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ウィシュターニア公戦記  作者: 上西日向守
ユスタリス神聖国編
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帝聖平和協定

短剣がヴァルキリーの腹部に刺さる前にウィズが素手で短剣を止めた。ヴァルキリーは、唖然とする。「死ぬ覚悟など……誰にだって出来る。私は貴殿の話を聞き考えました。貴殿が死んでも、死んだ者達は帰ってこないでしょう」「死ぬだけが償いではありませんよ」レイシャが、ウィズの血だらけの手を握りヴァルキリーを見つめる。「責任の一旦は、我々帝国側にもあります。帝国が汚点を生んでしまい多くの人命が失われました。私はその屍の上に立っています。この罪を生涯背負っていくつもりです」ヴァルキリーは、唇を噛み俯く。

ウィズが微笑む。「軍を引きなさい将軍。貴殿の償いはこの戦争に終止符を打つことで果たせるでしょう」「……わかりました」ヴァルキリーは短剣をしまい頭を下げた。

神聖国軍陣営に戻ったウィズはフリューゲンに報告した。

「そうですか……将軍がわかってくれましたか」「はい、将軍の償いはこの戦争を終わらせることだと」「そうですね。やっと帝聖との間に和平が結ばれます」

「フリューゲン殿。必ずや我々の手で平和を取り戻しましょう」ウィズがフリューゲンに言う。「ええ、お願いします。私も共に戦います」

フリューゲンはウィズと拳を合わせる。そして二人は戦場を見つめた。

大陸歴424年1月20日

和平協定を結ぶ為、神聖国側から最高臣である老神アルキメデウス、神聖国軍最高指揮官ヴァルキリー・フォン・エルナリーゼ、聖十字軍参謀フリューゲン・ラインバッハそして聖十字軍軍隊長にして女神アクエリウス(ゼラ)の魂を宿したレイシャ・クロード。帝国側は、ガルム参謀総長、ウィズ、帝都から駆けつけた外相エミリア、アルストリア書記長が参加する。神聖国と帝国の戦争は終結した。

「この度は、我が軍の暴走で迷惑をかけた。誠に申し訳ない」ヴァルキリー将軍が頭を下げる。

「いえ、全ての元凶は、我が帝国側にあります」アリエルが深々と頭を下げ謝罪をする。「これからは、神聖国も同じ敵を持つ同士ではありませんか頭をお上げください」「感謝しますヴァルキリー殿」ヴァルキリーは少しホッとしたようだった。

「今回の件で多くの戦死者が出ました。ヴァルキリー将軍、貴方様の罪は重いですが、償いを私達と共にしていただけるなら私達は許しましょう」ガルム参謀総長が手を差しだす。

「……ありがとうございます」ヴァルキリー将軍は再度頭を下げ握手をした。こうして両国の間に平和が訪れた。

「では、これより逆賊ベルモット・ワイズ一派の対策会議を開始しましょう」ウィズが提案しレイシャとフリューゲンが頷く。「まず、ベルモット・ワイズとその一味の戦力を私から説明します」ウィズが説明に入る。まずは首領、元帝国軍少将にして特殊暗殺部隊【暗部】の部隊長を務めていた殺人鬼、赤い死神と呼ばれているベルモット・ワイズ。アニース王国の第一級犯罪者の【首狩り】ヒリュウが確認されています。その他にもベルモットは、死徒と呼ばれる人間を自身の思うがままの殺戮人形にする技を持ち合わせ、アクシズ教の御神体であられる女神アクエリウス様の体を媒体にその力をより強固なものにしています」ウィズは、ため息を吐く。「補足としますが、神聖国最高臣である残り4人の老神と教皇様も洗脳され操られている可能性があります」レイシャが暗い顔で答える。エミリアが話を進める「帝国の諜報部の調査によると帝国に反旗を翻した、近衛騎士団長ブラック・レバレッジ同じく近衛騎士団所属だった黒騎士ラース・ボルサに警務局局長バルカン・ザンジバルがベルモットの組織のメンバーだと我々は確信しています」「元帝国皇太子であり現在は傭兵国家タルタロスに落ち延びたアルフレッドもベルモットに加担した恐れがありまね」アルストリア書記長が補足する。「では、貴国の皇帝殺してベルモットの仕業であったと?」「断定は、できんな」ガルムが葉巻に火を付ける。「ほかにも、帝国側におかしな動きをしていた輩がいた」ウィズはまた、ため息を吐く。

「まさかとは思うが傭兵国家や諸国連合の帝国に不利な動きも……」

「関係なくないでしょうね。フリューゲン参謀殿」「実際に死徒にされていた私が言うのもおかしな話だが、ベルモットは、人を人間扱いしない。奴にとって、人間は自身の欲を満たすための道具にすぎず、死徒にとって人など材料でしかないだろう」ガルムが興味深そうにアルキメデウスを見る。

「まず、神聖国の最高臣達と教皇の解放。そして将官に紛れ込んだ死徒を炙り出すのが得策かと」フリューゲンが提案する。「ですが、ベルモット・ワイズはこれまで多くの人間を死徒にしてきた。洗脳を解くのは容易ではない」ウィズがレイシャの方向に視線を送る。「貴女なら死従かそうでないかわかるでしょ?」「はい……わたくしの神眼があれば」レイシャが頷き同意。「なら、洗脳を解く役目は貴女に任せましょう」ウィズがレイシャにウィンクする。「はい、お任せください!」レイシャは嬉しそうに微笑む。神聖国と帝国の戦いは終わった。しかしベルモット・ワイズ率いる死徒との戦いはこれから始まろうとしていた。

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