神の器
「……出来れば無傷で貴様を連れて行きたい……」「私は、ここを離れる訳にはいきません。この神聖国は、私にとっては故郷です!」レイシャは剣をゲルガに向けて構える。「なら……致し方ない」
「……他宗教の女神の魂を宿した女がそれを許されると思うか?」「私は、女神様ではありません。私は、神聖ユスタリスの加護を受けた聖騎士です!」「……哀れな女だ」ゲルガが、双剣を鞘に戻し指を鳴らす。「なんのつもりですか?」「千本幻剣……」突如として出現した宙に浮いた刀剣が、レイシャを襲う。
「なっ……!」レイシャは、双剣でそれを弾くが数本刀剣がかする。その内の一本がレイシャの頬を掠める。「うっ……」頬から血が流れる。ゲルガが再び指を鳴らすと今度は、地面から無数の刀剣が現れる。「くっ……この!」レイシャは、それらを全て弾き返す。だが数が多すぎる為か全てを防ぎきれずにかすり傷を負う。「手加減していのですか!!」レイシャは、鬼の形相で睨むがゲルガは、無表情で指を鳴らす。レイシャは、気を失ったフリューゲンを抱えながら、ゲルガの攻撃を避け、片手で斬撃を飛ばす。「良い腕だ」ゲルガが、それを簡単に弾く。レイシャは、肩で息をする。「……安心しろ……殺しはしない」ゲルガが再び指を鳴らすと壁や天井から無数の刀剣が現れる。「はぁぁぁぁぁ!」レイシャは、剣を構えると全方向から来る刀剣を1つ残らず弾く。だが無理な体勢を取ったせいで足元がもつれる。「う……ぐ!?」レイシャは、その場に倒れる。「……勝負はあったな」
「はぁ……はぁ……」レイシャが立ち上がろうとする。だが立ち上がれない。するとゲルガがゆっくりとこちらに歩いてくる。レイシャは、立ち上がるのを諦めたのか、剣を地面に突き立てると目をつむる。「無様だな……神聖国の騎士よ」ゲルガが拳を振り上げた瞬間レイシャの体は、糸の切れた人形の様に膝から崩れ落ち、気絶したフリューゲンも地面に倒れてしまう。「……まだ意識があるのか」ゲルガは、レイシャの髪を鷲掴みにして持ち上げる。「うっ……くっ……」レイシャが苦しそうにもがく。「これよりアクシズ教国に向い、女神アクエリウスの魂を分離して神器を頂く……」「……!!」レイシャは、意識が朦朧とした状態でもゲルガの一言で覚醒する。「止めて下さい!!」「神器さえ手に入れば、この国に用はない」「止めて……お願い……」レイシャの目から涙がこぼれる。「……命乞いか?」
「私は……どうなっても良いから……この国だけは……私の愛するこの国は……」「……どうせ全てが変わる」「え……?」レイシャは、ゲルガの一言で思わず呆気に取られる。「……この国は……変わるこの世界は、新たに創造される。七つの神器が揃えばな……。宗教国家アクシズ教国の神器が、女神アクエリウスだ」「一体……何を言って……」レイシャは、ゲルガの言っている意味を理解出来ないでいる。「これでお前を裁く理由はなくなったか?」「……?」
「……お前が真実を知った時点で何も変わらん……。新たな歴史が刻まれる」そう言うとゲルガは、レイシャの髪を離し地面に落とす。「うぐっ!?」レイシャが呻き声を上げて倒れる。
「……新時代はすぐここにある」
「あ……あぁ……」レイシャは、そこで意識を失った。




