⁑因縁の戦い(1)
朝がきてしまった…
いや、太陽も無いこの世界で、果たして朝と呼んでいいのかどうかも、未だに分からないけど…
僕らはいつものように…
カイトが淹れる美味しいコーヒーを飲んだ。
「明日も…こうして一緒にコーヒーが飲めるといいな」
「…そうだな」
言い合いながら…
僕らは、平和で静かなひとときを…噛み締めた。
「よし、行くぞ」
「うん」
そして僕らは、いったん体育館に行った。
いつにない緊張感に、皆がバタバタとしていた。
馴染んだ武器を手に取って…僕は彼に語りかけた。
「今日も…よろしくお願いします」
キラッと輝いたそのソードの光に…そう言えば、何となく見覚えがあるような気がした。
とりあえずそこは深く気にも留めず…僕は、カイトとレオとジョシュアと一緒に、エレベーターに乗り込んだ。
「…全力を尽くそう」
僕らに…と言うよりは、自分自身に言い聞かせるかのように、カイトが言った。
「きっと…全力以上を出せるよ」
僕は、自分の耳に装着したイヤホンを触りながら言った。
「ふふっ…そうだったな」
「まだまだ進化するよ…カイトも…レオもジョシュアも…もちろん、僕も!」
皆が頷いた。
そして、最上階に着いたエレベーターを…僕らは、颯爽と降りていった。
既に、リカルドとリドリーがそこにいた。
他にも、リサーチ班のメンバーと思われる数人が、機械の前に陣取って、一心に画面を見つめていた。
遅れて、ルイスとヒューを含む、最前メンバーが上がってきた。
緊張感漂う中に、カツカツという、心地良い彼らの足音が響き渡った。
何か…アニメの1シーンみたいだな…
イマイチ実感の湧かない僕は、そんな風に思った。
それでも…あと何時間何分後に、その、相手のステーションが迫っている事は、分かっていた。
僕の体内時計が、しっかりカウントダウンを刻んでいた。
やがて…援護を務める他の隊員達も、続々と上がってきた。外に通じるその格納庫は、大勢の戦闘部隊員で、騒然となっていた。
そして誰もが…画面を食い入るように見ていた。
そのカウントダウンが…ついに1時間を切った。
「見えて…来たぞ」
「…」
リカルドが操作する、レーダーのような画面の隅っこに…不気味に点滅する物体が映り込んでいた。
「…おいでなすったな…」
リカルドは、ギリッと爪を噛んだ。
「よし…配置に着くか」
ついにカイトが言った。
リカルドが、僕の所にやってきて…僕の頭に手を翳した。
「配置は…こうだ」
「…っ」
翳された彼の手から…僕の頭に、各隊員の配置図のようなものが流れてきた。
「え、何…僕がやるんですか?」
「だから、そのために訓練してもらったでしょ」
「…」
同時にスポーンは、このための練習だったのか…
「同時にじゃ無くていいよ…ゆっくりでいいから、正確に飛ばしてあげてね…」
「わ、わかりました…」
そして僕は…その配置図に従って、戦闘部隊員達を、順々に持ち場に飛ばしていった。
そうこうしているうちにも、レーダー画面の不気味に光る物体が…どんどん近付いてくるのが僕の横目に入っていた。
最後に、僕ら4人が残った。
「じゃあ…いってくる」
カイトは、リカルドに言った。
「ああ…全力でサポートする」
リカルドは、頼もしそうに…ニヤッと笑った。
僕らは輪になって手を繋いだ。
「行きますよ…」
そして、僕らは…自分の持ち場へ…飛んだ。
そこは…外だった。
まさに、そのステーションの…てっぺんの辺りだった。
一段下がった周りを…ルイスとヒューのいるチームが、囲むように守っていた。
生ぬるい風が吹く中…
僕は、何も見えない黒い空間を見渡した。
ここは…本当に、何処なんだろうな…
「そろそろ肉眼でも見えるんじゃないか?」
イヤホンから、リカルドの声が響いた。
外にいる誰もが、その声を聞いていた。
皆が、キョロキョロと…辺りを見回した。
「あれだ…」
僕は、カイトが指を刺した方向に向かって、目を凝らした。
それはまだ、とても小さかった。
肉眼で見ても不気味な…青白い小さな点が…それでも確実に、少しずつ大きくなっていった。
と…その方向から…怪しげな轟音が…じわじわと近付いてきた。
「来たぞ!」
リカルドの声が響いた。
一気に緊張感が高まった。
僕らは、武器を持って身構えた。
あれよあれよと言う間に、轟音が迫ってきた。
同時に、見た事のない黒い物体が…幾つも幾つも…無数に群れを成して、こちらに向かって飛んでくるのが見えてきた。
「相当速いな…」
見えてきたと思ったら…次の瞬間には、その黒いひとつひとつから、レーザーの様な光線が、このステーション目掛けて発射された。
「いくぞ!」
ルイス達のチームが、すぐに反応した。
彼らは…ものすごい勢いですっ飛んでくる、その無数の黒い物体を…片っ端から叩き落としていった。
「ルイスさん達…ものすごく強いね…」
僕はカイトに言った。
「ああ…ここまでとは思わなかった…」
ほどなく…彼らはその黒い無数の群れを、見事に一網打尽にした。
そこに…僕らの出る幕は無かった。




