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⁑戦いの後の訓練

リカルドの提案で…僕らは、いったん…基礎的な訓練メニューをこなしていく事になった。



確かに、歌だって楽器だって…基礎的なボイトレや、指を動かす基礎練習を、毎日やるのが大事だもんな…


しばらくは平和そうだから…また、弾き語りさせてもらおうかな…


気晴らしに、そのための練習も始めようかな…



そんな事も考えながら…

僕は、他の皆と一緒に、最初に教習機関でやったような、コアに集中する訓練をさせられていた。



リカルド先生が、皆に言った。


「まずは初心に還って…自分のコアの状態を確認しつつ、更にパワーアップさせる事を意識していこう」


「…」


皆が目を閉じて、それぞれのやりやすい姿勢をとった。


僕はもちろん、坐禅を組んだ。



「リューイ…また何か妙な格好だね、それ…」

目敏く見つけたリカルドが突っ込んだ。


「それも、例の何とかって所で流行ってんの?」

「…流行ってるっていうか…集中したり、瞑想したりするときの姿勢です」


「ふうーん…」

「でも、実際…こうすると集中力が増します。まあ、僕の場合は…ですけど」



「俺もやってみよう…」


そう呟いたリカルドは、早速その場にしゃがみ込んだ。


「…ん?…んん?…どーやるんだ??」


彼は、上手く足を腿の上に乗せられずに、ぐらつきながらジタバタしていた。



それを見た僕は…ふふっと笑って溜息をつきながら立ち上がると、リカルドに近寄っていった。


そして彼の足を掴んで、無理やり腿の上に乗せた。


「あいてててて…」

「で、こっちも…ココに乗せるんです」


「いてっ…痛い痛い痛いっ…無理っ…」

「…リカルドさん、身体硬いんですねー」


僕は、わめき散らす彼の、もう片方の足も持ち上げて…力づくで組ませた。


何とか…坐禅の姿勢になった。


「出来ました…その状態で、集中してください!」

「痛い痛いっ…痛くてむしろ集中出来ないー!」


叫びながらリカルドは、そのまま後ろにひっくり返ってしまった。


「あはははっ…」



この人って…パワーもそんなに無いし、身体も硬いし…ホントに実戦向きじゃ無いんだなー


そんな失礼な事を考えながら、僕は彼の腕を引っ張って、身体を起こさせた。


「ひゃー痛かったー」

「大丈夫ですか?」


「リューイはすごいなー」

「別に普通です…リカルドさんが硬過ぎるだけです」


言いながら僕は再び坐禅の姿勢をとると…目を瞑り、目の前のコアを確認する作業に入った。



頭をかきながら立ち上がったリカルドは、そんな僕を含めて、周りで静かに集中する面々を見回した。


例の道具を通して皆を視る彼の目には…おそらくそれぞれのコアの状態や個性が、見えているに違いなかった。



久しぶりにマジマジと見る、僕の中のコアは…だいぶ様子が変わっていた。


テディさんのパワーと、悟りを開いたカイトのコア…

そして何より…あの本物の…地下のコアの膨大なパワーと感情が加わったそれは、溢れんばかりの輝きに満ちていた。



何て言うか…

もうこれ以上、入り切らないくらいな感覚だった。



あのメロディーを思い浮かべる事で、それはより一層、グルグルと燃え盛るように火花を散らした。


美しく光る玉っていうより、爆発寸前の太陽のように見えた。



(やっぱり…飛び抜けてるな…)


僕の後姿を見ながら…リカルドは心の中で呟いた。


そして、自分も目を閉じて…

ふふっと笑いながら、溜息をつくのだった。



そのまま1時間以上、そうして集中を繰り返した。

僕だけではなく、おそらく誰もが…自分のコアが以前に増して輝きを増している事を、確認出来ているはずだった。


それは、それぞれの励みになった。

強くなっているという自覚は、今後の訓練に向かうテンションを、大きく上げていった。



「当分は、毎日やろうね、これ」

集中を終えた皆に向かって、リカルドが言った。


「そしたら俺も…もうちょっとは強くなれるかも…」

ボソッと呟くように言った彼を見て、皆が笑った。



何だ…

この人が弱っちいってのは、公然の事実なのか…



そして皆は、それぞれの訓練へと散っていった。


「リューイ、レオとジョシュアも…ちょっといい?」

リカルドが僕らを呼んだ。


「カイトの具合はどう?」

「僕が出てくるときは、まだ寝てましたけど…」


「そうか…」

彼は、黙って少し考えていた。


「…?」


「いや、君たちには…あの黒いステーションの中での様子を詳しく聞くために、デベロッパー階に来てもらおうと思ってたんだけど」


「あーそれだったら…逆にカイトも、呼べば出てこれるんじゃないかな」

「じゃあ、ちょっと…呼んでくれる?」



僕は、その場からいちばん近いフォーンの所に行くと…エルンを呼んだ。

すぐに返事があった。


「ああ…リューイ、どうした?」

「カイト…起きてる?」


「…あ、いや…まだ…」


「…!?」



エルンの…どことなく口籠ったその声を聞いた途端に、僕の頭の中に、刺すような痛みが走った。


「カイト…」


手足が勝手に、ガクガクと震え出して…僕は、居ても立っても居られなくなった。


「ごめん、先に行ってて…」


そう言い残して…僕はその場からシュッと消えた。



「…どうしたんだろう?」

「医療センターに行ったのかな…」



「カイトに…何かあったのか…?」


リカルドは…

珍しく真剣な表情で、眉間に皺を寄せた。




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