女神の使徒
「ここは、どこだ?」ウィズは、辺りを見回す。
「私は確か……聖十字軍のレイシャと一騎打ちをしていたはず」ウィズは、立ち上がり状況を確認する。ウィズの手には剣が握られている。
剣を鞘にしまい立ち上がろうとすると横では、さっきまで命のやり取りをしていたレイシャが気絶していた。「どうやら私と一緒にここに落ちたのか……」ウィズがレイシャに近づこうとした瞬間。
「お目覚めになりましたか?!!」ウィズは、剣を抜き警戒する。すると奥から一人の女が姿を現す。
「これも運命でしょうか?」女は、ウィズを見て首を傾げる。
「何者だ!」ウィズは、女を警戒しながら訊ねる。「そうですね……私は……女神アクエリウス様の使いです。剣神ウィシュターニア公」彼女は微笑んだ。その微笑みはまさしく女神の如くだった。「女神……アクエリウスの使い?どういうことだ」女神アクエリウスは、帝国内で信仰されているアクシズ教の女神である。ウィズは、アクシズ教の熱心な信者なのである。「女神様の使いが何故私を知っているのだ。それにここは」
彼女が微笑む。「それが、我が主の願いなのです」
「アクエリウス様の願い?」
「公の働きアクエリウス様は、ずっと見ていらっしゃいます」ウィズは深くため息を吐く。
「貴女を守る為に主は、私を貴方様に使わせたのです」ウィズは、じっと彼女を見る。彼女は微笑むと、「ご安心ください。我が主の願いは叶います」と言った。しかしウィズは、疑いの目を向ける。「どうすれば、ご理解頂けるのでしょうか?」彼女の問いに、ウィズは暫し考え込んだ。そして彼女は、自分の目を指差した。
「私のこの目を見てください」
ウィズは彼女の目を見つめ返す。彼女の瞳は、とても美しく輝いていた。ウィズが見惚れてしまい彼女がウィズに口付けをする。「なっ!何をなさるのですか!」が離れると彼女は、自分の唇を指でなぞる。
「女神の祝福を授けました。その身が朽ちるまで貴方を守り、導いてくれるでしょう」彼女の説明によると、彼女の目は、あらゆる障害を透視できるという力を持っているらしい。「私は先程も述べたように女神アクエリウスの使徒として貴方様を導く者です。この目は貴方様を導き、障害を取り除き未来を照らすでしょう」
「なるほど……大体は理解した。だが、女神様の使徒ともあろうお方が何故、私にここまでしてくれるのか理解できないのだか?」ウィズの言葉に彼女は微笑んだ。
「それは、我が主が貴方様に期待をしているからですよ」
ウィズは彼女の目を見て深く頷いた。「わかった……貴女を信じよう。私はウィシュターニア公。
ウィズ・フォン・アルベルト・ウィシュターニアです」彼女が微笑む。
「わたくしの名は。ゼラ、女神アクエリウス様の使徒。ゼラ・スクームでございます」
「あ〜出来ればそちらの女性にも女神様の御加護を賜りたいのですが?」ゼラは困った顔をする。「申し訳ありません。そちらの方は女神様の加護が通じないのです」「そうなのですか?」「はい。その方は、聖ユスタリスを信仰しているようなので……」「なるほど……まぁ、私と一緒に落ちてきたので助けましょう」ウィズはレイシャを抱きかかえる。
「いいのですか?その方は、貴方様の敵では?」「敵であれ何であれ女性を放置していく事など出来ませんよ」ウィズは、ゼラを見て微笑む。
「やはり、貴方様はお優しいですね」ゼラも微笑んだ。
「あ〜レイシャ殿?」ウィズは、気絶しているレイシャに近ずき声をかける。「う……うぅ……」レイシャが目を覚ました。「私は一体」「貴方は、私を一騎打ちで倒そうとした時天変地異が起きて私と一緒にここに落ちたのですよ」ウィズは、レイシャに説明する。
「そ、そうですか……申し訳ありません」
「いえ、お気になさらず。それよりもここは何処なのですか?」ウィズの問いにレイシャは辺りを見回す。
「どうやら迷宮のようですね……しかもかなり深いようですよ」「まぁここから出るにしてもですねまずは、出口を探さねばなりませんね……」「そうですね……しかし出口があるのでしょうか?」
ウィズは、ゼラを見る。「ゼラ殿、この迷宮の出口をご存知ですか?」「はい。我が主が教えてくださったので」ゼラは微笑んだ。
「それは、良かったです。では早速案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」「あの……失礼ですがそちらの方は?」
レイシャが不安な顔をしてゼラを見る。「あぁ、彼女はアクシズの女神アクエリウス様の使徒。ゼラ殿だ」ウィズは、ゼラを紹介する。「女神の使徒ゼラ・スクームです。よろしくお願いしますね」
「あ、はい……こちらこそ!聖十字軍隊長のレイシャ・クロードと申します」二人は互いに自己紹介をする。
「では、出口に案内をお願い出来ますか?」「はい!」ゼラが歩きだしウィズとレイシャも後に続く。




