハネが驚き後ずさる。「この様な現象が起きたのは初めてなのです」
『このひとからすごくこうごうしいちからをかんじるの』「リア、この人ならウィズ様を救えるの?」
『うん!このひとからもめがみさまのちからなんじるの!れいしゃおねえちゃんとけんしんさまのけんをとりもどすの!』リアは、空中をクルクルと回る。
「で、ご婦人そのレイシャ嬢と剣神の剣とは、何処に?」クレアとリアは顔を見合わせて困った表情をする。『わかんな〜い』
「これは困りましたね。手がかりがないと……どう行動していいやら」
『れいしゃおねえちゃんもけんも、このくににあるのはたしかなの!』
リアが鼻息荒く腕を組みドヤ顔をする。苦笑いするヨハネだったが、次の瞬間顔色が変わる。「あの神父様どうかなされたのですか?」ヨハネは、不意に立ち上がり天窓を見上げると昼間だというのに空は、真っ暗になっていく。「まさか……な」ヨハネ深刻な顔で、呟いた。
「これは一大事ですね」ヨハネは、慌てて部屋を出るとクレアもリアを抱え後を追った。教会の外は、まるで夜のように暗くなっていた。「これは、どういうことですか神父様」「恐らく何者かが、この国に結界を張ったのです」
「そんな!一体何故!」ヨハネの言葉にクレアは驚く。「闇の支配者……この国を支配する魔物です」ヨハネは顔を曇らせる。
『このくには、わるいやつのてのなかにおちたってことなの』リアの言葉に対しクレアも同意する。
「そのようですね。しかし少なくともこの現象は、貴女方と何か関係があると思います。」すると教会から少し離れた所にある大きな建物から光の柱が立ち上っていた。「あれは?」クレアは驚きながら指さすとヨハネは、険しい表情を見せる。「これは……まずいヨハネは、険しい表情のまま教会を後にした。「えっ?」クレアも慌てて後を追う。
「あの光……あれは、誰かが戦っているようです」ヨハネは、胸の十字架に触れて祝詞を唱えると先程の光の方向へと走り出した。




