⁑今後の展望
ほどなくウィルフリードもやってきた。
彼はすぐにカイトに向かって言った。
「カイト、調子はどうだ…大丈夫なのか?」
「ああ…平気だ」
カイトは、ウィルフリードに向かって深く頭を項垂れながら続けた。
「本当に…すまなかった…」
「お前に謝られる筋合いはひとつも無い」
ウィルフリードは、カイトの肩を叩きながら言った。
「無事でよかった…」
「…」
そして僕らは、例の黒いステーションに突入してから、地下のコアに到達するまでの経緯を…彼らに詳しく説明していった。
「誰か居たのか?」
「人間の気配は、ありませんでした」
「…そうか」
「僕らより相当大きな、機械の身体のやつらはワラワラ出てきましたけどね」
リカルドが言った。
「元々は人間がいたハズなんだけどね…あのステーションは、その機械なやつらに攻略されて、あんなに進化しちゃったんだよね、悪い意味で…」
「コアの階の攻撃力は凄まじかったな…」
「カイトが吹っ飛ばされちゃったやつね」
「その先の事は…リューイしか知らない」
「…っ」
僕は…その後にひとりで見た光景を、彼らに語った。
あの巨大な触手に…コアが吸い込まれて…絶命するまでの、恐ろしい光景を…
「…」
「……」
そこにいる皆が、言葉を失っていた。
「辛かったな…リューイ…」
僕の肩を、カイトが優しく叩いた。
「一緒にいてやれなくて…本当にすまなかった」
僕の目から…ポロポロと涙が溢れた。
「今更言っても仕方ないけど…4人揃ってコアの階まで到達出来ていたなら…もしかしたら、結果は違っていたかもしれないなー」
「ああ…今回の相手がひとつだけだったら…おそらく確実に我々にも勝機があった筈だ」
ウィルフリードは、ニヤッと笑いながら続けた。
「次回は絶対に…今度は、あの紫のステーションに、目に物を見せてやろう」
「そうだな」
「…」
そこにいる皆が、決意も新たな表情で…頷いた。
「で、その…紫のステーションの攻撃力とか色々は、分析出来たのか?」
「当然よー」
カイトの問いに…リカルドはドヤ顔で答えた。
「ま、この…キーファーが作ってくれた道具のおかげだけどねー」
そうか…
戦闘部隊員の能力が見えるって事は…あのデッカいステーションの持つ力も見通せるって事なんだな…
「…」
僕は、あの面倒臭い能力を、シュッと手放してしまった事を…少しだけ後悔した。
だからと言って、僕がそれを計れたところで、リカルドさんのように的確な分析と対応が出来るワケじゃあないからな…
「リカルドさん…今後もその力を、存分に活かしてくださいね!」
僕は、執念の籠ったような、力強い口調で言った。
「あ、ああ…わかった…」
彼は、若干引き気味で答えた。
「そうだよな…元々その道具には、小ちゃいリューイが入ってるんだもんな」
カイトがニヤッと笑いながら続けた。
「そうだったー…活かさないと、デッカいリューイに絞め殺されるかもしれないなー」
「あはははっ…」
それから僕らは、リカルドの講釈の元…現時点での紫のステーションからの攻略を、阻止するための策を話し合った。
「あの強力な触手を跳ね返す…より強力な守備力は不可欠だよな…」
「はい…あれの侵入は…何としても阻止したいです!」
僕は強い口調で言った。
「まずは、全員分量産だな」
「あーあの、リューイの音の出るやつね」
「あれで、ここの全員が、どれほどに進化するのか…まだまだ未知数だからな…」
「それは相当期待出来る!」
「実際の外壁を強化するってのは難しいんですか?」
僕は言ってみた。
「そうだなーそういう技術に関しては、ウチはあんまり得意じゃないんだよねー」
「そういうのに強くて、仲の良いステーションは無いんですか?」
「…心当たりが無い事もない」
ウィルフリードが言った。
「非常に強い金属を…多量に保有しているステーションと、以前交流した事がある」
「え、それ…どこ?」
「ウェイを覚えてるか?」
「…あ、あー覚えてる!」
リカルドは、パッと目を輝かせて僕を振り返った。
「あれだ!あの美味しい茶色いお酒のところだ!」
「…っ」
中国か…
確かに、金の原産量が世界一だったような…
「そのときは、金属に関してのやり取りは無かったが…そのように要請すれば、おそらくはその技術も貰い受けられると思う」
「是非、お願いしてください!」
「技術が分かれば、外壁全部はともかく…コアの周囲だけでも強化できるよな」
「きっと、キーファーさんがやってくれます」
「あははは、そうだな…あいつも今絶好調だし…」
「わかった…早々に手配しよう」
そう言って、ウィルフリードは立ち上がった。
「あとは、その…道具の量産と、戦闘部隊のより一層のベースアップだな…」
「了解」
頷く皆の目の前で…
ウィルフリードはシュッと姿を消した。
「…」
何だ…正々堂々飛んでっちゃう事もあるのか…
「差し当たりの方向性が見えてきたな…」
「キーファーとリドリーにも伝えておこう」
カイトとリカルドは、少しホッとしたような表情で、顔を見合わせた。
「そうかーウェイさんの所と交流かー」
リカルドが嬉しそうに続けた。
「あすこ、美味しい物とか、キレイな服とか…いっぱいあるんだよねー」
そっか、中国だからなー
「紹興酒…いっぱい貰いましょう!」
僕は今日でいちばん力強い口調で言った。




