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ウィシュターニア公戦記  作者: 上西日向守
ユスタリス神聖国編
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剣神降臨

「ゼラ殿お逃げください」レイシャが血塗れの体を無理やり起こしながら叫ぶ。

「レイシャ様!!」「この方から離れろ!【雷針】!!」レイシャの渾身の一撃で、ベルモットの右腕が飛び、返す刃で首を狙う。「いい攻撃だ」ベルモットが、長剣で受け止めるとレイシャの体を斬り裂く。

「ぐあぁ!」血飛沫が飛び散る。

「レイシャ殿!!」ゼラが駆け寄ろうとするもベルモットの長剣がそれを阻む。

「君ならわかるだろ?死神ウィズ・アルベルト、もう助からないよ」ベルモットの言葉の通り既にレイシャの命は風前の灯火だった。

「まだ……私は……」」レイシャは、立ち上がろうとするが力が入らない。

「お疲れ様。ゆっくりと眠るがいいよ」ベルモットが長剣を構える。

「眠るのは、君だよ」ベルモットが、声の方向に振り返るも血飛沫が飛ぶ。それは、勿論ベルモットのものだった。誰がその一撃を放ったのか、ゼラ……違う。ウィズそれも違う。そこには、ウィズによく似た顔立ちに黄色い瞳の男が立っていた。

「初代剣神アルベルト・ウィシュターニア!!」「確か……ベルモットとか言ったかな?」ウィシュターニア公家の開祖初代剣神アルベルト・ウィシュターニアが、ウィズの身体を借りて降臨した。「がはぁ!」ベルモットは、その場に蹲る。剣神アルベルトは、剣を構えると。

「女性に無闇に剣を振るうものじゃないよ」剣神アルベルトの剣技でベルモットの体を斬り裂く。

「ぐあぁ!!」血飛沫が飛び散る。

「さ、最高さ……これが命のやり取りだ!!【逆鱗】!!」ベルモットが左手で長剣を握り地面を蹴り上げ、これまで以上の斬撃を飛ばすも剣神アルベルトは、動じることなく剣を構える。「剣神流【迅速の太刀】」ベルモットの渾身の一撃を剣神流最速の剣技で迎え撃つ。激しい斬り合いの末、ベルモットの長剣がへし折れる。

「おもしろい最高だよ!!」折れた長剣の刃先を持ち、ベルモットが突撃する。

「楽に死ねたかもしれないのに残念だ。剣神流奥義【神の裁き】」ベルモットの剣技が、全て見切られていたかのように剣神流奥義で返される。それは、まさに神の御業だった。

「ぐあぁ!」血飛沫が舞う。「剣神流か……いい技だったよ」ベルモットがそう言い残すと剣神アルベルトは、レイシャの元へ歩み寄る。そして、レイシャを抱きかかえる。

「このままでは危ないね」「剣神様私はどうしたら」ゼラが泣きながら剣神アルベルトに懇願する。

「そうだね……。私は理から外れた身だ。だから行きとし生きる者には、干渉できない……でも君は違うね、お嬢さん?」「貴方様は、わたくしの事をどこまでご存知なのですか?」剣神アルベルトが微笑む。「そうだね。ゆっくり話したいけど時間がないようだ」「そうですか……」ゼラは、レイシャを抱きかかえると涙を拭う。

「貴方様のお力を私に貸してください。この方を助けたいんです」剣神アルベルトが頷く。

「本当にいいんだね?」「はい、お願いします」剣神アルベルトは、レイシャの額に手を当てると目を閉じる。すると、レイシャの身体が光る。「私にはこの子の命を少し延ばしてあげることしかできないよ。あとはこの子の運しだいだ。……時間がきたようだ」剣神アルベルトの身体が光に包まれ、ウィズの姿に戻った。「ウィズ様!!」ゼラが、ウィズに駆け寄る。「ゼラ殿、レイシャ殿は?」ゼラは首を横に振る。「そうか……」ウィズが、レイシャの手を握ると微かに握り返してきた。

「まだ息がある」ウィズの言葉にゼラは、安堵する。

「貴方様の祖であられる剣神様が、ベルモットを退けレイシャ様をお助けになったのです……しかしそれはあくまで応急処置に過ぎないのです。あとはわたくしの力を使わなくてはレイシャ様を本当の意味で助けられないのです」ウィズは、ゼラを見つめる。

「それは何をすればいいのですか?」「わたくしは女神アクエリウスの身体と魂が分離した存在なのです。わたくしの魂をレイシャ様に捧げればいいのです。その代償としてゼラ・スクームの存在は消滅し、レイシャが下界での女神アクエリウスの社となってしまうのです」ウィズが真剣な眼差しを向ける。

「貴方はそれでいいのですか?」ゼラが頷くと両手をレイシャの胸に当てる。すると、ゼラの手の平から緑色の光が溢れ出す。光が消えるとゆっくりとゼラが手を離すと胸から傷が消えた。「ゼラ殿!!」ウィズが涙する。「ウィズ様……レイシャ様をお願いいたします。……私は消えてもまた会えます。それより、レイシャ様にはこれから重荷を背をわせてしまいます。どうかお目覚めになられたらわたくしの代わりに謝罪をお願いしますね。ウィズ様……」ゼラは微笑むと静かに目を閉じた。それて光となりレイシャの体内に入っていった。

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