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ウィシュターニア公戦記  作者: 上西日向守
ユスタリス神聖国編
111/134

内部分裂

「兄上!!」ボロボロのウィズを見てウィシュターニア公軍第三大隊隊長の妹のスノーがウィズを抱きしめる。「ご無事でなによりです」

「まぁ無事かはこれからの話だ」「どういうことなのですか?」スノーがウィズに尋ねる。

「実はな……」ウィズが事情を話すとスノーの顔色が変わっていく。「現在レイシャ殿とアルキメデウス殿が、神聖国軍を説得に回っている」「まさか、そんな複雑な事が起きているとは……こちらの戦線は、両軍の指揮官が行方不明となて、現在一時休戦状態となっています」

「どうなるかは、両軍の指揮官次第だな……」

神聖国軍駐屯地では、レイシャと老神アルキメデウスが、神聖国軍の将校達に事情を話していた。「ベルモット・ワイズが最高臣である老神を洗脳し操っていただと!」

「はい」

「しかし、なぜそんな事ができる?」

「それは……」レイシャが口籠る。

「それは私が説明しよう」アルキメデウスがレイシャに変わって説明をする。「老神アルキメデウス殿?」

こうして事の顛末が話された。

「それは真ですか!!老神様方が洗脳されていたなど!!」

「うむ、事実だ」アルキメデウスの言葉に将校達がざわつく。

「それで、これからどうするのですか?」

「……神聖国をベルモット一派から取り戻す。そのためには、まずこの混乱を収める必要がある」「しかし、ベルモット一派が大人しくしているでしょうか?」

「わかっている。だがやらねばならない事があるだろ?」とアルキメデウスが拳を握りしめる。「混乱を収める為の策はあるのですか?」

「……策はある。帝国と手を結びベルモット一派を叩くのだ!!」

「帝国と手を結ぶ!?」将校達は動揺を隠せない。「アルキメデウス様は、帝国の手を借りたのですか?」神聖国軍最高指揮官ヴァルキリー・フォン・エルナリーゼ将軍が尋ねるとアルキメデウスは頷く。

「そうだ。此度私を救い出してくれたのも帝国のウィシュターニア公だ」「しかし……」

「何を迷っている?これはベルモット一派を倒すためだ!それに帝国も我々に手を貸してくれると言っているのだ!」

「それは本当ですか?」聖十字軍参謀フリューゲン・ラインバッハの言葉にアルキメデウスは、頷く。「ああ、間違いない」「では、ベルモット一派を討伐する為に帝国と手を結ぶ事は、認めます。しかし、これまでの事はどうするのです?今更帝国と仲良し小好しできますか?現に今回の戦いで幾人の兵が死んでいます……それに長年の戦争もそうです。信じれますか?帝国の言葉を……貴方様やレイシャの言葉が本当に真実なのか……正直私でもわかりません」「だが、それしか道はない」とアルキメデウスが念を押す。

フリューゲン参謀が真剣な眼差しを向ける。

「……」「フリューゲン参謀。貴女はどうするのですか」レイシャがフリューゲンの前に立つ。「アナタ方のおっしゃる事は、とてもではありませんが信じる事ができません……聖十字軍参謀としては同調できませんが……個人としては帝国と手を結ぶ事を支持します」「おのれ!!」その時剣を抜いた将官が、フリューゲンに斬りかかろうとするもレイシャの抜刀一閃で頭上を斬られ倒れる。

「これが、ベルモットが国を操っている証拠です!アナタ方はこれでもまだわたくし達の妄言と言うのですか!!」将官達は、押し黙る。「……それでも、死んでいった者達に、すまない君達の死は無駄死だったと墓石の前で言えばいいのか?」それは、ヴァルキリー将軍の言葉だった。「神聖国軍を預かる身として帝国とは手を結べない。勿論アナタ方を支持できない」こうして神聖国を内は、2つに割れた。

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