⁑因縁の戦い(2)
ホッとしたのも束の間…
気付けば、敵の本体が…肉眼でハッキリ見えるほどに近付いていた。
そしてまた、そこから…次の物体の群れが、次から次へと飛び出して来るのが確認出来た。
うわーホントに、カイトの言ってた通りだ…
これはキリが無いな…
それでも、ルイス達のチームは、全く怯む様子が無かった。スピードも全く落ちなかった。
続いて、さっきと同じ黒い物体と混じって…更に倍くらいの大きさの灰色の物体がやってきた。
それはまさに、アニメに出てくるような戦闘機っぽい形をしていた。
そいつらからは、レーザーというよりは、もっと大きな発光体のようなものが発射された。
それらの幾つかが、こっちの攻撃を掻い潜って、ステーション本体に命中した。
トガーンという、轟音とともに…ステーションがガクガクと揺れた。
僕らは思わず、足元を掬われそうになった。
そのときだった。
「…!!」
眩しい閃光のようなものが、ステーション全体を覆うように輝いたかと思うと…その表面が、薄い透明な膜のようなもので、覆われた。
「…これは?」
「そうか、これがリドリーの開発した守備能力か…」
カイトが呟くように言った。
そうこうしているうちにも、やつらの攻撃が、雨のように降ってきた。既に、ルイスたちばかりに任せてはいられない状況になった。
僕らも狙いを定めて、次々とやってくる物体を…ひたすらに撃ち落としていった。
薄い膜のおかげで…本体に命中した攻撃は、ステーションにダメージを負わせる事は無かった。
僕らがそれらに夢中になっている間にも、相手の本体が、見る見る近付いてきた。
黒くて不気味な、巨大なそれも…僕には、アニメに出てくる敵の彗星にしか見えなかった。
めちゃくちゃ頑強なやつだよなー
ホントにあんなの攻略出来るんだろうか…
そして、その黒い手強そうなステーションの外壁には、巨大な発射口が幾つも備わっているのが確認できた。
しかも、それらは…発射の瞬間を待ち侘びるように、青白くモヤモヤと光を放っていた。
あんなデカい所から、
一体どんなヤツが飛び出してくることやら…
守備力がもつかな…
「あれを狙うか」
カイトが言った。
「そうしよう…」
そして僕らは、飛んでくる攻撃を交わしながら…
その、巨大な発射口を狙い撃ち始めた。
それを見たルイスたちは、僕らをフォローするべく…更に俊敏な動きで、飛び回る物体を根こそぎ撃ち落としていくのだった。
手強いな…
発射口は、なかなか破壊出来なかった。
僕は必死に身体中のコアを集中させた。
それを、ソードくんが思い切り引き出し、途轍もない光となって、発射口へすっ飛んでいった。
ドカーンッ…
ようやく1つ…破壊する事に成功した…
と、それに反応するように、それ以外の全ての発射口が、青白く光り出した!
「来るぞ!」
僕らはそれぞれ…自分自身の守備力を最大限に強化した。
ステーションを包む光の膜も、更に輝きを増した。
次の瞬間…
その幾つもの発射口から…青白く太い砲弾が、こっちを目掛けてすっ飛んできた。
「うわああっ」
「逃げるな、耐えろ!」
その幾つもの太い光が…ステーションに命中した。
ドガガガーーンッという、物凄い音と共に、
激しい地響きが走った。
辺りは、まるで原爆のような白く眩しい光に包まれた。
「…」
その光が…徐々に、薄らいでいった。
「…大丈夫か?」
「…っ」
僕は辺りを見渡した。
衝撃に煽られはしたものの…倒れている者は誰もいなかった。
薄い光の膜も、破られていなかった。
僕らは、何とか持ち堪えていた。
「よし…これを交わせれば、こっちのもんだ」
イヤホンにリカルドの声が響いた。
「カイト、リューイ…行けるか?」
「わかった」
「行くぞ、リューイ」
「…」
僕は、大きく頷いた。
「俺たちも行くよ」
レオとジョシュアが、駆け寄った。
「…よし」
そして僕らは手を繋いだ。
「行ける所まで…飛ばしてくれ、リューイ」
「わ、わかった」
僕は、いったん…ウィルフリードを想った。
いざとなったら…
レオとジョシュアを回収してください…
果たしてその想いが、彼に届いているのか…
確認する事は出来なかったが…
それから僕は、ほぼ既に射程圏内に入っている、その黒いステーションの…まだ見ぬ全貌を思い浮かべた。
どこまで…行けるだろう…
僕は、意識してメロディーを思い浮かべた。
そして、自分のコアに導かれるままに…僕ら4人の身体を、すっ飛ばした。
シュッと僕らが消えたのを、横目で見ながら…ルイスは、油断する事なく、相変わらず次々に飛んでくる物体を撃ち落としていた。
「ちゃんと帰って来るのよ…」
小さい声で呟きながら、彼はニヤッと笑った。
「4人が突入に成功しました」
リカルドは、ウィルフリードに報告した。
「了解…」
答えながら彼は、自分の階のモニター画面を、食い入るように見つめた。
そこには、黒いステーションの中の…今どの辺りに僕らがいるのかが、映し出されていた。
彼の後ろで…
マテルは、自分の首にかけられたメダルを握りしめて、必死に祈るようにコアを放っていた。




